見た目は似ているのに機能はまったく別!? 「モトクロス」と「エンデューロ」はナニが違う?

オーストリアのバイクメーカー「KTM」と、母体グループを同一としながらルーツをスウェーデンに持つ「ハスクバーナ・モーターサイクルズ」が、2020年型モトクロス、エンデューロモデルを発表しました。

同じオフロードでも走行シーンが違えばマシンの仕様も異なる

 近年はMotoGPにも参戦するKTMはロードバイクも積極的に開発していますが、そのルーツは、やはりオフロード。ハスクバーナ・モーターサイクルズも同様に世界最古のモーターサイクルメーカーのひとつとして、数々のオフロードバイクを生み出してきました。

レースは多くのメーカーが技術力を競い合う場でもある

 KTMは全23機種、ハスクバーナ・モーターサイクルズも15機種と、オフロードバイクとしては、国産メーカーには見られないラインナップ数を誇ります。なぜこれほど多くのラインナップがあるのでしょうか?

 じつは、モトクロスモデルとエンデューロモデルは、外観が似ていてもその性能や特性はまるで異なるのです。

 KTMジャパンの増岡氏(マーケティング&PR)にお話を伺いました。

「モトクロスは、人工的に造成されたコースの中をほぼアクセル全開で走る競技です。SXシリーズ(モトクロス系モデル)のエンジンは高回転でパワーが出る仕様となっていて、レスポンスを重視しています。

モトクロスは高いジャンプからの着地や「フープス」と呼ばれる連続ギャップの通過性能が求められるため、SXシリーズには硬めのサスペンション設定が施され「奥で踏ん張る」サスペンション特性が求められる

 一方でEXCシリーズ(エンデューロモデル)は、荒れた路面や林間部などを走るため、中低速域での扱いやすさを重視しています。また長時間走行のため耐久性も重要で、ラジエターファンなどの冷却装備も備えています。

 ギアボックスもそれぞれ異なり、排気量250cc以上のSXは4速-5速、EXCは6速となっています。サスペンションも、総じてSXは固めにセットされていて、ジャンプの着地の衝撃に対応しています」

オフロードの世界では2ストロークエンジンも人気

 モトクロスとエンデューロ、両モデルとも2ストロークエンジンと4ストロークエンジンがラインナップされているのも特徴です。

2ストロークエンジンのKTM 150 EXC TPIと、ハスクバーナTE 150i(写真)が2020年モデルとして待望の国内販売決定。フューエルインジェクションを搭載し、混合オイルから分離タイプに(混合ガソリンを作る必要がない)。車格は250同等

 国内メーカーではヤマハが2ストロークエンジンのオフロードモデル(競技専用)を発売していますが、他のメーカーはすでに2ストロークの生産はしていません。

 しかしKTMとハスクバーナ・モーターサイクルズは、国内外の需要を受けて開発を続けています(近年はモトクロス、エンデューロ共に、若年層からベテランまでが2ストロークモデルを愛用する傾向がある)。

 4ストロークエンジン車は扱いやすい特性で人気が高く、2ストロークエンジン車は軽量な車体、極低速での粘りが特徴です。両車とも甲乙つけがたい魅力があるのです。

 自社でファクトリーチームを持つKTMとハスクバーナ・モーターサイクルズは、レースの最前線からそのノウハウを市販車へフィードバックしています。

 オフロードレースだけで300以上のチャンピオンシップを獲得しているブランドだけに、毎年アップデートが繰り返されています。

軽量でレスポンスの良い2ストロークモデルは、瞬時に前輪を浮かして方向転換するのも容易(写真はKTM 300 EXC TPI ERZBERGRODEO)

 KTM、ハスクバーナ・モーターサイクルズの社風について、増岡氏は以下のように言います。

「オーストリア本社のスタッフは、驚くほどみんなバイクに乗るのが上手いんです。だからライダーが好むマシン作りや設定、純正オプションパーツなども開発できる強みがありますね」

※ ※ ※

 オフロードバイクに乗ってみたい、イベントやレースが気になる、という場合、まずは各メーカーやディーラー主催の試乗会イベントが参加しやすいでしょう。

 また、年間8,270台(2018年)ものエントリーを誇る「JNCC」などのオフロードイベントや、多数のメーカーが参加する「オフロードバイク大試乗会(11月10日:千葉県成田モトクロスパーク、11月24日:大阪府プラザ阪下)」などでは、様々なメーカーの最新モデルに試乗できる機会があります。

【了】

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