冬の危険な路面凍結…知っておきたい安全な走り方

冬の寒い季節でも雪さえ降らなければウインターツーリングに挑戦してみたいと思っているライダーも多いのではないでしょうか? 冬の走行は防寒対策さえしていれば意外と快適ですが、毎年のように路面凍結による事故が発生しており、安全な走り方を知っておく必要があります。

路面凍結での走行は危険すぎる!

 雪の降らない地域では真冬であってもウインターツーリングに出かけることがあります。気温が低いと空気が澄みきっているため、夏場とは違った絶景や綺麗に輝く夜景を拝めるといったメリットもあるでしょう。しかし、目的地に向かうまでの道中で路面凍結していることもあり、実際に毎年多くの転倒事故が発生しています。なかにはスリップ時の状況が悪く死亡事故につながってしまったケースもあるようです。

路面凍結の時は、元の道に引き返すか十分注意して走行しましょう

 2012年2月、東京都港区において都道を走行していたバイクが転倒し、路上に投げ出されるといった転倒事故がありました。転倒したライダーは運悪く後ろを走行していたクルマにはねられてしまい搬送先の病院で亡くなりました。警察によると、当時は現場付近の一部が路面凍結しており、滑りやすい状況だったそうです。また、このバイクは前を走っていたバイクが転倒したため、それを回避するために転倒してしまったそうで、凍結した道路で急な操作をしたために起こってしまった事故となります。

 そして2018年1月にも、横浜市の指導ではミニバイクを運転していたライダーが転倒し、腰を強打するという事故がありました。現場はゆるやかな左カーブとなっており、中央線がない状況でした。当時は所々が路面凍結しており、本人も警察官に「地面が凍っていて滑った」と話していることから、タイヤが氷でスリップしたことが原因の転倒事故となっています。

 さらに2018年3月、茨城県の県道でスリップしたバイクが転倒し、投げ出された男子高校生が対向してきたトラックと衝突するといった事故が起きました。現場は見通しの良い道路でしたが、事故当時は日中の日当たりによって道路に残雪などはなかったものの、日陰になっていた路肩の一部に雪が残っていたそうです。路肩寄りを走行していたバイクは残っていた雪に乗り上げたことでスリップし、バイクごと対向車線に滑走したことで衝突事故につながってしまったようです。

路面凍結を安全に走るためには?

 路面凍結はトンネルの出入り口、橋の上、川沿いなどで起きやすい現象ですが、道路状況によっては乾いていたはずの道路上でいきなり凍結した路面が現れることもあります。路面凍結は、乾いているのか凍っているのか一見わかりにくい可能性もあるため、常に細心の注意が必要です。

路面温度が0度以下になる日は路面が凍結している恐れがあるので注意が必要です

 警視庁によると、滑りやすい凍結路面が発生しやすい日には条件があり、1日の気温が0度付近を前後する日、気温が氷点下でなくとも路面温度が0度以下になる日は注意が必要だそうです。また、発生しやすい時間帯では、凍った路面が溶け出す時刻の朝方、路面の水が再び凍り始める日没後は注意が必要です。この他にも、クルマのブレーキや渋滞によって融解と凍結が繰り返すような、交差点の手前、坂道、渋滞道路も危険となっているようです。

 さらに、バイクは2輪であるためにクルマのような安定感がなく、路面凍結は非常に危険な状況と言えます。少しでも転倒のリスクを下げるためにも、凍結した路面での走り方を工夫することも大切となります。

 まずは、目的地までのルートです。走りやすく目的地まで最短なルートを選択しがちですが、山間部よりは海沿いの方が標高が低く気温が下がりにくい傾向にあるため、回り道であっても気温が下がりにくいルートを選ぶようにしましょう。また、交通用が多い道路は凍結防止剤が撒かれていることが多く、凍結しにくい路面になっている可能性が高いようです。それでも凍結した路面が現れてしまった場合は、走り方でカバーするほかありません。直線の路面凍結は、じつは何も操作しない方が良いといった場合があります。減速も加速もせずハンドルをまっすぐに向けた状態でその場をやり過ごします。タイヤがスリップすることもなく惰性で進むといったイメージになります。

 また、カーブではブレーキやアクセル操作は行わずに、ハンドルをゆっくりきりながらバンクさせないようにコーナーを大回りをするイメージになります。大きく回ることで遠心力を弱める狙いがあり、少しでも転倒のリスクを軽減することができます。しかし、カーブで路面凍結は転倒を避けられない場合が多く、どのような体制で転倒すれば最小限の怪我で済むのか考える方が正解なのかもしれません。

※ ※ ※

 路面凍結の可能性がある日はバイクに乗らないことが一番賢い選択肢と言えます。スパイクタイヤやチェーンなどのアイテムも存在していますが、雪とは違いいつ現れるかわからない凍結路面のために乾いた道路で使用するには厳しいのが現状です。転倒はしたくないけどウインターツーリングに出かけたいのであれば、安定感のある3輪バイクといった方法もあります。ヤマハから登場している前輪2輪、後輪1輪の「TRICITY」は抜群の安定感があり、実際にチェーンを装着しての雪道走行も可能のようです。

 冬のバイク走行はメリットがある以上は乗らずにはいられないライダーも多いはずです。事故に遭わないためにも天気予報やルート検索は怠らずに行うようにしましょう。

【了】

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