白バイと市販バイクの違いは? どんな機能が備わっているのか?

街中を颯爽と走り、交通違反を取り締まる役割を持った白バイ。幼い頃に白バイ隊員に憧れたことがある、という方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな白バイについて、市販のバイクの違いやどんな機能が備わっているのか解説していきます。

白バイと市販車の違いは?

 白バイは通常の市販バイクとどう違うのでしょうか。白バイとなるバイクは入札で決定されるため、どのメーカーであってもスペックが十分であれば白バイとして採用される可能性があります。ベースとなる市販モデルと白バイでは、装備を含めいくつかの点で違いがあります。

白バイに採用されたスズキの「GSF1200P」

 最も大きな違いは白いボディ色に赤色灯やサイレン、スピーカーなどを備えている点です。加えて、シートには後部座席がなくボックスになっている点も挙げられます。

 フロントの左側にはトランジスタメガホンのスピーカー、右側にはサイレンのスピーカーがそれぞれ装備されており、取締りの際などに一般車両に指示したり、違反行為への注意喚起に利用されているのです。

隊員側にはスモークが施された赤色灯

 赤色灯が回転して全方位に光ってしまうと隊員にとって危険なため、隊員側にはスモークが施され、赤色灯の光が運転を妨げないよう工夫されている点も特徴です。

 また、違反車両を追尾する際に速度を測定する、速度違反取締り用の測定機器があるのも市販バイクとの大きな違いでしょう。一部の白バイでは専用プリンターで違反速度の記録を印刷することもできるようになっています。

違反車両を追尾する際に速度を測定する速度違反取締り用の測定機器を白バイは装備しています

 白バイの測定機器は一般車両より精密に作られているうえ、定期的にメーカーの検査を受けています。そのため、違反者が速度違反を否認した場合でも検査記録を提出することで、メーターが正常動作していたという根拠となるのです。

 白バイは、いくつものボックスが装備されている点も特徴です。バイク後部の側面に取り付けられたサイドボックスには、違反キップや地図など業務用のツールが収納されています。バイク後部のトップボックスには無線機が装備されているのが一般的で、アンテナや後方への注意喚起用としての赤色灯も備わっています。

 最近では、録画できる小型のビデオカメラや緊急事態時に本部へ知らせるためのボタン、グリップヒーターを装備した白バイまで登場しはじめています。

白バイのヘルメットは、市販品をベースとした特注仕様

 さらに、白バイといえばヘルメットが気になる…という方も多いのではないでしょうか。ヘルメットのメーカーロゴ部分が警察章に変更されているためメーカーは不明となっていますが、白バイのヘルメットは市販品をベースとした特注仕様です。ヘルメットにはマイクと音声を調節するためのツマミがついており、拡声器と無線の切り替えはバイク側のスイッチで行っているそうです。

 装備が充実している白バイですが、市販バイクとは異なる機能が多数搭載されているため、市販バイクよりやや重いと考えられています。

白バイの歴史や特徴とは

クルマを運転している時に見かける、と思わず気が引き締まってしまう存在。それがパトカーや白バイなどの警察車両でしょう。

ホンダの「CB1300P」

 特に白バイはパトカーよりサイズが小さいため、トラックに隠れて見えなかった…といったケースもしばしば。ご機嫌で運転していたら後ろから恐ろしいスピードで白バイが迫ってきた、という経験がある方もいるかもしれません。

 白バイは、警察のオートバイの中で専門訓練を積んだ白バイ隊員が乗務する車両を指します。また、正式名称を「交通取締用自動二輪車」「交通指導取締用自動二輪車」といい、英語では「Police Motorcycle」と表記されます。

 オートバイの持つ機動力を活かし、逃走中や指名手配中の被疑者捕捉に活躍するほか、マラソンや駅伝で先導車の役割を務めるなど、交通違反の取締り以外の業務も少なくありません。

 白バイには総排気量が400cc以上の「大型自動二輪車」が主に用いられていますが、そもそも白バイがもともと「赤バイ」と呼ばれる赤く塗られたバイクであったことはご存じ知でしょうか。

 1918年に生まれた「赤バイ」は、その後欧米各国にならう形で1936年に白バイとなったのです。現在は「道路運送車両の保安基準」によって「緊急自動車の車体の塗色は、消防自動車にあっては朱色とし、その他の緊急自動車にあっては白色とする。」と規定されています。

ヤマハの「FJR1300P」

 白バイのベース車両として採用されているのは「ホンダ」「ヤマハ」「スズキ」などの国内バイクメーカー製で、中でもホンダの「CB1300P」やヤマハの「FJR1300P」、スズキの「GSF1200P」などが有名でしょう。過去にはハーレーダビットソンやBMWの白バイもあったなど、各都道府県でさまざまなモデルが採用されてきました。

 では、白バイに速度制限は適用されないのでしょうか。答えは簡単で、白バイが交通違反取締中であれば、速度規制による指定最高速度を守らなくてもよいとされています。

 しかしそうでない場合には、高速道路であれば時速100キロ、一般道路であれば時速60キロまでに制限されるほか、速度制限の標識に従う必要がある点は覚えておくと良いでしょう。

※ ※ ※

 白バイならではの装備であるサイレンや速度違反取締り用の測定機器など、今まで気になっていたことがわかったことでしょう。また、白バイはもともと「赤バイ」だったこと、変わったモデルも存在していたことなど、白バイについての知識も増えたのではないでしょうか。

 これから街で白バイを見かけるたびに、思い出してみるのも良いかもしれません。

【了】

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