カワサキ初の電動バイク「Ninja e-1」に追求された走る楽しさ 「エコなだけの乗り物にはしたくない」

カワサキ初となる電動バイク「Ninja e-1」が、10月26日から11月5日にかけて東京ビッグサイトで開催される「ジャパンモビリティショー2023」でお披露目されました。どのような電動バイクなのか、現場で話を聞きました。

EVであっても乗ることの楽しさを追求したい

「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開:10月28~11月5日)で日本初公開されたカワサキの電動バイク「Ninja e-1」(参考出品)は、9月中旬に「Z e-1」とともに発表された、カワサキとしては初の電動バイクとなります。現状、航続距離の短さという課題を持つ電動バイクではスクーターモデルが多く見られますが、カワサキはスポーツタイプを最初の電動バイクとして投入したのです。

カワサキ「Ninja e-1」(参考出品)
カワサキ「Ninja e-1」(参考出品)

 車体のベースとなっているのは「Ninja 400」「Ninja 250」(この2モデルの車体は共通)で、海外仕様では車両重量は140kgと、重くなりがちな電動バイクとしては比較的軽量です。

 国内では原付2種区分になる予定で、航続距離は一充電あたり72kmとのこと。ただしWMTCクラス1での計測値のため、実際はより短くなると思われます。回生ブレーキと、それによって得られる回生エネルギーはあるものの、2輪のエネルギー量を考えると航続距離が大幅に変わるほどではないでしょう。

 また、電動バイクならではの機能として「ウォークモード」と「e-boost」を備えています。「ウォークモード」は取り回しをサポートする機能です。一方、「e-boost」は一時的にパワーを向上させるものとなります。

車体は「Ninja 400」「Ninja 250」をベースとしている
車体は「Ninja 400」「Ninja 250」をベースとしている

 ちなみに、4輪の電動フォーミュラカーレース、フォーミュラEにも一定時間のブーストが得られる「アタックモード」というシステムがあり、レースの興奮に一役買っているのですが、「e-boost」もまた、電動モビリティならではの機能と言えるかもしれません。このモードの着想はモータースポーツの加速感、爽快感から来ていると、担当者は話します。

「e-boostは消費電力が多いので、バッテリーが著しく消費します。モーターも発熱しますから、無い方が航続距離も伸びます。しかし、カワサキとしてはEVであっても面白い乗り物を提供したいという想いが強いので、e-boostというモードをつけたのです。そういうスポーティな味付けをしたいというのが、カワサキのなかではあります」

「EVであってもハイブリッドであっても、カワサキは乗ることの楽しさを追求していきたい。ですから、こうしたモードも準備しています。エコなだけのつまらない乗り物にはしたくないからなんです」

リチウムイオンバッテリー2個は、ガソリンタンクに見える部分付近に収納されている
リチウムイオンバッテリー2個は、ガソリンタンクに見える部分付近に収納されている

「Ninja e-1」において、ひとつの注目はバッテリーの充電方式です。搭載する2個のリチウムイオンバッテリーは取り外し可能。そして家庭用の100Vコンセントで充電が可能となっています。この場合、自宅に特別な工事を必要とせず、充電ステーションを探す必要がないというメリットがあります。さらに、充電時間はゼロから100%まで、1個あたり3.7時間。充電器をふたつ用意できれば、約4時間で走り出せるわけです。

 航続距離としてはロングツーリングには向かないかもしれませんが、近場へのツーリングやバイクの楽しみが加わった日常的な移動手段、あるいはギアチェンジを必要としないのでスポーツライディングの始めの1歩……などなど、可能性を感じられるモデルです。

 果たしてカワサキが送り出す“走る楽しさを追求”した電動バイク「Ninja e-1」は、どのような乗り味なのでしょうか。興味は尽きません。

電動バイクのため、チェンジペダルはない
電動バイクのため、チェンジペダルはない

 2023年10月以降、導入国では順次発売。日本国内の発売時期や販売価格、諸元など詳細については、決定次第発表される予定です。

■主要諸元
モーター種類:交流同期電動機
バッテリー種類:リチウムイオンバッテリー×2
電圧:50.4V
容量:30Ah×2
最高出力:9.0kW(12PS)/2600-4000rpm
最大トルク:40.5N・m(4.1kgf・m)/0-1500rpm
全長×全幅×全高:1980×690×1105mm
シート高:785mm
車両重量:140kg
カラー:メタリックブライトシルバー×メタリックマットライムグリーン×エボニー
※諸元は海外仕様の数値

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Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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