マスツーリングのお供!インカムがOKってことはイヤホンもOK?

音楽を聴いたり、マスツーリング仲間と通話したりといった用途でインカムを使用しているライダーは多いでしょう。では、インカムではなくイヤホンを使用すると何かしらの違反が適用されるのでしょうか。

インカムの使用はOK!だけどイヤホンは?

 お気に入りの音楽を聴きながらバイクを運転したい、という人は多いはず。実際に、イヤホンをしながら運転しているライダーを街中で見かけることがあります。

 最近では、運転中のスマートフォンやカーナビなどの操作や、画面の注視を禁止する “ながら運転” が厳罰化されたことは有名です。しかし、イヤホンをしながらのバイクの運転についての違法性はあまり知らない…という人もいるのではないでしょうか。

マスツーリングの必須アイテムとなりつつあるインカムは、耳をふさがないため合法
マスツーリングの必須アイテムとなりつつあるインカムは、耳をふさがないため合法

 マスツーリングの必須アイテムとなりつつあるインカムは、耳をふさがないため合法のようです。では、イヤホンをしながら運転した場合は何かしらの違反が適用されることはないのでしょうか。

 道路における交通ルールを定めている道路交通法には、走行中のイヤホンの使用ついて何も記載されていません。つまり、イヤホンについて規制する法律がないため、バイクを運転しながらのイヤホンの使用は違法ではないと言えます。

 ただし、各都道府県の条例によっては、走行中のイヤホンについて規制している地域があるので要注意です。

 たとえば、東京都の東京都交通道路規則・第2章第8条5では、「高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと」となっています。

 また、神奈川県の神奈川県道路交通法施行細則・第11条(2)第5号では、「大音量で、又はイヤホン若しくはヘッドホンを使用して音楽等を聴く等安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態で自動車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと」と明記されています。

 ニュアンスは異なるものの、どちらも安全運転に必要な音が聞こえない状態でイヤホンをして運転することを禁止しているのがわかります。ただ、「◯◯デシベル(db)を超えると違法」というように音量が明確に定められていません。そのため、どのくらいの音量であれば違反になるかは、居合わせた警察官の判断によって違ってきそうです。

 基本的には、クラクションや踏切の音、緊急車両のサイレンが聞こえるようなら問題ないと言えるでしょう。ただし、密閉型のイヤホンだと耳穴を完全にふさいでしまうので、小さい音量であっても取り締まりの対象になる可能性があります。

ヘルメットの内側にスピーカーを取り付けて音がでる仕組みなので、耳をふさがずに音楽を聴くことが可能
ヘルメットの内側にスピーカーを取り付けて音がでる仕組みなので、耳をふさがずに音楽を聴くことが可能

 その点、バイク用のインカムであれば安心です。ヘルメットの内側にスピーカーを取り付けて音がでる仕組みなので、耳をふさがずに音楽を聴くことが可能です。運転しながら周囲の音も聞こえるので、違反キップを切られたくない人はインカムで音楽を聴いたほうがよいかもしれません。

 なお、バイクを運転中にイヤホンを使用して、各都道府県の条例違反とみなされた場合は、「公安委員会遵守事項違反」が適用されます。違反が適用されると、二輪車で6000円、原付で5000円の反則金が科せられます。なお、違反点数はありません。

 また、走行中にイヤホンを使っていたことが原因で事故を起こした場合は、「安全運転義務違反」が適用される可能性があります。具体的にイヤホンをして安全運転義務違反となるケースは、周りの音が聞こえなかったり、音楽に集中しすぎたことによる運転操作ミスが原因で事故を起こした場合などです。

 安全運転義務違反とみなされた場合は違反点数が2点が加算され、二輪車に7000円、原付で6000円の反則金が科せられます。

イヤホンを使い違反になるケースで考えられるのが、サイレンを鳴らして近づいてきた緊急車両を妨害した場合
イヤホンを使い違反になるケースで考えられるのが、サイレンを鳴らして近づいてきた緊急車両を妨害した場合

 ちなみに、そのほかで違反になるケースで考えられるのが、サイレンを鳴らして近づいてきた緊急車両を妨害した場合。たとえば、イヤホンをしていてサイレンの音に気づかずに救急車や消防車などの緊急車両の進路を妨害すると「緊急車妨害等違反」となります。違反が認められた場合は、違反点数1点に加え二輪車で6000円、原付で5000円の罰則が科せられます。

 このように、バイクの運転中のイヤホンの使用について、直接取り締まる法律はありません。しかし、周囲の音が聞こえないほどの音量でイヤホンを使用して、事故を起こしたり緊急車両の進路を妨害すると、違反になる可能性があるので十分に注意しましょう。

 なお、耳をふさがないインカムであっても、使い方によっては違反になるケースがあります。それはインカム同士の通話ではなく、インカムを使用してスマートフォンの通話をするときです。

 もちろんハンズフリーでの通話は違法ではありません。しかし、その操作を手に持ったスマートフォンでおこなうと “ながら運転” の「携帯電話使用等(保持)」の違反とみなされる可能性があるためです。

 ただこれは、スマホホルダーに取り付けて操作すれば解決することです。ただし操作の際に画面を注視してしまうと、こんどは携帯電話やカーナビなどの画面注視(非保持)となり、携帯電話使用等の違反になってしまいます。

※ ※ ※

 バイクを運転しながらイヤホンを使うのは、法律上はOKとなります。ただし明確な基準はありませんが、大音量だと地域によっては違反になることがあるので注意が必要です。

 走行中のイヤホンが違反になるかどうかは、現場の警察官の判断次第とも言えますが、いずれにせよバイクを運転しながらのイヤホンは、ライダー一人ひとりのマナーが試されているのかもしれません。

 またながら運転は厳罰化により罰則が大幅に引き上げられました。「携帯電話使用等(保持)」で摘発されると、二輪車で1万5000円、原付で1万2000円の反則金のほか、違反点数3点とかなり重い罰則になっています。ハンズフリー通話だからといって油断して、運転中にうっかりスマートフォンの操作や画面を注視すると、違反キップを切られる可能性があるので十分に注意してください。

【画像】インカムではなくイヤホンを使用するときの注意点を画像で見る(10枚)

画像ギャラリー

最新記事