新基準原付は「50cc以下」の駐車場を利用出来ない!? 排気量で駐車区別を続ける国交省OB公益社団 法令改正は無視か?
新基準原付は、環境規制強化に適合するための新しい基準です。NOx削減に寄与するための排気量アップで、けして免許制度が変更されたわけではありません。ところが、環境改善に力を入れる東京都内の地方自治体にある駐車場の一部は、いまだに排気量を基準に国が推進する環境対応車の受け入れに前向きではありません。
国交省OBが「天下る」巨大自転車駐車場でも……
利用者にとって、公共の駐車場の利用は駐車スペースに収容できるか(車体の大きさ)だけが問題です。排気量で利用車を排除することは、事業者にとっても意味がありません。しかし、なぜかバイクの駐車だけが、「車体の大きさ」とは関係がない「排気量」で利用が制限されています。
公益財団法人「自転車駐車場整備センター」が江東区などと共同事業体を作って運営する「豊洲3丁目自転車駐車場」もそのひとつです。
東京メトロ豊洲駅前にある地上3階建ての完全インドア施設で、自転車1330台、原付40台を収容する大型の駐車場です。建物入口の案内看板は、こうあります。
= = =
自転車100円/1日1回 バイク小(50cc以下)200円/1日1回
= = =
さらに、駐車場の利用方法を解説したウェブサイトには、次のような記載があります。
= = =
当センターのバイクの区画は排気量にて区分させていただいております。
バイク大:125cc超~
バイク中:50cc超~125cc以下
バイク小:~50cc以下
= = =
さらにこんな但し書きもあります。
= = =
排気量に応じて料金が異なります。また、車室に入らないものは駐車をお断りする場合がありますのでご了承ください。
= = =
車室に入らないバイクは、そもそも駐車できないので、排気量より車室の大きさを明示すべきですが、その記載はありません。
この公益財団は、いわゆる国土交通省の「天下り」団体です。国土交通省の交付金を活用して、地方自治体が税金を投入しています。
企業の資本金に相当する公益財団の基本財産は40億円。自転車置き場のレベルをはるかに超えて、街づくりと駐車場のあり方に熟知した専門家が、自転車駐車場の見本を示すような公益活動を全国展開しているのです。
法令改正も国交省の呼びかけも届かず
2025年の法令改正の施行で、新車の原付の排気量は125ccクラス(125cc以下)が標準になりました。
法令改正には対応のための周知期間がありますが、国土交通省街路交通施設課長は、都道府県と政令指定都市の担当部局長あてに施行後に通知を出しています。
= = =
自転車法に基づく自転車等の対象に新基準原付が追加されることから、新基準原付を含む自転車等の駐車環境の確保に適切に取組む必要があります。また、現在自転車等駐車場の管理に関する条例等において道路交通法に基づき駐車可能車両を規定している場合は、新基準原付が含まれることとなることから、駐車場における標識や案内等においても、新基準原付が駐車できるよう、遺漏なく対応をお願いします(2024年11月23日)
= = =

金子恭之国交相は、自動二輪車駐車場についても、地方自治体などに働きかけることを明らかにしています。
「東京都等大都市部では、保有台数あたりの駐車スペースが少なく、駐車スペースが不足しているとの声があると承知しています。(中略)駐車場が不足する東京都などの地方公共団体に対して、個別に訪問して意見交換することも含め、自動二輪車駐車場の確保を強く働きかけるなど、しっかりと取り組んでまいります」(2025年12月19日)
バイクの放置駐車の違法性が問われる理由は、駐車が交通事故を誘発する可能性が四輪車と同様に高いとされるためです。
車両の大きさは、クルマでもバイクでも大枠を決めているだけで、排気量によって細かく制限する法令も、両者の相関関係もありません。
それでも前述の駐車場を運営する共同事業体「CYCLE PARK 江東共同事業体」は、利用について次のように話します。
「センターが運営する豊洲駅周辺の駐車場は排気量50cc以下しか止められません」
公共駐車場は「公共の福祉」の実現のために作られています。そこに取り組むべき団体が、法令改正に対応しようとしないのは、駐車場整備以前の責任が問われる問題です。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。





