「速すぎる!?」“世界王者”下田丈が全日本モトクロス凱旋参戦!! “圧巻”の3ヒート完全制覇を間近で観た!!

アメリカを主戦場に活躍する下田丈選手が、全日本モトクロス選手権第8戦「TOKIO INKARAMI Super Motocross」(2026年10月10~11日/埼玉県川越市/オフロードヴィレッジ)にスポット参戦しました。最高峰のIA1クラスにHonda HRC Progressiveから「CRF450R」で出場し、3ヒートすべてでトップチェッカーを受ける完全優勝の一部始終を、現地で観戦したバイクジャーナリストの青木タカオさんがレポートします。

全日本モトクロスに注目集まった!

 2025年、AMAスーパーモトクロス(SMX)世界選手権250クラスで総合優勝を果たし、日本人として初めて全米モトクロスカテゴリーのシリーズチャンピオンに輝いた下田丈選手が日本のレースに参戦するとあって、大きな注目が集まりました。

 全日本モトクロス選手権第8戦「TOKIO INKARAMI Super Motocross」(2026年10月10~11日/埼玉県川越市/オフロードヴィレッジ)にスポット参戦したのです。日本のファンの前でその走りを披露するため、帰国参戦を果たしました。

 実際に会場でその走りを目の当たりにした筆者(青木タカオ)は、あまりの速さ・強さに驚かされました。

 国内のトップライダーたちを圧倒する鋭い走り、無駄のないマシンコントロール、そして状況に応じて自在にペースを操る巧みさ……。

「さすがは全米チャンピオン!」世界の頂点を争うライダーの実力を、まざまざと見せつけられたのです。

難しい路面もものともせず

「Honda HRC Progressive」に所属する下田丈選手が駆るマシンは、ホンダ「CRF450R」です。パープルとイエローをあしらったスペシャルゼッケンを装着し、世界王者が国内最高峰クラスのライダーたちと対峙します。

全日本モトクロス選手権第8戦スポット参戦した下田丈選手は、日本のファンの前で世界王者たる圧巻の走りを見せつけた
全日本モトクロス選手権第8戦スポット参戦した下田丈選手は、日本のファンの前で世界王者たる圧巻の走りを見せつけた

 大会名に「Super Motocross」と冠するだけあり、コースには連続ジャンプがふんだんに盛り込まれ、迫力満点のレイアウトになっています。

 さらに、砂塵対策として散水が行われたことで路面は滑りやすく、ライダーにとって難しいコンディションとなりました。

 そんな難しい条件下でも、下田選手は圧倒的な速さを発揮。3ヒートすべてで勝利を収め、世界トップレベルの実力を見せつけます。

異なる展開で強さを見せつけた

 追い上げ、独走、そしてレースコントロール。異なる展開のなかで、世界王者の実力が際立った3つのレース展開を振りかえってみましょう。

【IA1ヒート1】出遅れを見事に挽回

 好スタートを決めた下田選手でしたが、第1コーナーでは大外のラインを選択したことで順位を落とし、10番手付近まで後退してしまいます。

 しかし、ここからの追い上げが圧巻でした。1周目に6番手まで浮上すると、翌周には4番手へ。3周目には3番手に上がり、横山遥希選手(カワサキ)、ジェイ・ウィルソン選手(ヤマハ)とトップ争いを繰り広げます。

 そして6周目、横山選手を攻略。続く7周目にはウィルソン選手もパスし、ついにトップへ躍り出ました。10周で争われたヒート1。スタート直後の出遅れをものともせず、ライバルを次々とかわして逆転勝利を掴んだのでした。

【IA1ヒート2】滑りやすい路面をものともせず独走

 ヒート2では、スタートから下田選手が圧倒的な実力を発揮。滑りやすい路面をものともせずホールショットを奪い、レース序盤から主導権を握ります。

 2番手につけた内田篤基選手(カワサキ)に対し、1周ごとに1~2秒ほどのペースでリードを拡大。難しい路面コンディションでも安定した走りを見せ、後続を引き離していきます。

 最後までトップの座を譲ることなく、そのままフィニッシュ。ヒート1では追い上げ、ヒート2ではスタートから独走と、異なる展開で勝利を重ねました。

【IA1ヒート3】最後まで主導権を渡さず3連勝!

 3ヒート目も下田選手の勢いは止まりません。スタート直後は4番手につけ、オープニングラップを2番手でクリア。次の周には先行する内田選手をパスし、早くもトップに立ちます。

 その後は横山選手が2秒以内の差で追走する展開となりますが、下田選手は5周目に入ると徐々にリードを拡大し、翌周にはさらにペースを上げ、ライバルを引き離しました。

 終盤は無理にペースを上げることなくレースを巧みにコントロールし、そのままトップチェッカーを受けて見事に3ヒート完全制覇を達成します。

 追い上げて勝ったヒート1、スタートから独走したヒート2、そして最後まで主導権を握ったヒート3。どんな展開でも勝ち切る強さに、世界王者の実力が表れていました。

「またぜひ日本でレースに参戦したい」

 3ヒートすべてで勝利を収めた下田選手は、レース後、次のように語っています。

「暑い中、会場まで足を運んでくださった方々に感謝しています。ヒート1はスタートでミス。ヒート2もまだスタートはしっくり来ない感じで、しかもタフなコースコンディションでしたが、その中でなんとか前に出られました」

全日本モトクロス選手権第8戦にスポット参戦するため、主戦場であるアメリカから帰国し、圧巻の走りで優勝を獲得した下田丈選手
全日本モトクロス選手権第8戦にスポット参戦するため、主戦場であるアメリカから帰国し、圧巻の走りで優勝を獲得した下田丈選手

「ヒート3も勝ち、3勝できて満足していますが、それよりも多くの方々の力により、このような大会を開催してくださったことがうれしいです。機会があれば、またぜひ日本でのレースにも参戦したいと思っています」

 さらに、久しぶりに日本のレースを走ったことで、アメリカとの環境の違いも感じたと言います。

「今回、久々に日本のレースを走ってみて感じたアメリカとの大きな違いのひとつは、アメリカのライダーは指導者やトレーナーなどに恵まれているということ。キッズ時代からプロと一緒にいられる環境というのは、上達の近道として大切だと感じました」

 世界のトップレベルで戦い続ける下田選手。その圧倒的な速さだけでなく、若いライダーの育成環境にまで目を向けるコメントも印象的でした。

※ ※ ※

 今回のスポット参戦は、日本のモトクロスファンにとって、世界で活躍するトップライダーの走りを間近で体感できる貴重な機会となりました。

 チャンピオンの走りを現地で目の当たりにできたことは、ファンの1人である筆者にとっても、何よりうれしい体験でした。

【画像】さすが世界王者!! 圧巻の速さで3ヒート完全制覇した下田丈選手を画像で見る(5枚)

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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