放置すると大変なことに!? 走行中についた“虫汚れ”はスグ落せ!! けっこう厄介な理由とは

ツーリング中に、なんだか視界がボヤける……と思ったら、ヘルメットのシールドに虫の死骸がポツポツ! おまけにヘッドライトやカウリングも虫だらけ……。汚れてカッコ悪いだけじゃなく、放置したら大変なことになるかもしれません。

夏場のツーリングは「虫汚れ」に悩まされる

 ツーリングに限らず、バイクで走っていると、とくに初夏~秋ごろまでは「虫汚れ」に悩まされます。ヘルメットのシールドに虫がぶつかってポツポツ汚れると気になるし、ついグローブで拭おうものなら、かえって汚れ(虫の体液)が広がっていっそう視界不良になります。

 また走行中には気づかなくても、休憩したり帰宅してバイクを見ると、ヘッドライトやカウル、スクリーンなどバイクの前面が虫だらけでビックリするやら不快やら……というコトも少なくありません。

 ヘルメットのシールドの虫汚れは気になるのでスグになんとかしたいですが、バイクの虫汚れは「そのうち洗車しよう」と後回しにしてしまう場合もあります。

 しかし虫汚れは、できるだけ速やかに落とすのがオススメです。放置すると取り返しがつかない場合もあるので要注意です。

虫の体液がバイクを溶かす!?

 虫汚れは、走行中にぶつかった虫の死骸と、ぶつかった際に潰れて染み出る虫の体液の両方です。

とくに初夏から秋ごろは、バイクやウエアにつく「虫汚れ」が気になる
とくに初夏から秋ごろは、バイクやウエアにつく「虫汚れ」が気になる

 まず虫の死骸は、時間が経つとカラカラに乾燥して硬くなるので、泥や砂粒などの汚れと同等になり、不用意にグローブや乾いたティッシュなどで拭うと、ヘルメットのシールドやバイクのカウリングやスクリーンなど柔らかい樹脂パーツや、燃料タンクなどの金属パーツでも表面の塗装が傷ついてしまいます。

 清掃する際には、まずは水洗いするか、水分を十分に含ませたウエスなどを使って「ふやかした状態」にしてから拭う必要があります。この辺りは泥や砂汚れを落とすのとおおむね同じと言えるかもしれません。

 問題なのは「虫の体液」で、こちらは主にタンパク質ですが、他にも蟻酸や酢酸などの酸性物質やシュウ酸カルシウムを含んでいる場合があります。タンパク質は汚れが固まるため、ヘルメットやカウリングに強く付着してしまいます。

 そして酸性物質やシュウ酸カルシウムは、時間が経つと塗装面や樹脂パーツに侵食してシミができたり変色してしまいます。また最悪の場合は表面にポツッと凹んだ「酸性クレーター」ができてしまうこともあります。

 こうなってしまうと時すでに遅く、バイクシャンプーで洗ったりワックスをかけても、シミが残ってしまったり、凹んだクレーターは修復できません。コンパウンド成分の入ったワックスなら修正できるかもしれませんが、それは表面を削り落とす行為なので、頻繁に行うのはオススメできません。

 また塗装面や樹脂ではない金属パーツも安心できません。虫の体液は酸性物質を含んでいるので、金属は錆びます。たとえば旧車などの金属製のフロントフェンダーはメッキがかかっていますが、虫汚れを長く放置するとメッキが変色する場合もあります。またフロントフォークのアウターチューブなどアルミ製のパーツも、白く粉が吹く様な腐食を起こします。

 他にも水冷エンジンのラジエーターのコアや、オイルクーラーのコアも虫の体液で塗装のシミや錆が発生し、虫の死骸でコアの細かな冷却フィンの隙間が詰まると冷却性能が低下してしまいます。

ラジエターやオイルクーラーも虫の体液で塗装が傷む。細かなフィンに虫の死骸が詰まると冷却性能が低下する
ラジエターやオイルクーラーも虫の体液で塗装が傷む。細かなフィンに虫の死骸が詰まると冷却性能が低下する

 ちなみに旧車(1990年代くらい)のヘッドライトのレンズはガラス製なので、虫汚れをしばらく放置しても影響ないかもしれませんが、それ以降はレトロ系バイクの丸型ヘッドライトでもレンズは樹脂製になっているので、やはり放置は禁物です。

 虫汚れは具体的に何時間・何日放置したらNGという目安はありませんが、可能な限り速やかに清掃するのが無難です。

 虫汚れにはアルカリ系のケミカル用品が効果的とも言われていますが、前述したように水やケミカル剤で汚れをふやかし(浮かせ)てから、柔らかいスポンジやマイクロファイバーウエスなどで優しく拭うようにしましょう。

シールドは専用クロスやクリーナーで即除去!

 話は前後しましたが、ヘルメットのシールドの虫汚れは、不快なだけでなく視界不良で危険なので、ツーリング中でも速やかに清掃したいところです。とはいえグローブでこすったりするとかえって汚れが広がったり、シールドに擦りキズが付いてしまうのでNGです。

 これもバイクの洗車と同様に、十分に水で濡らした柔らかいマイクロファイバー系のウエスで優しく拭うのがオススメです。

 ……が、どこでも水道が使えるワケではありません。そこで便利なのが、専用の「シールド汚れりクロス」や、携帯しやすいサイズの「虫取りクリーナー」でしょう。タンクバッグやポーチなどに入れておけば、路肩や駐輪場でもシールドの虫汚れを落とすことができます。

もちろんウエアも汚れている

 走行中に虫がぶつかるのはヘルメットやバイクだけではなく、当然ながら身に着けているウエアも同様です。大型のカウリングを装備していれば被害は少ないかもしれませんが、ネイキッド系なら容赦なく当たっています。

 たとえば丈夫なレザージャケット(革ジャン)も染料で着色しているので虫汚れは悪影響があり、テキスタイルのウエアも生地や繊維を傷める危険があります。

 したがってウエアも「ひとシーズン着たきり」は止めた方が良いでしょう。製品に合った洗濯方法(洗濯機OKやドライクリーニングのみ等)で、相応の頻度で洗うのがオススメです。

 ヘルメットのシールドはともかく、バイクの虫汚れは「ツーリングから帰宅後スグに」は、諸々の理由(翌日は仕事など)から難しいかもしれません。

 とはいえ長く放置すると洗車してもキレイにならず、酸性クレーターや錆びの原因になります。ザっと水洗いするだけでも効果はあるので、「なるはや(なるべく早く)」をオススメします。

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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