生物とロボットが合体したような外観!! KTM「1290スーパーデュークGT」は、走りもヤバかった!!

ガジェット好きもハマる電子デバイスを持つKTM「1290スーパーデュークGT」は、今にもトランスフォームしそうなデザインと圧倒的なパワーで存在感を放っています。

クセの強い強烈な見た目はヤバイヤツ系

 パワーありきのスポーツ派もさることながら、デジタル好きやガジェット好きにとっても無視できないバイクが、KTMの1290スーパーデュークGTでしょう。

KTM「1290スーパーデュークGT」に試乗する筆者(伊丹孝裕)

 そもそも見た目のクセがかなりの強さです。LEDの大型ヘッドライトは昆虫的で、人畜無害系か、ヤバイヤツ系か言えば完全に後者。その横にはやはりLEDのコーナリングライトが装着され、右にバンクさせれば右前方を、左にバンクさせれば左前方を照射するため、夜間に走らせると獲物を探し求め、追い詰めていくような気分が味わえるに違いありません。

 生き物っぽいフロントマスクに対し、ボディワークはロボット的なのがユニークなところです。サイドカウルやガソリンタンクはズバッと一太刀で削り取ったかのように大胆でエッジの効いたもの。逆に、パイプを組み合わせたフレームやシートレールは繊細な印象で、トランスフォームの途中を見ているような、他の何にも似ていないカタチが魅力です。

大柄に見える車体も実際には扱いやすく設計されている1290スーパーデュークGT

 ガソリンタンクが高くそびえ立っているため大柄に見えますが、またがると意外とコンパクトです。なによりハンドルが大きく切れ、しかも軽々と操作できるので狭い道でもクルリとUターンを決めることが可能。1301ccもあるビッグバイクにもかかわらず、驚くほど自在に扱えるのです。

 ただし、エンジンの回し過ぎには注意しなくてはいけません。パワーモードにはスポーツ/ストリート/レイン/トラックという4パターンがあるのですが、最もパワフルなトラックは暴れる猛獣さながら。特に4000rpmを超えてからのダッシュは凄まじく、とても公道で扱えるものではありません。4000rpm以下ならそこそこ従順とはいえ、最も穏やかなレイン一択でも不満を覚えるライダーはそういないでしょう。

細かい機能設定が可能なスーパーデューク

 ところで、1290スーパーデュークGTに乗っていて楽しいのが、そのエンジンモードをはじめとする電子デバイスの操作です。カウルに収められた6.5インチのフルカラー液晶ディスプレイとハンドルのメニュースイッチを駆使しながら、きめ細やかな設定が可能なのですが、それが実に機能的で変化も明確。あれこれ触っているだけでも飽きることがありません。

美しい6.5インチフルカラー液晶ディスプレイには情報が集約されています

 実際、調整可能な項目は多く、エンジンモードの他に、サスペンションの荷重設定は4パターン、そのストロークスピードには3パターン用意され、好みに応じて変更することができます。例えば、乗車するのがひとりなのか、ふたりなのか。もしくは、ひとりだけど荷物が多かったり、ふたり乗りでしかもキャンプ道具を満載していたりと状況はさまざま。この1290スーパーデュークGTなら、それらに合わせてサスペンションの硬さを変えることができ、その上で乗り心地を優先したり、スポーツ性を高めたりすることもできるのです。

 他にもトラクションコントロール、スライドコントロール、ABS、クイックシフター、ヒルホールドコントロールといったデバイスを調整することが可能で、しかもそのすべてを直感的に行えるところがポイント。セッティング箇所が多いとどうしても操作が複雑になるものですが、このモデルにそれは当てはまりません。人間工学に基づいた、洗練されたインターフェイスになっているのです。

KTM「1290スーパーデュークGT」は高いスポーツ性も持ち合わせています

 GT、つまりグランドツーリングの名を持つモデルですから、当然長距離移動を得意にしている一方、既述のトラック(=サーキット)モードの他、ABSに設定されるスーパーモトモードなども併せて駆使すれば、フルバンクはもちろんドリフトも許容。1台ですべてのオンロードをこなし、しかも高いスポーツ性を忘れたくないライダーにとって注目すべきモデルです。

【了】

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Writer: 伊丹孝裕

二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。鈴鹿8耐、マン島TT、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムといった国内外のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。

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