カンナム「RYKER」は乗用車感覚に近い乗り味、躍動感や爽快感はバイクそのもの!

カンナム・ライカーに初試乗の筆者(木下隆之)は、最初戸惑いつつもすぐに走りを堪能します。限りなくクルマ感覚に近い乗り味のライカーとは、どのような乗り物なのでしょうか?

限りなく乗用車感覚に近い乗り味のライカーとは?

 3輪のイセッタ300をドライブしたあとに、カンナム・ライカー900の走りを堪能しました。66年前のイセッタと最新のカンナムですから、共通項はスリーホイラーということだけです。フロント2輪でリア1輪という点は同じですが、イセッタはテケテケと走るノンビリ派の乗用車であるのに対してカナナム・ライカーは、限りなくバイク感覚に近い乗り物なのです。

カンナム・ライカーを試乗する筆者(木下隆之)

 ですが、カンナム・ライカーを試乗して、不思議な発見をしました。というのも、カンナムライカーは、バイクのように跨ぎ、バーハンドルを握り締めながら走るのですから、感覚的にはバイクそのものです。

 ブレーキペダルは右の足先ですし、シフトレバーは左脚先にあります。つまり、その形が物語るように、ただ単にタイヤが3輪あるバイクなのだろうと想像していたわけです。

 ところが僕にとっては、どちらかといえば乗用車感覚に近かったのです。それが驚きでした。

カンナム・ライカー900の全長は2353mm、全幅は1509mm

 カンナム・ライカー900の全長は2353mm、全幅は1509mm。イセッタより長く広いのです。直列3気筒900ccエンジンを搭載します。最高出力は83hp/8000rpm。停止状態からフルスロットルにしたら、205/45 R16インチのリアタイヤをもってしても空転したほどのパワーがあります。ですから、ガソリンタンクを抱え込むような姿勢で、ハンドルバーにしがみ付いていないと振り落とされそうです。ほとんどバイク感覚に思えますよね。

 ですが、根底のところでは、スポーツカーに分類できるのではないかとも思いました。前輪は2輪ですから、車体を傾けてコーナーリングする事はできません。ハンドルバーを強引に回すことで旋回するのです。体重移動の必要はありません。信号待ちでも、立ちゴケすることはありません。常にバランスを取っていなければならないバイクとは、その辺りで決定的に異なるのです。

 そもそもバイク免許証は必要ありません。法規的分類はバイクではありませんから、900ccもあるのに普通自動車免許があれば、運転できるのです。ヘルメットを被る必要もありません。一時停止線では、わざわざ足をついて警官の誤認から逃れるような仕草が癖になってしまっていますが、その必要もなかったのは不思議な感覚でした。無意識に左足をついてしまう自分に笑ってしまったほどです。

乗用車のように気軽に乗れてバイクのような爽快感も味わえるライカー

 そうです、カンナム・ライカーは、乗用車に気軽に乗るような感覚なのに、バイクならではのダイレクトな感覚や爽快感が得られるのです。横転する心配がないのに、バイクを走らせているような躍動感がある。そんな不思議なクルマ、いや、バイクでした。

 はたからみていると、仰々しく感じました。デザインが攻撃的ですからね。ですが、意外に親しみやすいことに驚きました。乗ってみなければわからないものですね。

 ※販売元のBRPジャパンは、ヘルメットの着用を推奨しています。

【了】

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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