2スト人気再燃!? 全日本選手権と併催されるオフロードレースとは?
2ストロークバイクは過去段階的な排気ガス規制の影響で国内二輪ラインナップからほとんどの機種が姿を消しましたが、ヤマハはオフロードレーサーを現在でも生産、販売しています。さらに往年のモトクロスライダーの心に火を着けた一大イベントが開催されるまでになりました。
甲高い排気音と白煙! これぞモトクロスの醍醐味!
すでに引退しているモトクロスのトップライダーたちのほとんどが、若い頃は排気量125ccの2ストロークエンジンを搭載するモトクロッサー(競技車両)でしのぎを削っていました。
現在主流となっている4ストローク250cc、450ccのモトクロッサーなどが無かった時代、モトクロスといえば2ストローク(以下、2スト)でした。2スト125ccでいかに速く走れるかを競っていたのです。
軽量な車体を持ち、アグレッシブにコントロールできる2スト125ccは、ときには至近距離でお互いぶつかり合いながらバトルしたり、コーナーへの進入や脱出、ジャンプの飛距離などで競うレース車両としては最適でした。
メンテナンスのしやすさやランニングコストの低さなど、マシン管理の面でも2ストの利点は少なくなかったのです。
そんな時代にモトクロスに熱中していた世代のライダーが、2019年度、あるイベントにより大挙集結しました。それが2019年7月7日に「スポーツランドSUGO」(宮城県)で開催された『全日本モトクロス エキジビジョン2st125ccクラス』です。これは全日本モトクロス選手権第4戦との併催で、初開催となりました。
発起人の1人である熱田高輝氏は、現在全日本モトクロスのスーパーバイザーを勤めていますが、かつてモトクロスのワークスライダーとして活躍した経歴もあります。
近年の国内モトクロス人口減少への対策として本企画を立案し、それがあれよあれよと言う間に口コミやメディア、SNSで話題となり、鳴り物入りで初開催となったところ56台のエントリーを集めたのでした。
続いて全日本モトクロス第6戦の近畿大会「名阪スポーツランド」(奈良県)で2回目を開催しましたが、エントリーは80台を超える盛況ぶり。かつてトップカテゴリーで戦ったライダーの多くが、本大会出場を目標にマシンを入手、整備し、練習に励んで挑みました。
競技者のレベルごとにクラス分けもされたため、アマチュアライダーも参加しやすかったことも人気の理由でした。
多くのライダーが懐かしいグラフィックをマシンに施したり、自慢のパーツやアクセサリーを装着し、パドックはさながら「ネオ旧車ミーティング」、同窓会のようでした。
現在の4ストモトクロッサーの燃料供給方式はフューエルインジェクションですが、2スト125ccはキャブレターです。とくに小排気量車はセッティングがシビアなので、様々な情報も大会前から参加者の間で飛び交っていたようです。
ガソリンも、エンジンオイルとハイオクガソリンを混合するなど一手間かかりますが、それが当たり前だった時代も確かにあったのです。
エキジビジョンとはいえ、参加するライダーは本気モードです。横一線でスタートする唯一のモータースポーツであるモトクロスは、スタート前から緊張感とやる気でテンションが上がります。
甲高い排気音と白煙、そして2ストのエンジンオイル独特の香りが会場に充満し、白熱のレースが展開されました。
走る楽しさ、観て応援する楽しさを再確認させてくれた2スト125ccのレースは、2020年も全日本モトクロス第4戦SUGO大会(6月6・7日:宮城県スポーツランドSUGO)、第6戦近畿大会(9月12・13日:奈良県名阪スポーツランド)で開催が予定されています。
今後の盛り上がりに期待したいところです。
【了】