トライアンフの400ccモデルが本気すぎる!! 新型2機種に跨るためイギリスへ!? 発売は2023年末

トライアンフは、排気量400ccクラスの新型「スピード400」と「スクランブラー400X」を発表しました。2023年7月よりインドで先行発売、同年末に世界各国で発売される2モデルのワールドローンチがロンドンで開催され、実際に跨ってきました。

普通自動二輪免許で乗れる400ccクラスの本格英国クラシックが登場! イギリスで跨ってきた

 英国の老舗バイクブランド「トライアンフ」が、排気量400ccクラスのモダンクラシックを発表! そのワールドローンチにお誘いいただいた僕(筆者:小川勤)は、イギリスのロンドンに向かいました。事前にオンライン発表会に参加し、パソコンの画面越しにそのスタイルやスペックは見ていたものの、新生トライアンフとしては初の400ccモデル。トライアンフはインドのバジャージと2020年にグローバルパートナーシップを結んでいますが、それがいよいよ形となったのです。

今回のローンチには多くの女性インフルエンサーも参加。2台の400は軽量&コンパクトで女性にもフィットする
今回のローンチには多くの女性インフルエンサーも参加。2台の400は軽量&コンパクトで女性にもフィットする

 発表会はロンドンの「BIKE SHED」というバイクカルチャーを発信するショップで開催されました。そこはアパレル販売やカスタムバイクの制作や展示、理髪店や飲食スペース、さらにはイベントホールもある、日本では考えられない欧州のバイク文化を象徴するようなクリエイティブな場所です。

 会場にはトライアンフやバジャージの首脳陣はもちろん、世界中からメディアが集まっていました。アンベールの1時間ほど前からアルコールや軽食が振る舞われ、時間の経過とともに人が溢れ返っていきます。

 アンベールされたのは2台。スポーツテイストを宿した「SPEED 400(スピード400)」と、ちょっとしたダートなら入り込んでいけそうな、足の長い「SCRAMBLER 400 X(スクランブラー400エックス)」です。

「スピード400」は前後に17インチサイズのアルミニウム製キャストホイールを装着し、ロードスターらしさとクラシカルなテイストを大切にしたモデル。もう一方の「スクランブラー400X」はフロントに19インチの大径ホイールを履き、車名の通りこれまでトライアンフが培ってきたそのテイストを400ccクラスにスケールダウンしたモデルです。

 この2台は、まずはバジャージの拠点であるインドで2023年7月より販売を開始し、年末あたりから世界各国でデリバリーが始まります。

 まず印象的だったのは、その品質の高さでした。トライアンフのモダンクラシックシリーズは、他メーカーの同じ系統のモデルと比較してもディテールの良さが魅力ですが、この2機種も同様です。バジャージ生産ですが、その佇まいはトライアンフ以外の何者でもないのです。「よく作り込んでいる……」それがすぐに伝わってきました。

パワーはホンダ「GB350」の2倍!! 価格次第では全メーカーが脅威に感じるパッケージ

 発表会の翌日はトライアンフ本社があるヒンクリーという街へ移動。そこにも「スピード400」と「スクランブラー400X」が置かれていました。前日は暗がりだったし、人も多く、ゆっくり見ることができませんでしたが、ここではアクセサリー装着車のみですが、跨ったり、取り回しを確認することができました。実際に触れてみるとテンションが上がります。また、空の下で見るとディテールの良さがさらに際立っていました。

身長165cm、体重65kgの筆者(小川勤)がシート高790mmの「スピード400」にまたがった状態。車体重量は170kg。とても自然でどこにも違和感のないポジションだった(写真はアクセサリー装着車)
身長165cm、体重65kgの筆者(小川勤)がシート高790mmの「スピード400」にまたがった状態。車体重量は170kg。とても自然でどこにも違和感のないポジションだった(写真はアクセサリー装着車)

 まずは「スピード400」に跨ってみます。サイドスタンドが少し寝ている印象ですが、前後17インチサイズのホイールを採用する車体はとてもコンパクト。まるで昔から知っているような自然なポジションを約束してくれます。

 車体重量は170kgで、取り回しも簡単です。身長165cm、体重65kgの僕でも安心感があります。シート高は790mmで、写真では足つき性はあまり良く見えないかもしれませんが、不安はまったくありません。

続いて「スクランブラー400X」にまたがった状態。「スピード400」と比較すると少し大柄。シート高は835mmで車体重量は179kg。サスペンションストロークは前後とも「スピード400」より長くなる(写真はアクセサリー装着車)
続いて「スクランブラー400X」にまたがった状態。「スピード400」と比較すると少し大柄。シート高は835mmで車体重量は179kg。サスペンションストロークは前後とも「スピード400」より長くなる(写真はアクセサリー装着車)

 次に「スクランブラー400X」に跨ってみます。「スピード400」よりもホイールトラベルが長く、フロントに19インチホイールを履くためちょっと大柄です。シート高も835mmあり、重量は「スピード400」より9kgほど重たくなりますが、重心が高いため取り回しは軽め。跨ると両足のつま先がツンツンですが、少し腰をずらして片足をしっかり着くようにすれば不安はありませんでした。これなら頻繁に足をつく市街地でも扱えそうです。

 これは完全に主観ですが、僕はスラリと足が長く、とても端正な外見を持つ「スクランブラー400X」が気に入りました。また、日本でライバルとなりそうなホンダの「GB350」や、ロイヤルエンフィールドの350ccモデルと比較すると、2倍のパワーを持つ40psというスペックも見逃せません。クラシックスタイルなのにKTMの「RC390」などに匹敵するパワーを持っているのです。

 実際に触れて、スペックを調べたりしていると、とにかく早く試乗したい気持ちになります。

手の届きやすい価格でハイクオリティな商品を!

 今回は、トライアンフのチーフ・プロダクト・オフィサーのスティーブ・サージェント氏にお話を聞くことができました。

今回の渡英での収穫は、スティーブ・サージェント氏(写真左)にお話を聞けたこと
今回の渡英での収穫は、スティーブ・サージェント氏(写真左)にお話を聞けたこと

「今回のシリーズの目的は、手の届きやすい価格でハイクオリティな商品を、新しいカスタマーに届けることです。バジャージとパートナーシップを結んだのは技術力と生産能力に長けているからで、バジャージはとても大きなスケールの生産施設を持ち、パーツの供給も安定しています。そこに資本関係はなく、純粋にコラボレーションのパートナーとしてやっています。

 開発に関しては、まずはトライアンフが色々なスペックを決めました。エンジンの排気量や車体のサイズなどですね。ハンドリングやデザインもトライアンフが手がけ、バジャージにリクエストしたのです」

トライアンフの新型モデル「Speed 400」カラー:カーニバル・レッド
トライアンフの新型モデル「Speed 400」カラー:カーニバル・レッド

 この発表の1週間ほど前に、じつはトライアンフCEOのニック・ブロアー氏とCOOのポール・ストラウド氏が来日し、日本への期待感を語っていました。その中でも印象的だったのが、2025年の日本でのトライアンフの目標販売台数を6000台以上としていたことです(2022年は3397台)。

 日本市場への期待値の高さは、このモデルの発表が控えていたからだと痛感させられました。

「日本ではスピード400が7割、スクランブラー400Xが3割くらいではないかと思ってます。他の400は?って……(笑)。もちろん皆が期待しているのはわかっているけど、今はこの2台に集中してください(笑)」とサージェントさん。

トライアンフの新型モデル「Scrambler 400 X」カラー:マット・カーキグリーン
トライアンフの新型モデル「Scrambler 400 X」カラー:マット・カーキグリーン

 多くの世代や趣向の人々を引きつけるオーセンティックな魅力を持つ「スピード400」と「スクランブラー400X」。排気量が異なっても、トライアンフはこの分野のバイクを作るのが本当にうまい。戦略的な価格で勝負するということですから、その発表と日本上陸を楽しみに待ちましょう!

【画像】イギリスで跨ってきた!トライアンフの新型2台を見る(20枚)

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Writer: 小川勤

1996年にエイ出版社に入社。2013年に二輪誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。現在はフリーランスとして二輪媒体を中心に執筆を行なっている。またイベントレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

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