過激な白バイがあってもいい!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.199~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、過激で高性能なスーパースポーツの白バイがあっても良いのでは、と言います。どういうことなのでしょうか?

スーパーな白バイは、ムリなのか?

 僕(筆者:木下隆之)は先日、宮城県の菅生サーキットへ向かうために東京から東北自動車道を北上していたのですが、とても物騒なパトカーを見かけました。白と黒のツートーンに塗られたそれは、日産R35型GT-Rだったのです。

栃木県警察に寄贈された日産GT-R(R35)パトカー(2018年)
栃木県警察に寄贈された日産GT-R(R35)パトカー(2018年)

 パトカーを見かけて物騒に感じたり、霊柩車でもあるまいし不吉に感じるのは叩けばホコリの出る身だからなのですが、さすがに間違いなく国内最速のスーパースポーツであるGT-Rが左側車線をゆるゆると身を潜めるように流していると緊張が走ります。

 けして疾しいことはなく、法定速度を守って高速道路の流れに身を任せているだけなのですが、その物騒なパトカーは腹を空かした蛇のような威圧感があり、カエルのような僕は身をすくめてしまうわけです。

 GT-Rは全天候型スーパーカーを標榜しています。ごく限られたドライ路面ではGT-Rに並ぶマシンもあるかもしれませんが、たとえばウエット路面や雪混じりの天候では無敵です。まさか逃げようなどと試みる人はいないと思いますが、GT-Rから逃げきれる可能性は1%もないでしょう。

 栃木県は、パトカーのスーパースポーツカー天国です。GT-Rだけではなく、ホンダNSXも配備されています。フェアレディZ、レクサスLC500とバラエティ豊です。かつてはインプレッサWRXや三菱GTOなども、白黒に塗られていました。

 栃木県にはホンダの工場があり、日産の工場があります。NSXやフェアレディZなどは、自動車メーカーからの寄贈のようです。

 違反キップの手続きをする場合には、一般的には車内で事務手続きをしますが、2シーターの場合は警官2名でパトロールしている都合上、それもままなりません(GT-Rは法規的には4名乗車ですが、現実的には2シーターです)。

 ヘルメットを被ってドライブするのも、頭上空間がミニマムなので辛いと思われます。それでも高速道路の取り締まりにスーパーカーを使う理由は、抑止力の意味が強いのでしょう。自動車メーカーとしても、高速警ら隊に採用されたというイメージは高性能の証にも思えます。そんなお互いのウインウインの関係にあるのです。

 その意味で言えば、スズキ「隼(Hayabusa)」のような高性能な白バイがあっても良いでしょう。

 たとえば東北自動車道の栃木県では、ホンダ「CBR1000RR-R FIREBLADE SP」、東名高速道路の静岡県ではヤマハ「YZF-R1M」、そして極付はスズキ「Hayabusa」という具合に……こんな過激なスーパースポーツが睨みを効かせていれば、高速道路で無謀に飛ばそうとする人も現れないのではないか、と思うのです。

 現状の白バイと言えば、ホンダ「CB1300P」やヤマハ「FJR1300P」が一般的ですが、さらにスーパーなバイクにも期待したい、と想像が膨らみます。

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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