温泉まんじゅうを辿っていくと江ノ島に⁉︎ 海と饅頭とコーヒーを味わうショートライドの午後♪ デイドリップ通信Vol.60
バイク乗りの店主、黒田悟志さんによる連載コラム。今回は温泉まんじゅうのルーツと言われる江ノ島の和菓子店のまんじゅうを、珈琲と共に浜辺で味わうショートライドのお話です。
晴れ間を狙ってショートライド! その行き先は……
こんにちは、Day Drip Coffeeのクロダです。都内のとある住宅街で小さなロースターカフェをやっている、バイクの好きな店主です。
このコラムは「バイクとコーヒー」をテーマに、この二つの世界を行き来して感じた様々なトピックをお届けしています。

ここ東京はしばらく天気の悪い日が続きましたね。日照時間もずいぶんと短かったし、おまけに台風も来たりして。多くのライダーと同様、僕も雨の日はバイクに乗らないようにしています。
だからこういう天気が続くと、走る機会がなかなか持てずにウズウズしてしまいますね。でも先日一瞬だけ晴れた日がありました。用事はあったのですが何とか済ませて、午後3時過ぎに久々のショートライドへと出発しました。
行き先は湘南・江ノ島方面です。真夏が過ぎて海の家も解体された海岸で、コーヒーを飲もうと思ったのがきっかけです。それだけなら他の海岸でも良かったのですが、もう一つ江ノ島に行きたい理由がありました。
それはとある和菓子屋さんのまんじゅうをコーヒーのお供にしたかったからです。そのまんじゅうは江ノ電の江ノ島駅近く、龍口寺というお寺の前にある和菓子屋「上州屋」の片瀬まんじゅうです。
上州屋は江ノ電が一般道路の真ん中を走る併用軌道、いわゆる路面区間に面した老舗の和菓子屋さんです。どのくらい老舗かというと創業は江戸時代の1828年。まもなく開業200年を迎えるという、”超”が付く老舗です。
このお店の名物は二つあって、一つは日蓮上人の故事にならって作られた「難除けぼたもち」。もう一つが今回注目した片瀬まんじゅうです。
意外なつながりで「温泉まんじゅう」が誕生!
実はこのまんじゅう、今や全国各地に見られるようになった“温泉まんじゅう”が誕生するきっかけとなったもの、つまりルーツのルーツなのです。
温泉まんじゅうの発祥は、伊香保温泉の和菓子屋「勝月堂」の湯の花まんじゅうが元祖と言われています。誕生は1910年(明治43年)のこと。当時、勝月堂の店主は伊香保温泉の名物となるおみやげを作るため試行錯誤していました。その頃、伊香保温泉と渋川の間に鉄道が開業しました。
使われた車両は江ノ電の払い下げだったため、関係者が江ノ島へ視察に訪れることがあり、上州屋の片瀬まんじゅうをお土産に買って帰りました。その色から伊香保温泉の湯の花の色に似ているとの着想を得ることとなり、湯の花まんじゅうが誕生。さらにそれを見た全国の温泉地が取り入れたことで温泉まんじゅうが広まったのでした。

今回は片瀬まんじゅう2種類から、ルーツとなった茶まんじゅうと白い酒まんじゅう、それに交通安全のつもりで難除けぼたもちもゲットし、江ノ島の海岸へと向かいました。向かったのは片瀬海岸西浜にある県立湘南海岸公園です。ここには中部駐輪場という無料の駐輪スペースがあります。トイレもすぐそばにあるし、大変便利でおすすめの場所です。
さっそくコーヒーの道具一式とまんじゅうを持って浜辺へ向かいます。広い芝生のスペースの向こうには、砂浜との間を仕切るように遊歩道が長く延びています。遊歩道に面して板張りの場所があったので、そこに腰を下ろしました。さっそくコーヒーをドリップします。
いつものように自分の店のドリップバッグをカップに乗せ、水筒に詰めてきたお湯を注ぐ簡単ハンドドリップです。そして一口。コーヒーの豊かな香りが潮風と共に漂います。
空の上では遠くにトンビが舞っています。浜辺で飲食している人を見つけると、上空から一気に降りて食べ物を奪うためです。その点まんじゅうは手のひらサイズなので隠れてしまうし、襲われる事態には至りません。とはいえ念の為警戒しつつ、まんじゅうをいただきます。穏やかな甘さのこし餡で、まるで温泉まんじゅうの様です笑。
家を出た時は晴れていたのですが、時間と共にだいぶ曇ってしまいました。空はパッとしませんが、それでも久々の海の心地よさはひとしおです。
夕暮れに向かう海岸を、人々が思い思いに通り過ぎて行きます。犬のお散歩、これから海にエントリーするサーファー、手を繋いだカップル……。何気ないまんじゅうにも人知れず物語があるように、通りゆく人々にもきっとそれぞれの物語があるんだよなぁ、と妄想が空いっぱいに広がるクロダなのでした。
Writer: 黒田悟志
世田谷の自家焙煎カフェDay Drip Coffee店主。自転車ロードバイクに20年ほど乗ってきたが、2年前オートバイに目覚めて自動二輪免許取得。両足2気筒から4スト単気筒へ。昨年はSSTRにも初参加しバイクライフを堪能中。









