放置しないで自転車からの“異音” チェーンの「カシャカシャ」は“注油”で解消 油を差すと長持ちする理由とは

バイクでも自転車でも、「チェーンに油を差すと良い」というのはなんとなく分かっていますが、具体的にどう「良い」のでしょうか。チェーンという部品の成り立ちから油切れが引き起こす不具合など、順番に紹介します。

小さな手間が愛車の寿命を左右する

 自転車のペダルを漕いだ力を後輪に伝えるチェーンは、地味な部品ながら重要な役割を果たしています。

 その起源は意外と古く、動力を伝える「伝導チェーン」自体は紀元前の古代エジプト時代から存在していたと言われています。

 自転車用としては、1832年にフランスで「リーフチェーン」が開発されたのが始まりとされていますが、高速で使うには摩耗が早いという弱点があり、1880年にイギリスで現在も使われる「ローラーチェーン」が発明されました。

 この技術によって前ギアと後ギアの歯数の比率を変えられるようになり、車輪を大きくしなくてもスピードを出せる、現在の自転車の原型が完成しました。

 ちなみに、レオナルド・ダ・ヴィンチのノートにもローラーチェーンらしきスケッチが残されているという逸話もあり、チェーンの発明には長い歴史の積み重ねがあるようです。

 そんなチェーンですが、使い続けるうちに潤滑油が摩擦熱で溶けて流れ出たり、雨で洗い流されたりして徐々に「油切れ」の状態になっていきます。

 金属同士が擦れ合うことで、まず聞こえてくるのが「カシャカシャ」という控えめな異音です。ブレーキの「キーッ」という音ほど耳障りではないため、つい聞き流してしまうかもしれませんが、この時点ですでに自転車は本来のポテンシャルの何割かを失っています。チェーンが滑らかに動かなければ、ペダルを踏んだ力が後輪に伝わるまでにロスが生じてしまうためです。

 この「カシャカシャ」を放置すると、やがて赤茶色にサビて「ガチャガチャ」という大きな音を立てるようになり、状態はさらに悪化していきます。

チェーンの「カシャカシャ」を放置すると、やがて赤茶色にサビて「ガチャガチャ」という大きな音に
チェーンの「カシャカシャ」を放置すると、やがて赤茶色にサビて「ガチャガチャ」という大きな音に

 チェーンは約2cmほどの金属プレートがローラーを挟みながら、ピンでつながれた構造です。金属プレートとローラー、ピンのひと固まりを「リンク」と呼びます。

 使い続けるうちに、ローラーが摩耗で削れてチェーン全体としては少しずつ「伸びて」いきます。一般的な自転車のチェーンは90~116リンクほどで構成されているため、1リンクあたりはミリ単位のわずかな伸びでも、全体で見るとそれなりの長さになってしまうのです。

 一般的には、初期状態から1%伸びるとギアの歯とうまく噛み合わなくなり、不具合が発生すると言われています。

 この「伸び」やローラーの摩耗こそ、金属同士が擦れ合う「摩擦」によって引き起こされるものです。つまり潤滑油を保つことは、この摩擦を減らし、伸びの進行を遅らせることに直結します。

 油が十分であれば金属同士が削れることを低減できるため、結果としてチェーンの寿命が延びるというわけです。

 逆に油切れの状態で走り続けると、摩擦によってチェーンはどんどん伸びやすくなり、目安とされる3000~5000kmを待たずに交換が必要になってしまうこともあります。

 注油(油を差すこと)自体は、市販のスプレータイプの潤滑油があれば手軽に行えます。ただし気をつけたい点が2つあります。

 ひとつは、注油前にチェーンの汚れを落とすことです。汚れの上から注油すると、砂などの汚れが油と混ざってヤスリのようにチェーンやギアを削ってしまい、逆効果になりかねません。

 もうひとつは、油が車輪(リム)やブレーキシューに飛び散らないようにすることです。これらの部分に油が付着すると制動力が低下する恐れがあります。

 清掃と注油をセットで行い、チェーンだけを狙って油を差すというひと手間が、チェーンの摩擦を減らし、結果的に自転車全体の寿命を延ばすことにつながります。

「カシャカシャ」という小さな音は、自転車が発する最初のサインです。その声に早めに気づいて油を差してあげることが、愛車と長く付き合っていくための秘訣と言えるでしょう。

【画像】言われてみれば「カシャカシャ」音が……自転車チェーンの“注油”を画像で見る(8枚)

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