「ブラックカタナ」に乗って確信! リバイバルではない新たなストリートバイクなのだと

「カタナ」といえば、初代のシルバーをイメージしがちですが、新型ではブラックも加わり2色の設定。ブラックは「SUZUKI」ロゴの赤と絶妙なマッチングで、これがまたよく似合うではありませんか。

両足ベタつきではないが不安なし

 角目LEDライトを貴重としたアッパーカウルをはじめ、タンクサイドなどに切れ込みが入ったエッジの効いたデザインが、シャープでスポーティなスタイルを演出しています。テールエンドはスパッと切り落とされ、腰高で見るからに軽快です。

スズキ「KATANA」(グラススパークルブラック)に試乗する筆者(青木タカオ)

 ロー&ロングだった初代のシルエットとは異なりますし、車体色にもこれまで一度も設定されたことがなかったブラックをラインナップ。懐古主義やリバイバルではないことがわかります。

 アップライトなアルミ製テーパーハンドルは、上半身の起きたゆったりとしたライディングポジションで、実際に乗ってみると高すぎることはありません。高いグリップ位置で車体が操れ、小さな入力で軽快に反応してくれます。

 また、タンクカバーにボリュームがあり、大きく張り出しているので、これ以上ハンドルが低いと操舵したときにハンドルが当たってしまうでしょう。

スズキ「KATANA」(グラススパークルブラック)

 シート高は825mmで、身長175cm、体重65kgの筆者の場合、両足を地面に下ろすとカカトが浮いてツマ先立ちになりますが、実際の走行時には片足しか地面に出しませんので、接地面が増えて不安はありません。

 ツートンカラーのシート表皮や後部座席に入った3本ラインも、初代カタナのエッセンスを盛り込んだものです。

サウンド、盛り上がるパワー、興奮せずにいられない!

 イグニッションをONにすると、フルカラーの液晶ディスプレイに「KATANA」のロゴが浮かび上がる専用のアニメーションが表示され、気持ちが昂ぶります。セルボタンを押せばイージースタートシステムにより、エンジンは瞬時に目覚めますが、アイドリングからサウンドに迫力があって、興奮度はいっそう増すのでした。

メーターはフル液晶ディスプレイの多機能インストルメントパネルを採用

 発進時にエンジン回転の落ち込みを緩和する「ローRPMアシスト」のおかげで、クラッチミートすると同時に車体がスッと前に出て、スムーズな加速に繋がっていきます。アクセルの開け始めが過敏ではなく扱いやすいのは、スロットルグリップ内のケーブル巻き取り部を真円としないプログレッシブスロットルの恩恵です。

 とはいえ、スーパースポーツ譲りの強力なダッシュが持ち味の並列4気筒エンジンですから、レスポンスは鋭く加速は凄まじいもの。低中速からトルクが太く粘り強く、多用する常用回転域でパワフル。高回転の伸びもスムーズで、官能的なサウンドとともにパワーが盛り上がるようにして湧き立つ感覚は、痛快としか言いようがありません。

安心感をもたらす「トラコン」

 前後サスペンションはカッチリとして、ハードな走りに対応しています。3モードのトラクションコントロール(グリップを失ったリアタイヤの空転を抑制する)がサポートしてくれるおかげで安心感が得られ、濡れた路面や冬季でも電子制御がスリップの不安を解消してくれるでしょう。

スムーズな発進と加速が味わえてトラクションコントロールによる安心感も

 街乗り、高速道路、ワインディング、どこで乗っても気持ち良く、バランスに優れたロードスターに仕上がっています。このオールマイティさ、乗り手を選びません!

 スズキ「KATANA」の価格(税込)は151万2000円です。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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