マレーシア「トイレ紀行」 日本のそれとは異なる仕様に最初は戸惑うこと間違いなし

マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われた2020年シーズンのMotoGP公式テストを取材するため、現地へ赴いたライター伊藤英里さんがマレーシアのトイレ様式をレポートします。

小さな個室が多くを物語る……マレーシアのトイレ事情

 トイレは、その国で暮らす「人」がにじみ出る場所だと筆者(伊藤英里)は考えます。毎日必ず使う場所、だからこそ使う人の慣習や利便性に配慮されているはず! そんなわけで、初めて滞在したマレーシアのトイレ事情をお送りします。じっくり見ると、トイレの仕様は奥が深いのです。

筆者(伊藤英里)初となるマレーシアのトイレは、クアラルンプール国際空港で体験

 MotoGPのセパン公式テストを取材するために訪れたマレーシア。初トイレはクアラルンプール国際空港で迎えました。飛行機のトイレも、あの狭い場所にたくさんの機能が詰まっていて非常にそそるのですが、今回はマレーシアのトイレ事情ということで、ノーカウントとします。

 クアラルンプール国際空港で洋式の便器に着座すると、まず上記の考えが心に漏れました。

 これまでの経験上、便器の高さはその国の平均的な体格に由来していると推測されます。小柄を自覚する筆者、ドイツやドバイの空港では着座すると足が完全に床から離れるという衝撃を味わいました。

マレーシアのトイレは便器とその横の壁に設置されたハンドシャワーが標準仕様だった

 しかし、マレーシアはほとんど違和感なし。空港やホテル、取材で訪れたセパン・インターナショナル・サーキットのトイレ、いずれもぴたりとフィットしてくれました。マレーシアの便座の高さは日本仕様に近く、足つき性も良好です。

 トイレットペーパーの位置も違和感がなく、手を伸ばした先でするりと紙を引き出せます。日本との最たる違いは、壁に取り付けられたハンドシャワーでしょう。利用したトイレすべてに取り付けられていました。

 調べてみると、イスラム教には用を足した後にお尻やその周辺を洗う習慣があるそうですね。マレーシアではイスラム教徒の割合が多いということで、このシャワーはトイレの必須アイテムのようです。

 クアラルンプール国際空港では、トイレと同じエリアに礼拝室が設けられていました。これも日本の空港ではなかなか見られない空間です。礼拝室は空港だけではなく、滞在したホテルにも用意されていました。

空港の礼拝室は男女で分かれている(写真は男性用の礼拝室)

 じつは、初のマレーシア“トイレ紀行”で筆者の心をくすぐりまくったのは、ホテルのトイレでした。

 中を覗いてみると、トイレとシャワーが同室になっていて……と聞くと「ユニットバス?」と思われるかもしれません。しかし、だいぶ違います。便器のすぐ隣(上)にシャワーが設置されているのです。

 浴槽はおろか、シャワーブースとなる仕切りもカーテンもありません。シャワーを浴びるともれなくトイレが濡れる仕様になっています。シャワーを使うタイミングと用を足すタイミングのマネジメントが求められるのです。

 どうです、チャレンジしたくなりませんか?

【了】

【画像】マレーシアのトイレを観察してみる(7枚)

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Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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