奥多摩に存在する異質な空間!? 巨大な建造物を間近に見ることができる「工場萌え」スポットとは?
東京で自然を感じながらツーリングを楽しめる奥多摩エリアには、自然とは正反対の巨大な建造物がそそり立ち、異質な光景を見ることができます。いったいどのような場所なのでしょうか?
まるで工場の中を走っている!? 奥多摩に現れる異質な建造物とは……
奥多摩と言えば、東京都でありながら豊かな自然に囲まれ、爽快な走りを求めてツーリングで訪れるライダーも多いエリアです。ところが、そんな奥多摩に自然とは正反対の異質な空間があり、さらにバイクで間近に迫ることができます。いったいどんな場所なのでしょうか? 実際に訪れてみました。
その光景は、国道411号をJR青梅線「奥多摩」駅付近から都道204号日原街道へと曲がり、少し北上したあたりで目に飛び込んできます。ところどころ赤茶色に錆びた巨大な工場の建物が、緑豊かな山肌に張り付くように存在しているのです。
気になってもう少し近づける道を探し、日原川脇の道に下りてみました。あらためて見ると、まるで山中に突然現れた要塞のような大迫力でそそり立っています。何本ものパイプが張り巡らされ、ベルトコンベアのような装置が動く様は、秘密基地のようでもあり、ものすごい存在感を放っています。
「奥多摩」駅の北側、ホーム上からも見ることが出来るこの工場は『奥多摩工業株式会社 氷川工場』です。奥多摩工業は石灰石の採掘や生石灰、消石灰の生産などを行なっている会社で、この氷川(ひかわ)工場は石灰石の加工などを行っているということです。
JR青梅線の末端部は、もともと奥多摩工業によって鉱山の開発のために計画されたとのことで、かつては石灰石を積んだ貨物列車が運行されていたそうです。外から見ると錆びついた建屋も多いですが、れっきとした現役の工場なのです。
じつはこの工場は、離れた場所から眺めるだけではなく、ほぼ工場の中を通行できるのです。驚いたことに、工場の敷地を貫くように細い公道が通っています。公道なので通行可能、バイクで通ることも出来ます。
駅の脇にある集落の細い坂を上っていくと、やがて工場が見えてきます。Y字路を左に進むと工場の敷地内へと向かう立ち入り禁止エリアですが、もう一方の細い道が公道となっており、工場の設備をくぐるように奥へと続いています。
その道からは、まるで廃墟となった化学プラントのように、錆びついた何本ものパイプや、石灰石の粉塵で白くなったベルトコンベアなどが手に取るように見え、あたかも工場の敷地内にいるかのような光景です。
周囲の山々とはまるで別世界の秘密基地に潜入した気分で、子供時代に戻ったようなワクワク感を味わうことが出来ます。ここまで工場に肉薄できる道路は珍しく「工場萌え」な人には密かな人気スポットとなっているようです。
この道は細く未舗装部分もあり、手前の集落の住宅地もクルマ1台がやっと通れるほどです。原付2種などの小排気量車に乗って、少人数でひっそりと訪れたい場所と言えるでしょう。
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Writer: 野岸“ねぎ”泰之(ライター)
30年以上バイク雑誌等に執筆しているフリーライター。ツーリング記事を中心に、近年はWebメディアで新車インプレッションやアイテムレビューも多数執筆。バイクツーリング&アウトドアを楽しむ『HUB倶楽部』運営メンバーの1人。全都道府県をバイクで走破しており、オーストラリア、タイ、中国など海外でのツーリング経験も持つ。バイクはスペックよりも実際の使い勝手や公道での走りが気になるキャンプツーリング好き。