かつてスクーターに備わっていた「羽」ってどんな装備?

過去に販売されていたスクーターには、「羽」と呼ばれる装備が備わっているモデルがあったといいます。いったい、どのようなモデルがラインナップしていたのでしょうか。

人よんで「羽」?ハイマウントストップランプってどんな装備?

 ひと昔まえのスクーターには、「羽」と呼ばれるリアパーツにハイマウントストップランプを装備したモデルが存在しました。ハイマウントストップランプと聞いても、あまり耳馴染みがないため、どのような装備なのかいまいちピンと来ない…という人も多いかもしれません。

ハイマウントストップランプを先駆けて採用したのが、1990年デビューのスズキ「セピアZZ」
ハイマウントストップランプを先駆けて採用したのが、1990年デビューのスズキ「セピアZZ」

 そもそも、ハイマウントストップランプはブレーキランプの一種で、正式には「補助制動等」という名称です。通常のブレーキランプよりも高い位置に設置されており、主にリアガラスの上部の内側や、リヤスポイラーの中央部分に埋め込まれています。

 高い位置にブレーキランプを配置することで、後続の運転手の目線に近い高さになるため、いち早くブレーキを掛けていることを知らせることができるというわけです。また、ブレーキを掛けたときだけ点灯するため、特に夜間の走行では後続車に強くアピールすることができるので追突防止の効果が期待できます。

 なお、ハイマウントストップランプはブレーキランプに属するため、保安基準を満たす必要があり、車検を通すときは厳しくチェックされます。設置の条件は、灯火の色は赤で地面から850mm以上、中央から150mm以内で、さらにブレーキランプと連動して点灯しなければなりません。ちなみに、常時点灯させると違法改造とみなされますが、バイクではハイマウントストップランプは義務化されていません。

ホンダ「ライブディオZX(1994)」
ホンダ「ライブディオZX(1994)」

 スクーターの羽と呼ばれるパーツは、メーカーではリアスポイラーという名称で呼ばれています。リアスポイラーといえば、クルマの後部に取り付けるエアロパーツを思い浮かべる人も多いかもしれません。

 リアスポイラーの役割は、クルマの後方の気流を整えて空気抵抗を低下させ、高速走行時に安定した走りができるようにすることです。ただし、リアスポイラーの効果を発揮するには、50km/hからが目安とされています。

 また、リアスポイラーを付けることで高級感がでたり、速そうに見えるので単純にカッコ良さを演出できるのもメリットのひとつです。車体が小さいスクーターのリアスポイラーは、性能アップはほとんど期待できず、見た目をよくするためだけに取り付けられているパーツといえます。また、ハイマウントストップランプもブレーキランプのすぐ真上に設置されているため、制動灯としての役割よりはデザイン重視で付けられているパーツといえるでしょう。

 ハイマウントストップランプが搭載された羽つきスクーターがはじめて発売されたのは、今から30年以上も前にさかのぼります。当時のスクーターは2サイクルが主流で、人気のスタンダードモデルをグレードアップしたスポーツモデルとして、羽つきスクーターが世に送りだされる流れでした。

 馬力を規制いっぱいまで引き上げ、フロントディスクブレーキと羽によるテールを跳ね上げたようなアグレッシブなスタイルで、たちまち人気を博しました。その過激な走りとスポーティなイメージを強調した外観は、当時の“原チャリ小僧”のハートをとらえ、大ブームを引き起こしたのです。

 ちなみに、先駆けてハイマウントストップランプを採用したのが、1990年デビューのスズキ「セピアZZ」です。初代「セピア」をベースに最高出力7.0PSを発揮。のちに自主規制いっぱいの7.2PSまでパワーアップし、スポーツ性能を高めて大ヒットしたモデルです。

ハイマウントストップランプは初代スズキ「セピア(1989)」には、装備されていなかった
ハイマウントストップランプは初代スズキ「セピア(1989)」には、装備されていなかった

 セピアZZに追随する形でデビューしたのは、ヤマハ「ジョグZ」で、スタンダードモデルの上位機種として1991年にデビューしました。ジョグシリーズ初のハイマウントストップランプを搭載。110mmのリア大型ドラムブレーキと、フロントにブレンボキャリパー付ディスクブレーキを採用し話題を呼んだモデルです。

ハイマウントス・トップランプ付きのリアスポイラーを装備したホンダ「スーパーディオZX(1992)」
ハイマウントス・トップランプ付きのリアスポイラーを装備したホンダ「スーパーディオZX(1992)」

 また、1992年には、ホンダ「スーパーディオZX」がデビューしました。すでに発売されていたスタンダードモデルに、ハイマウントス・トップランプ付きのリアスポイラーを装備。さらに、フロントディスクブレーキを備え、最高出力をアップしたスポーツモデルです。

 なお、より性能を強化した「ライブディオZX」が1994年に登場すると、バトンタッチする形で約2年ほどでその役目を終えました。

 ちなみに、原付以外にもハイマウントス・トップランプを搭載したモデルがありました。それが、元祖ビッグスクーターの上級モデルとして1994年に販売された、ホンダの「フュージョンSE」です。

ホンダの「フュージョンSE(1994)」
ホンダの「フュージョンSE(1994)」

 LEDハイマウントストップランプ内蔵のリアスポイラーと、レザー調のシート表皮を採用し、高級感を演出したモデルです。発売当初は1000台のみの限定モデルでしたが、のちに標準ラインナップとなりました。

 さらにセピアZZの後継機として2000年に登場したのが、スズキの「ZZ」です。前後12インチキャストホイールとショーワ製フロント正立フォークを採用。ハイマウントストップランプ内蔵のリアスポイラーとディスクブレーキもしっかり完備しています。

 また、排ガス規制をクリアしながら、クラス最高の7.2PSマークと、ボディ各部に走りのこだわりを散りばめた本格スポーツスクーターです。

※ ※ ※

 このように、過去にはハイマウントストップランプが備わったモデルが多くラインナップしていました。当時のスクーターはスタイリッシュで、一番デザインが凝っていた時代といえるかもしれません。

 これには、羽つきのハイマウントストップランプの貢献度が大きいといえるでしょう。ブームが去り、現在では搭載したモデルはほとんど見かけませんが、いつの日か復活を期待したいところです。

【画像】ハイマウントストップランプを装備したバイクを見る

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