落としても大丈夫ってホント!? バイク用ヘルメットの使用期限を徹底解説
バイクに乗る際の必須装備となっているヘルメットは、事故や転倒した時に衝撃が直接頭部に及ばないようにするための重要なアイテムです。そんなヘルメットに、使用期限はあるのでしょうか。
ヘルメットの構造とは
ヘルメットは事故や転倒した際の衝撃が、直接頭部に及ばないようにするための重要な装備ですが、使用期限はあるのでしょうか。
ヘルメットは様々なパーツから作られていますが、断面構造という点では大きく分けて3つです。
まず一番外側にあるのが、シェルと呼ばれる部分で、日本語にすると殻。素材は現在、繊維を樹脂で固めたFRP(繊維強化プラスチック)が多く使われていますが、その昔は単なるプラスチック製もありました。また、高価なヘルメットにはCFRP(カーボンファイバー)製も有り、表面にあえて炭素繊維の織り目が見えるようデザインされた物もラインナップされています。
そしてその内側にあるのが、衝撃吸収ライナーと呼ばれる発泡スチロールの層。頭全体をしっかりと包み込んでいるのはこの部分で、ヘルメットを構成するパーツの中で一番重要な部分です。
ちなみに、発泡スチロールと言っても一般的な梱包材に使われるような柔らかいものではなく、衝撃を効率よく吸収させるために硬くなっていたり、2層構造になっていたりと、各メーカー独自の技術が投入されています。さらにその内側、つまり頭に直接当たる部分が内装。内装には衝撃吸収能力はほぼ無く、快適性が重視された素材や構造が採用されています。
なお、バイク用ヘルメットで取り外しができるのは、この内装だけです。
ヘルメットは事故などの衝撃をどう受け止めるのか?
転倒などで頭部を路面やバイクにぶつけた場合、ヘルメットはどのように衝撃を受け止めて、和らげるのでしょうか。
ヘルメットに衝撃が加わると、まずはシェルが割れることで衝撃を受け止めつつ分散します。つまり、ヘルメット自体の硬さによって衝撃を弾き返しているわけではなく、頭に押さえつけられながら衝撃吸収ライナーが潰れることで、衝撃を吸収しているのです。
このようにヘルメットは自ら割れたり潰れることで、我々ライダーの頭部を守ってくれる仕組みとなっています。
また、バイク用ヘルメットにはPSCやJIS、海外であればDOTやスネルなど、さまざまな安全規格が用意されており、その多くは実際にヘルメットに対して重量物や突起物をぶつけ、その損傷具合や力の伝播具合によっての評価が行われています。
ヘルメットの買い替え時はいつ?
では、ヘルメットを落としたりぶつけたりしてしまった場合、買い替える必要はあるのでしょうか。
アライ製ヘルメットの取扱説明書には、1m以下の落下であれば問題ないと書かれています。これは、被っていない状態のヘルメットは中身が空っぽなので、衝撃はあまり大きく無いため。イスの上から落ちた程度のダメージでは問題はなく、あまりシビアになる必要はありません。
ただし、1m以下でも同じ場所を複数回ぶつけると、内部にダメージが及ぶので性能が損なわれるとも書かれているため極力、落としたり、ぶつけたりはしないよう、心がけてください。なお、大きな衝撃を受けたヘルメットは、見た目に問題がなさそうでも使用することはできません。
では、ぶつけたりせず綺麗な状態を維持していれば、使い続けられるのかというと、そうではありません。
発泡スチロールは加水分解という現象によって自然に劣化する性質があります。発泡スチロールの劣化について明確な基準はありませんが、国内で販売されているヘルメットには製品安全協会が定めるSGマークが付いており、この規格の認証が3年で切れることから、3年を目安に新品への交換を推奨しているメーカーがほとんどです。
ただし、あくまでも規格をもとにした目安なので、実際のところは5年前後での交換が現実的で、性能にも問題なく使用できる期限となっています。ちなみに製造年月日は、内装をめくると明記されています。
心配な場合は、各メーカーが用意している検査サービスを利用すると良いでしょう。アライであれば、送料のみで検査をしてくれるサービスをおこなっています。
ヘルメットはカラーリングやグラフィックなどでライダーの個性を表現する、いわばファッションアイテムの側面も持っています。そのため、お気に入りのデザインを長く使いたいと考えるライダーも多いでしょう。
しかし本来の機能は、いざという的に命にも関わる頭部をカードすることなので、普段から丁寧に扱い、定期的に買い換えるようにしましょう。