本当に合ってる? サドルの高さテキトーだと身体に悪影響も! 正しい調整方法とは

自転車を購入したとき、サドルの高さはどうやって決めましたか? 「足が地面に届く」「座ったときに楽な位置」など、多くの人が感覚的に決めているのではないでしょうか。実はこのサドルの高さが身体に与える影響は、想像以上に大きいのです。

「なんとなくテキトー」で決めてない?

 自転車に乗っていて「ちょっと膝が痛いな」と感じたり「長時間乗ると腰が辛い……」などの症状の原因は、サドルの高さにあるかもしれません。

サドルの高さひとつで身体に影響が? セッティングでベストポジションを探ってみる
サドルの高さひとつで身体に影響が? セッティングでベストポジションを探ってみる

 サドルの高さが身体に与える影響の中で、最も現れやすいと思われるのが膝です。サドルが低過ぎる場合、膝関節が常に曲がった状態でペダリングすることになります。この状態では、膝蓋骨(膝のお皿)と太ももの骨の間で圧迫が強くなり、軟骨への負担が増加します。膝の痛みを訴える患者の中に、サドルが低過ぎる自転車に乗っている場合が多いことを指摘する整形外科医もいます。

 逆にサドルが高過ぎる場合、今度は膝が十分に曲がらず、足を伸ばしきった状態でペダルを漕ぐことになります。この状態では、ペダルの下死点(一番下の位置)で膝の裏側の筋肉や靭帯に過度な負担がかかり、膝の裏側に痛みを感じることがあります。

 体に合わないサドルの高さは、腰痛の原因にもなります。サドルが低過ぎると必然的に膝が高く上がり、上体が起き上がった姿勢になります。一見楽そうに見えますが、逆前傾姿勢(後傾?)とも言える状態では腰椎(背骨の腰部分)のカーブが不自然になり、長時間の乗車で腰に負担がかかります。サドルが適切な高さであれば、骨盤が前傾し、背骨は自然なS字カーブを保てます。

 また、サドルの高さによって使われる筋肉も変わってきます。サドルが低過ぎる場合は太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)に過度な負担がかかる状態になります。この筋肉は膝を伸ばす働きをしますが、サドルが低いと常に膝を曲げた状態から伸ばす動作を繰り返すため、疲労が蓄積しやすくなると言えます。高さが適切であれば、太ももの前側と後ろ側の筋肉がバランスよく動かされ、お尻の筋肉(大殿筋)も適切に使われるため、より大きな筋肉でパワーを生み出すことができます。

 より大きなパワーを生み出すことができるという事は、ペダリング効率にも違いが出てきます。そして膝の角度が適切だと、ペダルを踏み込む際に足の力がしっかりとペダルに伝わります。逆に、高さが合わないと力が逃げてしまい、同じ距離を走るのにより多くの労力が必要になります。必要以上に筋肉を使うことになり、疲労が早く蓄積するので「自転車に乗ると疲れる」という悪い状況を生み出すことになります。

 では、自分に合ったサドルの高さはどうやって見極めるのでしょうか? ちなみに、日常使いのママチャリ(シティサイクル)と、高速で走ることを目的としたロードバイク、悪路での走行を想定するMTB(マウンテンバイク)では乗車姿勢が異なるので、サドルの高さも必然的に変わってくる点に注意が必要です。ここではママチャリでの簡単なセッティング方法を紹介します。

1)自転車にまたがり、片足のペダルを最も低い位置(下死点)に置きます(足は自転車に乗るときの「利き足(=最初に漕ぎだす方の足)」で)

2)そのペダルに「かかと」を乗せます

3)膝がほぼ真っすぐ伸びる(わずかに曲がる程度)にサドルの高さを調整します

4)実際に前足部(つま先の付け根)でペダリングすると、適度な膝の曲がりになります

 あとは実際に乗ってみて、微調整を行います。乗っているうちに体が自転車にフィットしてくることもあるので、一度に大きく変えず、5mm程度ずつ調整して数日間乗ってから、再度確認します。

 とはいえ、安全性を第一にするのも忘れてはいけないポイントです。信号待ちなどで足を地面につけて自転車を支えられることは重要です。特に子乗せ自転車で走る場合は足つきが良いことが最優先されます。適切な高さでも足つきが悪いと感じる場合は、安全性を考慮して少し低めに調整することも必要です。

 もし、適正な高さに調整したのにそれでも乗っていて違和感があったとしてもあきらめないでください。自転車はサドル以外にもハンドルの高さや角度、ブレーキレバーの位置や角度など、調整できる箇所が複数あります。「自転車が合わない」とは思わずに、一度、自転車屋に相談してみるのも良いでしょう。

 サドルの高さは、一度決めたら終わりではありません。体重の変化、靴底の厚み、季節による服装の変化など、様々な要因で最適な高さは変わります。

「なんだか最近調子が悪いな」「膝が気になるな」と感じたら、サドルの高さを見直してみましょう。たった数cmの調整で、自転車に乗る快適さや楽しさより感じられるはずです。

【画像】ソコだったのか!? 自転車の快適さを決める「サドル」を見る(5枚)

画像ギャラリー

編集部からのおすすめ

バイク王なら欲しいバイクが必ず見つかる! QUOカードキャンペーンの今がチャンス!!【PR】

バイク王なら欲しいバイクが必ず見つかる! QUOカードキャンペーンの今がチャンス!!【PR】

最新記事