“祝”「ヨンヒャク直4」ネイキッド復活!! ホンダ「CB400スーパーフォア」の軌跡を振り返る

排気量400ccクラスで直列4気筒エンジンのネイキッドモデルとして不動の人気を誇ったホンダ「CB400スーパーフォア」ですが、先代モデルが2022年に生産終了してから4年半余り、待望の新型が登場しました。30年を超える歴史を振り返ります。

大注目の400ccクラス4気筒ネイキッド!

 2026年8月21日に、ホンダから「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」が発売されました。2025年秋に中国の重慶モーターサイクルショーで先行して発表された「CB500 SUPER FOUR」で、「国内400はいつ!?」と盛り上がっていただけに、待ち焦がれていたライダーも多いのではないでしょうか。

 そんな新型の登場を祝して、ここで1992年の初期型「CB400 SUPER FOUR」(以下、CB400SF)誕生からの軌跡を紹介します。

多くのライダーの期待を背負い、2026年8月に発売された「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」
多くのライダーの期待を背負い、2026年8月に発売された「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」

 30年を超える歴史を持つだけに、じつに様々なモデルが存在します。

「BIG-1」に先駆けて登場! バリエーションも拡大

 ホンダは1991年に開催された「第29回東京モーターサイクルショー」に、「PROJECT BIG-1」のコンセプトで「CB1000 SUPER FOUR」(以下、CB1000SF)のプロトタイプを出品しました。

 ダブルクレードルフレームに正立式フロントフォーク&リアツインショックのオーソドックスなレイアウトに、巨大な燃料タンクを装備した作りは「乗れるものなら乗って見ろ!」と言わんばかりの迫力で、見る者を圧倒しました。

 そして半年後の1992年4月に、「CB1000SF」に先駆けて同車と瓜ふたつのスタイルを持つ「CB400SF[NC31型]」が発売されました。

 当時は免許制度の関係で排気量が400ccを超えるバイクに乗るハードルが高かったため、「中型限定自動二輪免許」で乗れる「CB400SF」を先行させたものと思われます。

1992年4月に発売された初代「CB400 SUPER FOUR[NC31型]」
1992年4月に発売された初代「CB400 SUPER FOUR[NC31型]」

 少し時間を遡ると、日本は1980年代初頭に空前のバイクブームを迎え、そのまま「レーサーレプリカ」ブームに移行し、猛烈なパフォーマンス競争になりました。

 そんな中、1989年にカワサキが「ZEPHYR(ゼファー400)」を発売します。当時としてもレトロな作りで、2世代前の空冷4気筒エンジンをベースとしていました。

 発表時は「何でいまさら?」とバイク業界の評価は芳しくありませんでしたが、いざ発売されると空前の大ヒット! 当時のライダーは高性能なレーサーレプリカに少々疲れていたのかもしれません。ともあれ、これによって「ネイキッド」ブームの幕が上がりました。

 じつはホンダも、同年の1989年にネイキッドスタイルの「CB-1」を発売しています。太い鋼管パイプの独特なフレームに、高性能なレーサーレプリカ「CBR400RR」のカムギアトレーン式水冷直列4気筒エンジンをベースとし、現在で言うところの「ストリートファイター」的な作りです。

 それが時代を先取りし過ぎたのか、販売面では「ゼファー」に及ばず人気はいまひとつでした。

 この経験を活かし、「CB400SF」はネオレトロの王道と言えるスタイルで登場します。水冷直列4気筒エンジンは「CBR400RR」→「CB-1」からの流れですが、カムギアトレーンから一般的なカムチェーン方式に変更し、日常使いの低中速域で扱いやすい出力特性としました。

 またシリンダーヘッドに冷却フィンを設けることで、エンジン剥き出しのネイキッドならではの迫力も増しています。そして発売以来、翌1993年末には累計登録台数3万台を超えるベストセラーモデルになりました。

「バイクらしい形のバイク」で人気となったネイキッドですが、やはりブームとなると「性能」が気になるのがライダーの性でしょうか。「CB400SF」は1995年にビキニカウルを装着し、点火時期を電子制御する「PGM-IG」や吸排気系などをリファイン、さらにフレームや足まわりも強化した「バージョンR」をラインナップに追加します。

 さらに翌年1996年には、「バージョンR」からビキニカウルを外して丸型ライトに戻した「バージョンS」が登場しました。

 こうして「CB400SF」および「バージョンS」は、カラーや細部の変更などを重ねて1998年まで販売されました。

 ちなみに、1997年には「CB400SF」からの派生モデルとして「CB400 FOUR[NC36型]」が発売されました。こちらは1969年に登場した「ドリームCB750 FOUR」を彷彿させるデザインの外装パーツや4本出しマフラー、さらにワイヤースポークホイールを装備したクラシックなスタイルが特徴です。

 こちらは現在の中古車市場でも人気が高く、同年代の「CB400SF」よりもかなり高額なプライスタグが付いているようです。

「VTEC」装備の2代目

 ベストセラーを続ける「CB400SF」は、1999年に最初のフルモデルチェンを行い、2代目の「NC39型」に進化しました。車体のレイアウトやデザインは前モデルの「NC31型」の流れを汲みますが、エンジンに新開発の「HYPER VTEC(ハイパーVテック)」を装備したのが大きなトピックです。

1999年に発売された2代目「CB400 SUPER FOUR[NC39型]」。ホンダ独自のバルブ制御システム「VTEC」を装備
1999年に発売された2代目「CB400 SUPER FOUR[NC39型]」。ホンダ独自のバルブ制御システム「VTEC」を装備

「HYPER VTEC」は、1気筒当たり4個のバルブ(吸気×2/排気×2)を低中回転時には2個、6750回転を超える高回転時には4個に切り替えるシステムです。それぞれの回転域で力強い出力特性を発揮するとともに、燃料消費性能を向上させるメリットもあります。

 また車体は各部のディメンションや剛性などを見直し、前後サスペンションも進化し、前後タイヤはバイアスタイヤからラジアルタイヤに変更されました。

「NC39型」は2002年のマイナーチェンジで「HYPER VTEC」が「SPEC II」に進化し、2→4のバルブ切り替えタイミングをはじめ、キャブレターのセッティングや点火時期なども変更しています。また盗難抑止機構の「H.I.S.S.」も装備しました。

 さらに2003年12月には「HYPER VTEC」を「SPEC III」にバージョンアップし、バルブの切り替えタイミングの設定変更や6速の独自の可変タイミング、点火時期マップを付加し、より滑らかな加速を実現しました。

 またシート高を5mm下げたり、サイドカバーの幅を左右それぞれ約10mm狭めることで足つき性を向上させています。

 そして2005年にはハーフカウルを装備した「CB400 SUPER BOL D’OR(スーパー・ボルドール)」(以下、CB400SB)が加わりました。防風効果が大きく、高速道路の長距離走行で疲労を軽減できるため、ツーリング派にも高い評価を得ました。

FI化した3代目

「CB400SF/SB」ともに、2007年のフルモデルチェンジで「NC42型」になりました。先代「NC39型」までのエンジンは、1986年に発売された「CBR400R」の4気筒エンジンをベースに進化・熟成を重ねてきましたが、このモデルで新設計のエンジンに変更されました。

 大きなトピックとしては、まず電子制御式燃料噴射システム「PGM-FI」の採用です。排出ガス規制や燃費など環境性能の向上と、優れたスロットルレスポンスや滑らかな乗り味に寄与する、近代バイクでは必須の装備と言えます。

 もうひとつは「HYPER VTEC」が「HYPER VTEC Revo(レボ)」に進化したことです。こちらは「SPEC III」ではエンジン回転数とギア選択でバルブを切り替えていたのに加え、スロットル開度の検知・演算を行うことで、より緻密な作動バルブ数の制御が可能になりました。

 2014年には「NC42」の型式名こそ変わりませんが、新デザインのサイドカバーやテールカウル、そして新型ホイールなどを装備した「NC42後期型」とも言えるモデルチェンジが行われました。

 ハンドル形状を変更してよりリラックスしたライディングポジションとしたり、フレームのシートレールを変更してリアキャリアやトップボックスの装着に対応するなど、快適性や利便性も向上させました。

 そして2017年のモデルチェンジで平成28年度排出ガス規制に適合させるとともに、最高出力を従来モデルから3馬力アップ。他にも新構造のマフラーや前後サスペンションの設定変更、タイヤの空気圧チェックなどに使いやすいL字型のエアバルブなど、細部に渡って熟成を極めました。

 その後も「CB400SF/SB」は新色の追加や特別色のモデルをリリースしますが、令和2年排出ガス規制の適合は行われず、2022年10月をもって生産終了しました。

「CB400SF」の歴史は続く!

 こうしてホンダのロードスポーツの代名詞である「CB」ブランドの中でも、排気量を変えずに同名のバイクとして最長とも言えるロングセラーを誇った「CB400 SUPER FOUR」は、30年の長い歴史の幕を下ろしました。

 ……と、多くのライダーは感じましたが、稀代の人気車にも関わらず生産終了に際して、なぜか「ファイナルエディション」は発売されませんでした。これが何を意味するのかは、今となっては誰もが知る通りです。

2026年に復活・発売された「CB400 SUPER FOUR[NC70型]」
2026年に復活・発売された「CB400 SUPER FOUR[NC70型]」

 話は冒頭に戻り、2025年秋の中国・重慶モーターサイクルショーで「CB500 SUPER FOUR」が発表され、「CB400 SUPER FOUR」の復活の狼煙が上がりました。

 そして2026年8月に新型の[NC70型]が販売され、4年近くの休止期間はありましたが、この先も「CB400 SUPER FOUR」は歴史を紡いでいくのです!

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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