“アメリカン”はバイクもコーヒーも時代の潮流だった!? 憧れが生み出した日本流の解釈! デイドリップ通信Vol.61

バイク乗りの店主、黒田悟志さんによる連載コラム。今回はバイクとコーヒーの世界で同じ時代に一世を風靡したアメリカンについてのお話です。

コーヒーとバイクの「アメリカン」、その意外な共通点とは?

 こんにちは、Day Drip Coffeeのクロダです。都内のとある住宅街で小さなロースターカフェをやっている、バイクの好きな店主です。

このコラムは「バイクとコーヒー」をテーマに、この二つの世界を行き来して感じた様々なトピックをお届けしています。

 今回のテーマは「アメリカン」です。皆さんはアメリカンと聞くと何を思い浮かべますか? 僕は仕事柄、やはりコーヒーの世界の方のアメリカンを思い浮かべます。

 でもバイクの世界にもアメリカンバイクというカテゴリーがありますよね。この二つは全く異なる世界のアメリカンですが、不思議と共通するところもあると思っています。そこで今回はそれぞれのアメリカンについてちょっと深掘りしてみたいと思います。

 まずはバイクの方のアメリカン、「アメリカンバイク」から。これは言わずもがなですが「ハーレーダビッドソン」に代表されるバイクのスタイルですね。その特徴はロー&ロング。着座位置が低く、ステップは真下より前方に。また長いホイールベースと、フロントのキャスター角が大きく寝ていることから、直進安定性も高い設計。ゆったりした姿勢でロングライドを楽しむタイプです。

 アメリカンバイクは直訳すれば“アメリカのバイク”ですが、その昔は「ジャメリカンバイク」と呼ばれる国産バイクが、4大メーカー全てにありました。エンジンはハーレーダビッドソンと同様のV型2気筒が王道ですが、並列2気筒や単気筒はもちろん、中には直4エンジンを搭載するモデルもありました。

ロードスポーツ系バイクのエンジンを中低速寄りにデチューンしたものです。例えば排気量400cc、48馬力/10,000回転のマルチエンジンを搭載したアメリカンバイクなんていうのが実在しました。

 現在では時代が変わり、その系譜も変化しました。まずは呼び方が「クルーザー」となったこと。そして国内メーカーでは2社、ホンダからレブルシリーズ、カワサキからバルカンSとエリミネーターシリーズがあるのみです。またこれら全てが並列2気筒というのも特徴でしょうか。それはハーレーからの流れを汲むというより、ジャメリカンバイクを源流として現代風に再定義されたものという印象です。

アメリカンスタイルのホンダ「CBX400カスタム」
アメリカンスタイルのホンダ「CBX400カスタム」

 そしてもう一方、コーヒーのアメリカンについて。アメリカンコーヒーというメニューが現在もあるのは昔ながらの喫茶店くらいで、ほぼ見かけなくなりましたね。

 当時、喫茶店のアメリカンは一般的にブレンドコーヒーを少し薄めたもので、ブレンドのお湯割りでした。元々アメリカ人が軽めのコーヒーを嗜む流れがあり、それを日本流に再現したものという感じです。

 本来の意味合いでのアメリカンは、浅煎りの豆を軽めにドリップしたものです。こだわった店だとそんなコーヒーを提供していたと思います。

 アメリカで軽めのコーヒーが嗜まれていたのは、コーヒーを紅茶の代用品としていた時代があったせいです。直接のきっかけは今から250年ほど前、まだ独立前のアメリカで起きた「ボストン茶会事件」という出来事です。それはのちにアメリカ独立戦争へと発展する、時代の転換点でした。

 コーヒーを紅茶の代用品のように飲むならば、当然軽やかで薄めにします。それが日本の喫茶店文化の中で、アメリカンというスタイルで定着したのですね。

 バイクとコーヒー、両方のアメリカンに共通するのはどちらも和製英語だということ、そして昭和に一時代を築いたものということです。また今はほぼ死語になっているけれど、その流れは形を変えて、現代もその潮流は息づいていること。つまりどちらのアメリカンも時代の大きなうねりの中に存在したものだったと言えるのではないでしょうか。

 昔のアメリカというのは今の20〜30代の人には想像もつかないくらい本当に憧れの国であり、日本人の文化や感性、暮らしや意識に大きな影響を及ぼした存在でした。

 でも現在のアメリカは様々な分断や二極分化、極端な政治姿勢など、社会的な影を感じるような国だと思います。今も大国であることに変わりはありませんが、憧れを込めて“アメリカン”と銘打つ事柄はしばらく現れにくいかもしれませんね。

【画像】こんなにあったの!? これでもごく一部。和製アメリカンを一挙紹介!!(30枚以上)

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Writer: 黒田悟志

世田谷の自家焙煎カフェDay Drip Coffee店主。自転車ロードバイクに20年ほど乗ってきたが、2年前オートバイに目覚めて自動二輪免許取得。両足2気筒から4スト単気筒へ。昨年はSSTRにも初参加しバイクライフを堪能中。

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