CBの歴史はここから始まった! 60年前のベンリイ CB92スーパースポーツが軽快な走りを披露!!

発売されてから令和元年で60周年を迎えるホンダ「ベンリイ CB92スーパースポーツ」は、初めて『CB』の名がつけられ、市販スポーツモデルの元祖ともいえるモデルです。

60年続くCBの歴史はこのマシンから始まった

 ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)内にあるホンダコレクションホールでは、「DREAM CB750FOUR 誕生50年特別展示」を開催中ですが、ホンダは報道関係者向けに「ベンリイ CB92スーパースポーツ」を披露し、元ホンダ・ワークスライダーの宮城光さんが走行もしました。

「ベンリイ CB92スーパースポーツ」で走行する元ホンダ・ワークスライダーの宮城光さん

 ベンリイ CB92スーパースポーツは「週刊少年マガジン」や「週刊少年サンデー」が創刊された1959年(昭和34年)に発売され、初めて“CB”の名がつけられたモデルです。また、スーパースポーツと名乗ったとおり、市販スポーツモデルの元祖ともいえます。

 ベンリイ CB92スーパースポーツには、バックボーンプレススチールに排気量124.67ccの空冷4サイクル2気筒OHCチェーン駆動エンジンを積み、15PS/10500rpm、最大トルク1.06kgm/9000rpmを発揮。最高速度は130km/hにも達しました。大卒初任給が1万3000円、コーヒー1杯60円、そば35円、ビール125円の時代、当時の新車価格は15万5000円でした。

空冷4サイクル2気筒OHCチェーン駆動エンジンを搭載

 今回の特別展示はその10年後に登場し、国内外の二輪市場を席巻した「DREAM CB750FOUR」の誕生50周年を記念したものですが、今年は“CB60周年”ともいえる節目であることがわかります。

 ホンダコレクションホールでは所蔵車両が動態保存され、時代を経たモデルであっても良好なコンディションが保たれているから驚きとしか言いようがありません。

じつはCBより長い歴史を持つブランドがあった!!

 2011年にビジネス用原付スクーター「ベンリィ」シリーズが登場していますが、“ベンリイ”というネーミングが気になる人も少なくないかもしれません。

1959年に発売された「ベンリイ CB92スーパースポーツ」

 筆者がバイクに乗り始めた80年代後半では、ホンダ・ビジネスバイクの代名詞で「ベンリィCD50/90/125T」が元気に走り回っていました。その頃を知る40代以上のライダーでしたら、その名に違和感はないかもしれませんが、若い人たちには「“ベンリイ”ってナニ?」って思うはずです。

「自転車より便利」と謳い、1953年に「ベンリイ J型」が発売され、以来さまざまなモデルにその名が用いられていました。70年代後半からはビジネスバイクにのみ使われましたが、かつてはスポーツスクランブラー「ベンリイSL90」(1969年)であったり、若者向きのスポーツ車「ベンリイSS50」(1967年)などがあり、“仕事用”の匂いはまったくなく、小排気量モデルに広く使われていたポピュラーなネーミングだったことがわかります。

東京モーターサイクルショー2019で発表された「BENLY ELECTRIC(プロトタイプモデル)」

 今春の東京モーターサイクルショー2019で、ホンダは「PCX ELECTRIC」に次ぐ電動二輪車の第2弾として「BENLY ELECTRIC(プロトタイプモデル)」を世界初公開しました。CBより長い歴史を持つ“ベンリイ”は次世代へも受け継がれて行くのです。

 報道陣の前を軽やかに駆け抜けていく「ベンリイ CB92スーパースポーツ」を眺めつつ、そんなことを思うのでした。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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