「野獣」がコンセプトのオーストリア産オレンジマシン KTMの新型「1290スーパーデュークR」はなにがスゴイ?

オーストリアのバイクメーカー「KTM」のフラッグシップモデル「1290スーパーデュークR」が2020年型で大きく進化しました。海外のメディアローンチに参加した伊丹孝裕氏がわかりやすく解説します。

ヒトに寄り添ってきた感のある新型、大幅な改良が施されていた

「THE BEAST」、つまり「野獣」というネックネームを持つKTMの「1290 SUPER DUKE R(1290スーパーデュークR)」が新型になり、日本では2020年4月に発売されることになりました。それに先立ち、ポルトガルで開催された発表&試乗会に参加。まずは新しくなったポイントを紹介していきましょう。

KTM「1290 SUPER DUKE R」(2020年型)に試乗する筆者(伊丹孝裕)

 そもそもビーストと呼ばれるようになったのは、2014年モデルからです。このとき「990スーパーデュークR」がフルモデルチェンジを受けて「1290スーパーデュークR」へと進化。それまで999ccだった排気量が一気に1301ccへ引き上げられたことがきっかけになりました。

 だって想像してみてください。1290スーパーデュークRのエンジンはV型2気筒、たったひとつのシリンダーでほぼ軽自動車1台分に相当する650.5ccのエネルギーを発散しているわけです。そんなものが股の間にふたつあり、交互にドカンドカンと爆発しているのですから、野獣感はハンパなし。とりわけ男性はなんとなく腰が引けるのではないでしょうか。

 実際、初期の1290スーパーデュークRはなかなかの暴れん坊で、スロットル操作に対して敏感に反応するものだから「どうどう」とたしなめなくてはならない場面がたびたびありました。

 それがしつけられたのが2017年のこと。このときに施されたマイナーチェンジによって野獣は従順な大型犬くらいに変貌し、乗り手が無理にけしかけない限り、きちんと「待て」ができるようになったのです。

 では、今回発表された2020年モデルは一体なにが違うのか? 最大の変更点は主に車体にあり、メインフレームもサブフレームもスイングアームもすべて刷新。その形状が大きく様変わりしたことがトピックと言えるでしょう。

刷新されたメインフレームとサブフレーム(シートレール)

 その中でも目立つ部分がメインフレームです。クロモリ鋼を溶接で組み合わせる手法自体に変わりはないものの、長円状だったメインパイプ部分は極太の丸状になり、それを低い位置に取り回してエンジンを懸架。これまでのフレームと比較すると、シンプルかつ直線的な構造になったことが特徴です。

 実際これによってねじり剛性は3倍(!)にアップし、それでいて2kgの軽量化も達成しています。シートを支えるサブフレームの素材はクロモリ鋼から強化プラスチックの複合材になり、スイングアームの鋳造方法も最適化されるなど、ハンドリングの安定化が図られています。

 排気量を含め、エンジンの基本構造に変わりはないものの、シリンダーヘッドやクランクケース、吸排気系のパーツなど、細やかな改良が積み重ねられた結果、パワーとトルクの特性は扱いやすいものへ変化し、もちろん厳しい排ガス規制もクリア済みです。

 ところで、野獣というニックネームがなくてもKTMにはスパルタンなイメージがありますが、この新型はライダーに寄り添ってくれるモデルでもあります。

 たとえば、メーターディスプレイは好みや体格に合わせて角度調整が簡単に行えるほか、ハンドルバーは4段階、22mmの幅で位置がアジャストできるなど“おもてなし”を重視。高いスペックだけでなく、フレンドリーさも大きく引き上げられた点も見逃せません。

 それらが一体どんな走りをもたらしてくれたのか? その詳細はインプレッションを通して、あらためてお届けしましょう。

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 新型「1290スーパーデュークR」(2020年型)の価格(消費税10%込み)は217万9000円です。

【了】

【画像】KTM「1290スーパーデュークR」(2020年型)詳細(8枚)

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Writer: 伊丹孝裕

二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。マン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムなど、世界各国のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。

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