初代モンキーよりさらに小さい「リトルモンキー」 微笑みの国「タイ」で生まれた微笑ましい姿のコンプリートバイク

タイのバイクショップ「Custombike99」は、ホンダのモンキーをイメージソースにしたカスタムバイク「リトル・モンキー」を公開しました。どのようなコンセプトで創られたのでしょうか。

キュートなモンキーがさらにキュートに

 1961年にホンダのレジャーランド向けとして『Z100』が登場し、’63年には輸出向けの『CZ100』、そして1967年には日本国内向けとして『Z50M』が販売され、今もなお高い人気を誇るホンダ『モンキー』シリーズ。2018年にあらゆる点でグレードアップされた『モンキー125』が登場し、多くのユーザーに受け入れられているのは周知のとおりですが、しかし、昔からの『モンキー・ファン』の意見を耳にしてみると、「車格がデカすぎる」というのが正直なところではないでしょうか。

イメージソースとなったホンダZ50Aモンキー(左)と比較しても、その小ささが伝わるであろう一枚。Z50Aの1225mmという全長から察するにおそらく900mmほどのサイズです

 たとえば現行『125』の全長が1710mmなのに対して国内初期型の『Z50M』は1150mm。数字にすると約56cmの差となっていますが、実車を見ると数値以上に差を感じさせます。もちろん、現行の『大モンキー』が、あらゆる部分で性能的に優れているのはいうまでもありませんが、そもそも『ハンドルを折りたためばクルマのトランクに収まるレジャービーグル』という『モンキー』のコンセプトを考えると、飽食の現代に生まれたバイクらしく「栄養が行き届いて成長しすぎた」といってもいいかもしれません。

『ミニバイク』という言葉が象徴するように、ある意味、その『小ささ』が魅力の一つといえる『モンキー』ですが、それを更に縮小したバイクが『微笑みの国、タイ』から登場しました。
\

構想8年で実現したリトル・モンキー

 製作したのはタイに拠点を置く『Custombike99』というショップで、同国内の販売チャンネルは『K-SPEED』。現在、日本でも『K-SPEEDジャパン』を展開し、現行の『スーパーカブ125』や『レブル』用のカスタムパーツをリリースすることで、日本でも一部マニアの間で注目されている同店ですが、『リトル・モンキー』と名付けられたこのマシンは、「楽しいバイクなら何でもアリ」という、その姿勢を如実に示すものかもしれません。

お子様が走らせてみても車格はご覧のとおり。排気量やサイズ的に公道走行は難しいかもしれませんが、サーキットなどでピットバイクとして使えば注目を集めそうです

 ちなみに製作した『Custombike99』のAunt氏によると、『リトル・モンキー』は構想8年でカタチになったものとのことでフレームはワンオフ(一品もの)。そこにホンダ製35ccの芝刈り機用4ストロークエンジンを搭載しています。ホイールサイズは前後4インチという初期のモンキーシリーズを踏襲するもので、デザインのイメージソースとした『1969年式Z50A』と比較しても、かなりの小ささであることが伝わります。また、車重においても22kgと、『Z50A』(55kg)の約半分です。

 製作者のAunt氏によると「もともとZ50Aからインスピレーションを受け、美しいスタイルに惚れ込んでいたのですが、やはり持ち運ぶには車格が大きいと思ったのが『リトル・モンキー』を作ってみようと思ったキッカケです。タイ国内で流通している小型の芝刈り機のエンジンを使い、車体を小さくすることが出来れば、様々な観光スポットにクルマで簡単に運ぶことが出来ますから。エンジンを元にフレームやタンク、シートなどを手作りで仕上げているのが『リトルモンキー』です」とのこと。

 パーツのひとつ、ひとつをハンドメイドで製作しているコンプリートマシンゆえ、現在はあくまでもタイ国内限定での販売とのことですが、何とも可愛らしい姿のこのバイク。かの国を形容する言葉のとおり微笑ましい気分にさせてくれる一台です。

【了】

【画像】本物ソックリ? 「リトル・モンキー」を見る(7枚)

画像ギャラリー

Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

最新記事