走行中にピンチ!高速道路での落し物はどう対処したらいい?

ライダーが地味にひやひやすることと言えば走行中の落し物でしょう。一般道であれば脇道に停車することも可能ですが、高速道路では停車をきっかけに事故につながる恐れも出てきます。もし高速道路で落し物をした場合、どのような対処をするのが正しいのでしょうか?

バイクの落し物は要注意

 バイクはクルマのように室内があるわけではないため、バックやポケットに荷物を入れるか、荷台にしっかりと固定して運ぶ必要があります。そんなに簡単に落し物をするわけはないと思う人もいるかもしれません。しかし、チャックの締め忘れやバイク用のジャケットを着ていなかったためにポケットから落下したといったケースや、荷台の固定が甘くて落下していたといった事例が意外に多くあるようです。

高速道路上に荷物が落下することで事故を誘発してしまう可能性もあります

 大切なものであれば戻ってでも回収したい気持ちもわかりますが、高速道路での停車や逆走は道路交通法違反に当たるだけでなく、死亡事故につながる恐れがあるためこのような行為はかなり危険です。反対に、落とした物をあきらめてそのまま放置した場合でも、過失責任を問われることもありえます。後続車両が落下物を踏んだり、避けようとしたために事故を誘発させてしまうといった最悪な結果を招く可能性もあるためです。

 高速道路での落下物は「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」となり、二輪車では7,000円の反則金と違反点数2点が科せられます。そして、第三者に被害を与えてしまった場合には刑事罰がくだるため、つい落としてしまったでは済まされないのが現実です。

どのように対処するのが正解?

 では一体どのような対処をしたらよいのでしょうか。

 NEXCO中日本によると「高速道路上で落し物をした場合、路肩に停止し、非常電話・道路緊急ダイヤル(#9910)で道路管制センターに通報をしてください。通報する場合、どこで・なにを落としたかの連絡をお願いします。」とアナウンスされており、高速道路上でやむを得ず停車した場合は非常電話を使用するように案内されています。

 連絡を受けた道路管制センターは、交通管理隊を現場に向かうように指示をし、落し物をした持ち主は指定された料金所で待機します。黄色いパトロールカーで現場に向かい落し物を回収し、本人の持ち物であることを確認出来たらその場で返却されます。

落下物が後続車に轢かれ破損することもあります

 しかし、交通量の多い高速道路は乗用車だけでなくトラックも頻繁に往来するため、タイヤに轢かれて破損してしまうことも多く、無傷で返ってくる保証はありません。SNS上では落し物をしてしまったライダーが、隊員によって回収された落し物の画像をアップしているのを見かけますが、財布が傷だらけになっていたり、スマートフォンが見るも無残な姿に割れてしまった人も多いようです。ちなみに、交通管理隊が出動した場合でも料金は発生することはありません。

 たったひとつの落し物であっても、連絡を受けた交通管理帯は必ず回収作業をしなければならず、高速で向かってくる車両の途切れた瞬間を見計らって作業します。2人1組の作業が基本ですが命がけの危険な作業となるので、隊員の負担を減らすためにも高速道路の利用者が気を付けることが大切ではないでしょうか。

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 国土交通省によると平成30年度の高速道路上には年間約34万件の落下物が回収されているそうです。一番多い落下物は「プラスチック・布・ビニール類」、次いで「タイヤなどを含む自動車部品」、その次に「木材や動物の死骸」が落下物として回収されているようです。

高速道路で持ち物を落とした時は、電光掲示板に情報が掲示されます

 自分が落とした物ではなくても、重大事故が起きないように「道路緊急ダイヤル#9910」へ通報することで料金所付近の電光掲示板に落下物注意と警告が表示されます。多くの車両が注意を払って走行するようになり事故防止にもつながるため、落下物の報告はドライバーやライダーの使命のひとつと言えるのではないでしょうか。

【了】

【画像】高速道路で落とし物をした場合の対処方法(5枚)

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