走行中ヘルメットが急に脱げてしまった!あごひもをしてなかったら違反になる?
バイクに乗るにあたりヘルメットは命を守る重要なアイテムです。しかし、街中ではあごひもをせずに走行しているライダーも少なくありません。ヘルメットをかぶってさえいれば違反にはならないのでしょうか?
ヘルメットはあごひもをしていなくても大丈夫?
ヘルメットをかぶらずにバイクを走行している人を見かけることはまずありませんが、若いライダーのなかにはあごひもを締めていなかったり、ヘルメットを後頭部にたらす感じで装着している光景を見かけることがあります。ついうっかり締め忘れてしまった場合もあれば、普段からあごひもをしない習慣のライダーも存在しているようです。
公道をバイクで走行する際は、道路交通法において「大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用ヘルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない」と定められており、ヘルメットの着用が義務付けられています。
また、ヘルメットの基準については内閣府令で次のように定められています。
1.左右、上下の視野が十分とれること。
2.風圧によりひさしが垂れて視野を妨げることのない構造であること。
3.著しく聴力を損ねない構造であること。
4.衝撃吸収性があり、かつ、帽体が耐貫通性を有すること。
5.衝撃により容易に脱げないように固定できるあごひもを有すること。
6.重量が2kg以下であること。
7.人体を傷つけるおそれがある構造でないこと。
以上の7つが定義づけされています。
耐久性や構造はもちろん、重量が2kg以下であることや簡単に外れないようにあごひもの有無なども明確となっています。したがって、ヘルメットをかぶっていたとしてもこれらの基準をクリアしていなければ違反の対象とみなされてしまうようです。もしも違反した場合は、「違反点数1点」が加点され「反則金なし」となっています。
しかし、基準が定められているといっても具体的な数値までは示されていないのも事実で、警察が目視によって取り締まりをするのは困難と言えます。また、あごひもについては有無の基準はあるものの、走行時にひもを締めることまでは法律上の記載がないため解釈の違いが生まれているのが現状のようです。警察官によっては注意で済まされるケースも多く、ヘルメットをかぶっている以上は「ノーヘル」扱いにもなりません。
ヘルメットの選び方に要注意!
ヘルメットに関しては、法律上の違反を犯さなければ問題ないといった認識は大きな間違いです。転倒時に頭部の衝撃を守る目的はあるものの、あらゆる事故形態から頭部を保護できる保証はなく、正しいヘルメットを正しいかぶり方でかぶることが重要と言えます。
警視庁が令和2年7月から8月に行った調査によると、ヘルメットの形状別着用者の割合は「フルフェイス31%」「ジェット40%」「半キャップ28.7%」となっており、そのうちあごひもの結束状況は「73.1%が適正」「21.6%が緩く結束」「5.3%が結束なし」とされています。全体の3/4は適正となってはいるものの、過去3年間におきた死亡事故においてはヘルメットの脱落割合は40%となっており、そのうち半キャップ型の割合は過半数を占めています。ヘルメットがきちんと装着されてさえいれば防げた死亡事故もあり、バイクにとってヘルメットがいかに重要かを再認識しなければなりません。
近年はネットショッピングでも気軽にヘルメットを購入することができますが、注意しなければいけないポイントがいくつかあります。
まず、バイクのヘルメットには市販用と装飾用があります。市販用には消費生活用製品安全法が定めている規定があり、排気量が「125cc以下は半ヘルOK」「125cc超は半ヘルNG」といった販売の決まりもあります。日本国内で販売するためには強度などの検査をクリアした特定製品に指定される必要があり、合格した製品にはPSCマークを付けることが義務付けとなっています。
しかし、なかには装飾用として販売されているヘルメットもあり、走行での使用を想定していないといったスタンスで販売されている場合もあるようです。このようにデザインや価格重視の装飾用は安全基準の検査すら実施していないケースもあり、もちろんPSCマークも貼られていません。しかし、販売用や装飾用に関しては販売者が問われる法律であり購入者が罰則を受けるわけでもなく、実際に公道で装着したとしても取り締まりに合うケースは少ないようです。
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ヘルメットは転倒時に頭部を守るためには絶対に必要な装備となります。違反かどうかよりも、まずは自分や同乗者の命を守ることを最優先に考えなければいけません。また、ライダーにとってはヘルメットのデザインや機能性も大切なポイントとなることもわかります。そのヘルメットが基準を満たしているのか、また装着方法が適切であるかをいまいちど再確認してみてはいかがでしょうか。
【了】