バイクの高速料金「定率割引」拡大と都市部のバイク駐車場整備拡充を訴える! 自工会とAJが与党公明党と懇談
日本自動車工業会二輪車委員会と全国オートバイ組合連合会は2022年10月28日、公明党オートバイ議員懇話会(北側一雄会長)に対して、二輪車ユーザーの負担軽減を求める要望を行ないました。その中心は今年始まった定率割引など通行料金の適正化と、不足が続くバイク駐車場の整備について。年末の予算案編成に向けての動きが始まっています。
バイクの高速道路利用は増えているゾ! 負担の公平性と料金の適正化を求む
日本自動車工業会二輪車委員会は、高速道路会社からデータ提供を受けて、バイクの利用状況を分析しました。実施日などの条件を共通化した上で「定率割引」と「ツーリングプラン」を比較し、ツーリングプランより定率割引のほうが「利用件数日平均で3.4倍と利用が高い」と分析。現状で土日祝日に限定されている実施日の拡大を求めました。
また、片道100km以上の走行が求められている適用条件についても「100kmは長距離ツーリング」と指摘。100km縛りの撤廃、あるいは条件を定めてその日の合算に緩和するなど、利用者のさらなる増加を目指す改善を求めました。
ツーリングプラン(=定額割引)についても、コロナ禍で実施期間が短縮されている影響から利用者総数は減っているが「日平均は過去を上回る」と分析。
2017年からの利用実績を1日あたりの平均利用件数で見た結果、2017年は367件、コロナ禍で限定実施となった2020年は、首都圏では388件(全国日平均は140)、2021年は667件と大きく伸びていることが分かりました。
バイクの高速・通行料金は軽四輪と同じ「軽自動車等」に含まれています。車種間の負担の公平性を損なう国土交通省と高速道路会社に対して、ユーザーの負担軽減を求めるバイク業界は、二輪車料金の適正化は、新たな需要喚起につながる、と料金の適正化を求めています。
これに対して国交省と高速道路会社は、現行の軽自動車料金よりバイクを安くすることは、高速道路の建設費などの返済を遅らせると主張してきました。
「二輪車の効用が再認識される中、短期間でも実施すればコロナ禍であっても利用は集中し、多くの利用がある。今後は定率定額のそれぞれの利点を強め、弱点を改善し、来年以降のさらなる利用拡大を目指す」(自工会二輪車委員会)
バイク駐車場問題は、都市部では改善されてこなかった?
公明党オートバイ議員懇話会の北側一雄会長は、懇話会冒頭の挨拶で次のように話しました。
「二輪車はまだまだ課題がたくさんある。公明党は自動車ユーザーのみなさんが、二輪車を利用しやすい環境を、日本で作ってまいりたい。これまでもさまざまな要請を承ってきたが、一歩二歩前進したところもあれば、まだまだこれからの課題もある」
北側会長の「まだまだこれからの課題」と指摘する代表が、バイクの駐車場問題です。全国オートバイ協同組合連合会(AJ)の石井大専務理事は、こう訴えました。
「駐車場は都市部を中心に非常に不足している状態。改善策のひとつが、警察庁から今年の3月通達が出ているが、(都道府県警察の)取り組みの結果を年度末に(警察庁に)報告するとなっている。この報告を追いかけていくことで、整備の進捗を図ることができると考えている」
また、宜野座朝洋副会長は、バイクは第1通行帯を走れという沖縄県独自の通行規制について、全面的な規制撤廃を求めました。
「1983年の規制当時と現在では、ライダーの走行マナーもかなり違っている。県民にとって通勤、通学、買い物にオートバイは移動に欠かせない乗り物なので、早い段階で撤廃をお願いしたい」
第1通行帯しか通行することできない、という規制は、国道58号、国道330号など2~3車線の幹線道路で約54km残っています。コロナ禍で2年連続、その規制区間は短縮されましたが、ローカル・ルールを知らない観光客ライダーの安全が懸念されています。
「沖縄は観光立県でコロナ禍前は年間1000万人の観光客が訪れ、レンタルバイクの利用も非常に多いです。このルールが分からず、戸惑った観光客の話をたくさん聞いている」(宜野座副会長)
沖縄県内のバイク事故は減少傾向で、通行規制を一部解除したことによる増加はありませんが、沖縄県警は規制による変化を見極めて「規制の解除に向けて検討している」。
懇話会には21人の国会議員が出席。元国土交通大臣の石井啓一副会長も顔を見せました。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。