スクーターってどういう意味?原付=スクーターとは限らない?
「スクーター」をてっきり「原付」のことだと勘違いしている人がいるようですが、実は正しくありません。「スクーター」という言葉の意味をおさらいします。
「スクーター」=「原付」ではない!ちゃんとした定義があります
バイクにあまり詳しくない人でも、「スクーター」という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。しかし意味をしっかりと理解しているかというと話は別。スクーター=原付のことだと認識している人も多いかもしれませんが、これは誤りです。
では、「スクーター」の定義はどのようなものなのでしょうか。
かつて、現在の経済産業省にあたる通商産業省が定めた定義によると、スクーターは「原動機を座席の下に設け、前方に足踏台のある、車輪の直径が22インチ以下であるような2輪自動車」であるとのこと。
通常のバイクの場合、乗馬のような姿勢で跨り、足は左右の棒状のステップに乗せます。一方スクーターの場合、足を乗せる部分はボード状になっており、跨るというよりは座るような姿勢で乗車します。
また、現代のスクーターのシート下は大きな収納スペースになっており、通常のバイクと比べて積載性に優れています。ギアもオートマチックであることを考えると、非常に便利で普段使いに適した車体形状であると言えるでしょう。
このように、スクーターは特定の車体形状を表す言葉であるため、排気量は関係ありません。そのためベスパ「プリマベーラ150」など、原付でないスクーターも多く存在します。
逆に、通常のバイクのような形をした原付を「スクーター」と呼ぶこともありません。誤ってスクーターと呼んでオーナーの機嫌を損ねてしまうことのないよう、注意しましょう。
スクーターの歴史は長い……電動キックボードとの意外な関連も?
スクーターの歴史は長く、1915年にはアメリカでスクーターの原型となる「Autoped」が発売されました。キックボードの前輪にエンジンをつけたような形状で、サドルも無く立ち乗りが前提の車両です。
この車体の形状に注目してみると、現在話題になっている電動キックボードと形状がそっくりであることに気がつきます。
交通事情やライフスタイルの変化、技術の進歩などのさまざまな要因が組み合わさった結果、一周回って100年前の車体と似たような形の乗り物が普及しているのは非常に面白いことだと言えるでしょう。
その後、1919年にはイギリスで「Skootamota」が発売されました。4ストロークの125ccエンジンを搭載し、最高速度は24km/hと言われていました。後輪にエンジンを配置し、その上にサドルを設けた車体は現在のスクーターを彷彿とさせます。
なお、日本で初めて普及したスクーターは、現在のスバルにあたる富士産業が製造、販売した「ラビット」というスクーターでした。第二次世界大戦後にアメリカのスクーターを手本に開発され、1968年までの間に同名の多種多様なモデルが販売されました。
また、現在の三菱重工業にあたる中日本重工業も1946年から「シルバーピジョン」というスクーターを製造、販売しており、1964年まで販売されていました。
こうしたスクーターは外装、フレームが鉄製だったことから「鉄スクーター」と呼ばれることもあります。レトロでかわいらしい見た目や、多種多様なモデルの奥深さもあってか今でもファンが絶えず、専門店も多数存在するようです。
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スクーターはバイクの形状のことを指す用語であるため、必ずしも原付のことを指すわけではありません。また、原付だからといってスクーターであるとは限らないということも覚えておく必要がありそうです。