ヒルクライムで訪れたい全国屈指のパワースポット『分杭峠』
標高1424mの「分杭峠」は、全国有数のパワースポットとして知られる、長野県伊那市と下伊那郡大鹿村の境界に位置する峠です。ぜひ自転車で訪れたい、峠の魅力を紹介します。
「分杭峠」の歴史と魅力
「分杭峠(ぶんくいとうげ・ぶんぐいとうげ)」は、長野県伊那市と下伊那郡大鹿村の境界に位置する峠です。縄文時代から、海と山を結ぶ道、内陸へと塩を運ぶ道として利用されてきました。

江戸時代には、現在の長野県伊那市高遠町から、静岡県浜松市の「秋葉神社」への参詣道「秋葉街道」の一部として、重要な交通路となりました。高遠藩(たかとおはん)が領地の境を明確にするために「従是北高遠領」と刻まれた石柱(分杭)を立てたことが、峠の名前の由来とされています。
秋葉街道は「中央構造線」(関東から九州に伸びる長大な断層)上にあり、両側を高い峰々に挟まれた谷筋を通っています。中国の有名な気功師である張志祥師が分杭峠に「ゼロ磁場」を発見し、パワースポットとして注目されるようになりました。2010年以降、メディアで取り上げられたことで訪れる人が増加しています。
ゼロ磁場とは、大きな地層が互いに押し合う断層付近で巨大な力が均衡を保つ空間です。そこには大きなエネルギー「氣」が集積されると言われています。そのため、ゼロ磁場は「氣場」とも呼ばれています。
ヒルクライムで挑む分杭峠
分杭峠は人気が高まり、峠付近の路上駐車が問題となり、現在はマイカーでの訪問が禁止されています。しかし、峠の山頂にはバイクラックがあります。そう、自転車での訪問は歓迎されているのです。

標高1424mの分杭峠へのヒルクライムルートは大きく分けて3つありますが、高遠町を出発して秋葉街道、中央構造線に沿って登る北からのアプローチをオススメします。このルートは約7km、標高差550m、平均勾配8%と、本格的なヒルクライムを楽しめます。山頂に飲食店や売店はないので、水分と補給食は忘れずに携帯しましょう。
厳しい登坂を終えて分杭峠に辿り着くと、背後にはいま登ってきた街道が走る谷を見渡せます。自分の脚で登った標高差を視覚的に体感できるのは、真っ直ぐに延びた中央構造線に沿った道だからこそ味わえる醍醐味です。
「動」と「静」で心を整える
バイクラックに自転車を停めたら、ロードシューズの人はクリートカバーを装着しましょう。受付で施設使用料500円を支払います。クルマでアクセスする場合は、麓の戸台パークに駐車し、シャトルバスに乗り換えて峠まで上がります。バス利用者は分杭峠山頂での施設使用料500円が免除されますが、バス往復料金が1500円かかります。自転車で訪れれば、ヒルクライムを楽しめる上に、1000円も節約できるなんて最高ですね。

徒歩で山道を数分下ると、斜面に木製のベンチが設置されています。他の利用者と同様に、ベンチに腰掛けて静かに森林浴をしていると、心が落ち着いてくるのを感じます。分杭峠がパワースポットとして全国から多くの人を引きつける理由がわかる気がしました。
地球科学的に、地磁気が完全にゼロになる場所は地球上に存在しません。ゼロ磁場は東洋思想に基づく「氣」の流れを感じる場所だそうです。科学的には証明されていませんが、分杭峠は大自然の中で森林浴を行ない、心を落ち着かせることができる場所と考えれば良いと思います。

ヒルクライムで自分と向き合う「動」の時間と、ゼロ磁場で心を落ち着かせる「静」の時間。この対局にある、自分と向き合う贅沢な時間を存分に味わえる分杭峠に、ぜひ自転車で訪れてみてはいかがでしょうか(分杭峠へ至る国道152号は通行止めになることが多いので、訪問前に伊那市観光協会の公式サイトにて最新の情報をご確認ください)。
Writer: 才田直人
1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。










