駐車場所に戻ったら愛車がゴロン……(泣)まさかのバイク“置きゴケ”を防ぐには?
バイクを駐車したパーキングに戻ったら、愛車がゴロンと倒れていた!? あまりにも衝撃的な光景でにわかに信じられませんが、タイヤが2つしかないバイクには「置きゴケ」の危険もあります。これは何としても避けたいトコロです。
走ってもいないのに転ぶなんて……
走行中の転倒は(立ちゴケも含め)、基本的に乗り方やテクニックの問題ですが、バイクは走ってもいない駐車中に倒れてしまう「置きゴケ」の危険もあります。
走っていないので破損は軽微かもしれませんが、それでもレバーが折れたりペダルが曲がる可能性はあるし、ウインカーが割れて点灯しなくなった場合も含めて走行に支障が出ます。
というか、そこまで破損しなくても、小さな傷がついただけでも心が折れます。乗り方やテクニックと関係ないだけに、なおさらショックが大きいものです。

それではなぜ駐車中にバイクが倒れてしまうコトがあるのでしょうか? バイクはタイヤが2つしかなく、クルマのように4輪で踏ん張っているわけではないので倒れやすい気もしますが、駐車中はサイドスタンドまたはメインスタンドを使っているので「三点支持」になります。じつはカメラや望遠鏡の三脚と一緒で、三点支持はけっこう安定性が高いと言えます。
それなのに駐車中に倒れてしまうのには、いくつか理由があります。まず外的な要因として、人がぶつかったり強風にあおられるなどが考えられます。確かに悪意を持って故意に押せば簡単に倒れるだろうし、台風のような強風や突風には耐えられません。
とはいえ軽く触れたり、そこそこ強い風くらいで倒れる可能性は低いでしょう(バイクの構造によって異なる)。にもかかわらず倒れてしまうのは「駐車場所」に原因があると考えられます。
「置きゴケ」しやすい駐車場所とは?
それは「路面が傾斜している場所」です。たとえばサイドスタンドで停めて車体が直立するほど路面が傾斜していたら、さすがに危険を感じるのでそんな場所に停めるライダーは少ないでしょう。
またブレーキを離した瞬間にコロコロとタイヤが転がってしまうほど前下がりや後下がりの場所も、大抵のライダーは危険を察知して避けるでしょう。
しかしサイドスタンドで停めてブレーキを離しても車体が動かないくらいの「少し前下がりの場所」だと、路面の傾斜に気が付かない(分からない)かもしれません。
そしてこのような場所に駐車したら、通りすがりの人が軽く接触したり、少し強めの風にあおられただけでも車体がわずかに前進し、それにつられてサイドスタンドが跳ね上がってバタンッ! と倒れてしまうケースがあります(ハーレーなどサイドスタンド使用中はスタンドにロックがかかり、勝手に跳ね上がらない車種もある)。
少しでも路面が前下がりの場所は駐車を避けるべきです……が、前述したようにわずかな傾斜は気づかない(分からない)かもしれません。

と、前置きが長くなりましたが、路面の傾斜や人の接触、強風に耐えるには、駐車中に車体が前後に動かないようにすることが重要です。そのもっとも簡単な方法が「駐車中はギアを1速に入れておく」です。
「そんなコト知ってる!」と怒られてしまいそうですが、大切なのは確実に1速に入っているか確認することと、1速に入れた後に「動かなくなるまで前に押し出す」ことです。
たとえばニュートラルからシフトペダルを踏み下げて「1速に入れたつもり」でも、実際は入っておらずニュートラルのままということが少なくありません。これはバイクで主流の常時噛合式のトランスミッションの特性です。
そこでシフトペダルを踏み下げた後は、エンジンを止めてクラッチレバーを離した状態で、必ずバイクを前へ押して確認します。1速に入っていれば後輪が回らないハズです。またこのチェックをすることで「動かなくなるまで前に押し出す」作業を同時に行えます。
じつはギアが1速に入っていても後輪は少しだけ回転し、車種によっては車体が10cmほど動きます。もし、この移動量でサイドスタンドが跳ね上がってしまったら、せっかく1速に入れても意味がありません。
ブレーキロックで前進防止!
駐車中に倒れないようにするには、ギアを1速に入れておく他にも「ハンドルを端まで切っておく」ことも有効です。前輪が真っすぐな状態では、外部から力が加わった際に車体が揺れたり、タイヤが転がりやすい状態と言えます。
これは駐車時にハンドルロック(左端まで切った状態)をかけておけばOKなので、防犯の意味でも多くのライダーが実践しているでしょう。

そして前輪が回転しないようにするには、フロントブレーキをかけた状態にしておくことも有効です。それにはブレーキレバーとグリップを紐やゴム紐で留めれば良いですが、簡単なのは市販の「フロントブレーキロック」の使用でしょう。
また、ブレーキレバーとスロットルを固定してカギをかけられるタイプのレバーロックを使えば、防犯と置きゴケ防止の両方に効果があるのでオススメです。
サイドスタンドの接地面積を広げる
「置きゴケしやすい駐車場所」としては、傾斜した路面の他にも土や砂利など未舗装の駐輪場が挙げられます。また舗装されている場合も、真夏は暑さでアスファルトが柔らかくなるため、サイドスタンドが食い込んで車体が倒れてしまうこともありがちです。
そこで便利なのが、サイドスタンドの接地面を広げて荷重を分散する「サイドスタンドパッド」です。これは鉄板や厚手のアルミ板、木の板でもOKですが、携帯しやすい専用品(価格も安価)が良いかもしれません。

とはいえ駐車する際に毎回サイドスタンドの下に板やパッドを置くのは面倒(走り出す際にも回収する必要アリ)という場合は、サイドスタンドの接地面に装着する「サイドスタンドプレート」(基本的に車種専用。サイドスタンドエクステンダーなど他の製品名もアリ)が便利かもしれません。
駐車中の置きゴケを防ぐには、平坦で硬い路面の場所に停めるのがセオリーですが、必ずしもそんな場所に停められるとは限りません。
まずは「ギアを1速に入れる」ことを習慣にし、併せてフロントブレーキロックとサイドスタンドパッドを使用すれば万全……とまでは言い切れませんが、かなりの確率で置きゴケを防ぐことができるでしょう。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。








