“ヨンヒャク直4ネイキッド”の先駆け!? ホンダ「スーパーフォア」の前に登場した「CB-1」 これまでになかったシンプルな機能美は本流へ
1989年に登場したホンダ「CB-1」は、国内のメインストリームとなる新世代ネイキッドスポーツカテゴリーを築いた存在です。排気量400ccクラスの直列4気筒エンジンとマッスルな鋼管パイプフレームの組合せが、それまでにない個性を引き出しました。
これまでにない力強くメカメカしい機能美で新登場
1989年に発売されたネイキッドロードスポーツモデルのホンダ「CB-1」は、レースブームが訪れた1980年代のバイク界に、新たな思想で投入されました。
スポーツバイクは他車よりも速いことが重要視され、大袈裟に言えばサーキットで勝てることがそのバイクの価値を決めていました。
1975年の免許制度の改正以来、激戦区となった400ccクラスでも事情は同様で、ホンダはこのクラスに「VFR400R」と「CBR400RR」というレーサーレプリカ2機種を投入しています。
一方ではフルカウルのレプリカとは異なるバイクを好むファンに向けて、単気筒エンジンの「GB400TT」やV型2気筒エンジンの「ブロス プロダクト2」という2機種のスポーツモデルをラインナップしていました。
こうした流れの中で、ホンダはレーサーレプリカのようによく走り、デザインはトラディショナルという新しいスタイルのバイクを模索します。

開発コンセプトを「感覚性能追求」とした「CB-1」は、走行性能と機能美の共立を追求し、ライダーの感性を刺激するバイクを目指しました。
完成した「CB-1」は強力な個性を主張しており、あえて自分だけのスタイルを貫く潔さがあります。走りに関しては「CBR」譲りの高性能に加え、フォルムやマテリアルにも作り手の自信が感じられます。
最高出力57PSを発揮するカムギアトレインの水冷直列4気筒DOHCエンジンを極太の鋼管パイプフレームに搭載しており、その車体にはシンプルなラインと機能美あるメカが混在しながら、「CB」らしい伝統的なシルエットに仕上げています。
当時のカタログでは、「CB-1」は伝統、前衛、究極、原点という相反する要素の全て持っており、かつ、それらのいずれにも属さず、「オレはオレだ」「新しいストーリーはオレから始まる」と宣言しています。
1980年代、道路の信号停止線や峠の駐車場は、フルカウルのレプリカだらけです。好むと好まざるにかかわらず、「CB-1」が横に並んだら無視できない存在感があったのではないでしょうか。

バイク本来の持ち味である爽快さや開放感を肩肘張ることなく楽しめる「CB-1」は、やがてネイキッドスポーツの市場を拡大して行きます。
毎年マイナーチェンジしながら、1991年にはセミアップハンドルと容量を拡大した燃料タンクを装備し、ツーリングへの適応を向上させた「CB-1タイプ2」を発売しています。
そして多くのユーザーが他社のエモーショナルなネイキッドモデルを支持したこともあり、ホンダは「CB-1」から始まったストーリーを踏まえ「CB400スーパーフォア」を開発し、ネイキッドロードスポーツモデルが国内のメインストリームとなって行きます。
ホンダ「CB-1」(1989年型)の当時の販売価格は64万6000円です。
■ホンダ「CB-1」(1989年型)主要諸元
エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ
総排気量:399cc
最高出力:57PS/11500rpm
最大トルク:4.0kg-m/9500rpm
全長×全幅×全高:2035×705×1025mm
シート高:775mm
始動方式:セルフ
燃料タンク容量:11L
車両重量:183kg
フレーム形式:ダイヤモンド
タイヤサイズ(前):110/70-17 54H
タイヤサイズ(後):140/70-17 66H
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員













