アポロが月に着陸した時、ホンダはCBでアメリカを席巻した!

ホンダに「CB」あり!ホンダのスポーツバイクの歴史は、ベンリイCB92スーパースポーツから始まります。現在まで脈々と続くCBの系譜は、ホンダスポーツバイクの中心的な存在として確立されています。

アメリカ輸出で大幅飛躍のドリームCB750FOURはホンダの革新だった

 ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)にあるホンダコレクションホールでは、2輪市販車展示フロアがリニューアルされ、「DREAM CB750FOUR 誕生50年 特別展示」がおこなわれています。

DREAM CB750FOUR(ライダー:宮城光氏)

 また、世界のさまざまなレースで活躍してきたCB系のレーシングマシンを展示する「CBレーサーの血統」も同時開催中。歴代のありとあらゆるCBを目の当たりにすることができる貴重な機会となっているのです。

 ホンダは報道関係者向けに、主役である「ドリーム CB750FOUR」の実走行を披露しました。ホンダコレクションホールでは展示のみならず、ほとんどの車両を動態保存しています。「ドリーム CB750FOUR」もまた絶好のコンディションで、我々メディアの前を快走したのでした。

アポロ11号宇宙飛行士 バズ・オルドリン

「ドリーム CB750FOUR」は1969年に発売。アポロ11号が人類初の月面着陸に成功し、日本では東名高速道路が全線開通。最大の二輪市場である北米は、ハーレーダビッドソンや欧州の大型バイクが主流の時代でしたが、ホンダは世界初の量産並列4気筒OHC750ccエンジンを搭載した超弩級スーパースポーツとして「ドリーム CB750FOUR」をリリース。

 アメリカ人好みのアップハンドルを備えて、マフラーは迫力の4本出し。ダイナミックなスタイルと高性能で、世界のモーターサイクルシーンを席巻していきます。年産計画台数1500台でしたが、発売後すぐに月産台数になり、さらに倍の3000台が毎月つくられました。

 この成功により、国内でもナナハンブームが巻き起こります。72年にはカワサキが“Z1”「900 SUPER4」(900cc)をアメリカへ輸出し、大ヒット。ホンダコレクションホールではホンダ車のみならず、時代を代表する他メーカーモデルも飾られており、Z1の姿も見ることができます。

ベンリイ CB92スーパースポーツ(ライダー:宮城光氏)

 走行したのは、もう1台。“ベンスパ”の愛称を持つ「ベンリイ CB92スーパースポーツ」(1959年)です。初めてCBの名がつけられた市販スポーツモデルの元祖で、バックボーンプレススチールに空冷4サイクル2気筒SOHC2バルブ124.67ccエンジンが積まれていました。

 ライダーは元ホンダワークスライダーの宮城光氏。両モデルとも、美しいサウンドを響かせてホンダコレクションホールの中庭を駆け抜け、見ているとウットリ。タイムスリップしたかのような錯覚におちいりました。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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