ハーレー2020年モデルで復活の『ローライダーS』 日本人デザイナーによる注目車両のコンセプトとは

ハーレー・ダビッドソンの2020年モデルの目玉となる新型「ローライダーS」のプレス向け発表会が8月26日から28日にかけて開催されました。生まれ変わった同モデルの魅力はどんなところにあるのでしょうか。

伝統の『ローライダー』の名を冠した「ローライダーS」が待望の復活

 2019年8月22日より新型モデル全32車種の予約販売を開始したハーレー・ダビッドソンですが、その目玉として復活を果たした『ローライダーS』のメディア向け撮影会および2020年モデル記者ブリーフィング会が8月26から28日の3日間、東京都新宿区にあるハーレーダビッドソンジャパン内ダイナーで開催されました。

2020年ハーレーダビッドソン・ニューモデルの目玉といえる『ローライダーS』と同社代表取締役社長、グレッグ・ウィリス氏

 2016年にダイナグライドのスペシャル・バージョンとして登場した『FXDLS ローライダーS』は、予約困難なほどに高い人気を博しましたが、ソフテイル・モデルがベースとなった新型モデルも前モデル同様のコンセプトを受け継いでいます。

 ダイナ・シリーズをベースにした『FXDLS ローライダーS』は、当時として最大排気量だった1801ccのスクリーミン・イーグル(ハーレーダビッドソン社のパフォーマンスブランド)110ツインカム・モーターを搭載し、ハイフローエアクリーナーやビキニカウルを装着した上で、車体全体をブラックで統一した『クラブスタイル』のカスタムバイクを彷彿させるものでしたが、新型の『ローライダーS』も同じようにスペシャルな仕様とされています。

ハーレーダビッドソンジャパン本社内のダイナーでの記者発表で初披露された『ローライダーS』。ブラックアウトされた車体がスパルタンなムードを醸し出します

 エンジン全体やフェンダーストラット、プライマリーカバー、タンクコンソールなどはリンクルブラック(縮み塗装の黒)で仕上げられ、下部ロッカーカバーはグロス(艶有り)ブラック。マフラーやビキニカウルなども黒一色で塗り上げられ、スパルタンなムードを醸し出します。
 
 またアルミホイールの「マットダークブロンズ」もダイナ時代のローライダーSで採用されたゴールドホイールを彷彿とさせるフィニッシュになっており、車体のアクセントとして効いている点も見逃せないポイントでしょう。

日本人デザイナーによる新型「ローライダーS」のコンセプトとは

 ハーレー・ダビッドソン・ジャパン代表取締役社長のグレッグ・ウィリス氏によると、新型モデルのデザイン面においては、前モデルの『ローライダーS』と同様に「西海岸のカスタム・シーンで見られるマシン」を参考にしているとのことで、2008年から米国で放映され、絶大な人気を博したドラマ『サンズ・オブ・アナーキー』に登場するような『クラブスタイル』のマシンがコンセプトになっていると言います。

2020年ハーレーダビッドソン・ニューモデルの目玉といえる『ローライダーS』と同社代表取締役社長、グレッグ・ウィリス氏

 デザインを担当したのは米国本社に勤務する日本人デザイナー“ダイス・ナガオ”氏で、アウトローバイカーが「ロングライドでの走りを追求した」結果、生み出された様々な仕様をメーカーカスタムとして採用。ダイナ時代の『FXDLS ローライダーS』でもヒットを飛ばした同氏によるデザインは、過去のモデルのイメージを踏襲しつつもすべての面に於いて「ネクストレベル」に引き上げられています。

 過去にダイナシリーズが廃盤となり、ソフテイルシリーズに『FX』モデルが統一されたことを残念がるユーザーの声もありますが、実際に新型ソフテイルに試乗したことがある筆者(渡辺まこと)の印象を言えば、性能という部分では、やはりコチラに軍配があがります。

 2020年モデルとして復活を遂げた新型『ローライダーS』にしても、フロントに採用された倒立フォークや114キュービックインチ(約1870cc)を誇るMilwaukee-Eight(ミルウォーキー・エイト)エンジンなどは、高いパフォーマンスを予感させるものです。

「ダイナが無くなったことを残念に感じているユーザーの皆さんがいることを我々も理解していますが、様々な走りの面でニュープラットホームであるソフテイルが上であると私自身、考えています。今回の『ローライダーS』を発表して、まだ一週間ほどですが、お客様からの期待を込めた声も届いています」とも語るグレッグ・ウィリス社長。

伝統の『ローライダー』の名を冠したニューモデル……その復活がハーレー社にどのような恩恵をもたらすのか、期待が高まります。

【了】

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Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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