2020年のバイクシーンを振り返る! そして2021年の展望・予想

残りわずかとなった2020年。今年のバイクシーンはどうだったか、そして21年はどんな年になりそうか、バイクジャーナリストの青木タカオさんに聞いてみます。

コロナ渦のなかバイクがクローズアップされた

 いろいろとありました2020年。コロナ渦のなか三密を避けられる、また通勤・デリバリー用にとバイク需要が増えたり、影響も大きかったバイク業界でした。

 そんななか、下半期に売れ行き好調のヒットモデルが次々に出たのは印象深いところです。9月に発売したカワサキ「Ninja ZX-25R」は1ヵ月で販売予定数5000台を突破。19年夏に専門誌がスクープ記事を掲載すると、秋の東京モーターショーに実車が展示されたからビックリ仰天でした。

250ccクラスに4気筒エンジンを復活させたカワサキ「Ninja ZX-25R」

 ホーネットやバリオスIIが2008年に生産終了となって以来、コストがかかることから250ccクラスに4気筒モデルはもう出ないかもしれないと囁かれていたところに登場したから、バイクファンは歓喜。注目の価格は7月に発表となりましたが、100万円超えも覚悟していたところに税込み82万5000円~。予約殺到となったわけです。

 九州での報道試乗会で発売前に乗り、4発250ccならではの高回転までぶん回せる楽しさと突き抜けるサウンドを堪能し、ヒットを確信しました。2020年のBESTバイクだったと思います。

本気モデルが突き抜けた!

 8年ぶり復活のホンダ「CT125・ハンターカブ」が売れまくったのも記憶に新しいというか、現在進行系の出来事です。原付2種クラスで税込み44万円は決してリーズナブルではありませんが、6月の発売前つまり予約段階で年間販売計画台数8000台を突破してしまう人気ぶりに。

スーパーカブC125をベースに製作された「CT125・ハンターカブ」

 スーパーカブC125をベースにアップマフラーやブロックパターンのタイヤがついているだけでなく、ホイールベースやサスペンションストローク量、最低地上高やステアリング切れ角を増やし、可倒式ステップ、スチールリムにステンレススポーク、鋼板フェンダー、前後ディスクブレーキと細部も専用設計。川も浅瀬なら渡れるハイマウント吸入口とするなど、ホンダ開発陣の本気さがヒットを呼びました。

 100円SHOPでなんでも購入できる大量消費・大量生産の時代ですが、バイクファンの本物志向はしっかり残っていて、メーカーが威信をかけて開発・生産したものはやはり評価される。カワサキもホンダも見事だったと思います。

レースで勝つために生まれた「CBR1000RR-R」

 そういう意味では、レースで勝利することをまっすぐ目指したCBR1000RR-R、さらにCBR600RRの新発売もホンダらしかった。スーパースポーツ離れと言われて久しいですが、両車とも順調に売れていて、サーキット派の期待にしっかり応えた成果が出ました。

3代目ハヤブサが待っている!?

 スズキ油冷エンジン復活、ヤマハがテネレ700発売など、まだまだ2020年の振り返りをしたいところですが、21年の展望・予想へと話題を変えましょう。新春からホンダはニューモデルラッシュの様相です。

9月にインドで発表された「ハイネスCB350」

 まず9月にインドでオンライン発表会が行われたハイネスCB350は、GB350として国内登場か……!? 単気筒エンジンを積むトラディショナルなスタイルは、日本のユーザーにも支持されること間違いなしで、インドでの販売価格19万ルピー=日本円に換算しておよそ27万円という低価格も大きな魅力。30~40万円台で登場したら、これまた大ヒットとなりそうです。

 また、原付2種リバイバルシリーズとして「ダックス125」が出てくるという噂も。新型CRF250L/ラリーやフォルツァ750、レブル1100などニューモデルの話題は尽きません。ホンダが勢いに乗る予感がします。

1999年に初代がデビューした「隼(HAYABUSA)」

 スズキにも期待がかかります。1999年に初代がデビューし、量産市販車で300km/h超えを実現したハヤブサは、2008年型で2代目にモデルチェンジし、国内では2017年型が最後でした。いまも北米などで販売が続けられていますが、3代目を望む声は高まるばかり。最新の電子制御を盛り込んで復活となれば、話題沸騰となること間違いありません。

42年にわたり愛され続けてきたヤマハのロングセラーモデル「SR400」

 新車を手に入れるラストチャンスとなりそうなのが、1978年の発売以来、42年にわたり愛され続けてきたヤマハのロングセラー「SR400」。今年、ファイナルエディションとなったセロー250同様、需要がなくなったからではなく環境規制対応が困難となるからで、ファンにとっては惜しむべくお別れとなりそうです。

 公道用ロードバイクとしては、最後のキック始動モデル。大事な“儀式”を楽しめる機種が、新車で買えなくなるのは寂しい限りです。

ライブワイヤーに続くか……!?

 政府が2035年までにガソリン車を廃止することを目指す方針であることを受け、メーカーもカーボンニュートラルに注力しないわけにはいきません。

日本への導入が決定したハーレー・ダビッドソンの電動バイク「LIVEWIRE(ライブワイヤー)」

 ハーレー・ダビッドソンは電動ライブワイヤーを日本導入し、先ずは全国13店の正規ディーラーで販売開始しますが、これを追うものが現れるか目が離せません。100PS超えの本格派EVロードスポーツは大手二輪社メーカーでは唯一無二で、大型スクーターC-EVOLUTIONで先行したBMW、ビジネスユース向けを発売済みのホンダらの動向が気になります。

 カワサキは2020年11月、オンライン開催の2021年モデル発表会で研究・開発中のハイブリッド車の映像を公開。将来的に増えていくことは間違いなさそうな都市部でのガソリン車乗り入れ禁止規制を考慮し、「モーターのみ」「エンジン+モーター」のモード切替えを可能としています。

 ホビーユース向けのEVあるいはハイブリッドモデル。名乗りを挙げるのは、どのメーカーなのでしょうか。楽しみは尽きません。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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