ホンダ「レブル250」に似て非なる超個性派! “奇想天外”な足を備えたBENDA「ナポレオン・ボブ250」に試乗!!

2026年春のモーターサイクルショーで日本初公開され、来場者の視線を集めたBENDA(ベンダ)の「NAPOLEON BOB 250(ナポレオン・ボブ250)」は、ガーターフォークにセパハンなど、大胆なデザインと既成概念にとらわれないメカニズムを持つ中国発の注目モデルです。走りはどうなのでしょうか? 試乗しました。

「ベンダ」って、ナンダ?

「BENDA(ベンダ)? 聞いたことない」という人も少なくないでしょう。まずは、この個性的なブランドについて説明しておきます。

 ベンダは2016年、中国・杭州で設立されたモーターサイクルブランドで、杭州サターンパワーテクノロジーが手掛けています。日本ではまだ馴染みが薄いものの、独自のデザインやメカニズムを武器に、徐々に注目を集める存在へと成長しています。

 これまで日本では、海外モデルを多数取り扱うウイングフットが輸入販売を手がけていましたが、2026年からは株式会社プロトが総輸入元となり、2026年春のモーターサイクルショーで日本導入を正式発表し、今後、日本市場でどのような存在感を示していくのか注目されています。

BENDA「NAPOLEON BOB 250」に試乗する筆者(青木タカオ)
BENDA「NAPOLEON BOB 250」に試乗する筆者(青木タカオ)

 中国製のバイクと聞くと、実用性やコストパフォーマンスを重視したモデルをイメージする人も多いかもしれません。しかし、ベンダの方向性はまったく異なります。

 他メーカーがなかなか挑戦しない大胆なデザインや独自の機構を積極的に採用し、工業製品としての美しさや所有する喜び、趣味性を追求したバイクづくりを掲げているのです。

視線を奪う奇想天外の足まわり

 今回試乗した「NAPOLEON BOB 250(ナポレオン・ボブ250)」は、ベンダのブランド哲学を色濃く映し出しています。

 パッと見はホンダ「レブル250」を思わせるボバースタイルのクルーザー。しかし、近づいた瞬間、「ちょっと待て!」と思わず2度見してしまいました。

 まず目を奪われるのは、フロントまわりです。採用されているのは、なんと往年のガーターフォークを現代の技術で蘇らせたアルミ合金製のマルチリンク式フロントサスペンション。初めて目にしたときは、「本当にこれでちゃんと走るの!?」と思わず声が漏れそうになるほどの衝撃を受けました。

筆者(青木タカオ)が試乗した、BENDA「NAPOLEON BOB 250」価格(消費税10%込み)84万7000円
筆者(青木タカオ)が試乗した、BENDA「NAPOLEON BOB 250」価格(消費税10%込み)84万7000円

 クラシカルな雰囲気を漂わせ、その構造は一般的なテレスコピックフォークとはまったくの別物。まるで高級機械式時計のムーブメントを眺めているかのような精密さがあり、気づけばしゃがみ込み、いつまでも見入ってしまいます。

 フロントフォークが沈み込むとリンクが作動し、ショックユニットを圧縮ではなく伸長方向へ動かす独自システムを採用しています。一般的なフロントフォークでは味わえない機構美は、このモデルならではの魅力でしょう。

 リアまわりもまた、強烈な個性を放っています。スイングアームは、往年のビンテージモデルに採用されたリジッドフレームを思わせる三角形状のデザインです。

 こうしたスタイルを再現する際、ハーレーダビッドソンのソフテイルフレームなどでは、リアショックを車体下に隠すレイアウトが一般的です。

 ところが、「ナポレオン・ボブ250」は真逆の発想で、ツインショックをあえて大胆に見せるレイダウンレイアウトとし、さらに独自のリンク機構を組み合わせています。

 スイングアームへの直付け方式よりも大きなストローク量を確保しており、そのメカニズム自体をデザインとして見せる発想には、思わず舌を巻いてしまいました。

 車体が大きいこともまた、このモデルの個性を際立たせています。ホイールベースは1545mm、装備重量は182kg。ボディサイズは全長2333mm×全幅838mm×全高1038mmというロー&ロングなスタイルで、前後18インチホイールを装着しています。タイヤサイズはフロント130mm幅、リア160mm幅のワイド仕様です。

 参考までに、ホンダ「レブル250」は、ホイールベース1490mm、前後16インチホイール、全長2205mm×全幅810mm×全高1090mmです。

 数値を比較しても、「ナポレオン・ボブ250」がひと回り大きな車格であることがわかります。実際に跨ると、250ccクラスとは思えない堂々とした存在感があり、見た目のインパクトは抜群です。

見た目を裏切る自然なハンドリング

 走り出してみると、その見た目とは裏腹に乗り味は驚くほど素直です。あれほど奇抜なメカニズムを目の当たりにすると、「まともに走るのだろうか」と身構えてしまいますが、走り出した瞬間、その心配は杞憂だったことに気づかされます。

奇想天外な見た目に反して、乗り味は驚くほど素直
奇想天外な見た目に反して、乗り味は驚くほど素直

 ロングホイールベースとワイドタイヤの影響もあって、ハンドリングはややフロントヘビーな印象ですが、決してクセが強過ぎるわけではありません。

 じつはこのフロントサスペンションは、一般的な正立テレスコピックフォークにショックアブソーバーを組み合わせた構造で、車体の挙動そのものはスタンダードなバイクと大きく変わりません。ブレーキングでもコーナリングでも違和感はなく、安心してバイクを操ることができました。

 走行中は、視界の中でマルチリンク機構が絶えず躍動しています。ライダーはその動きを眺めながら走ることになり、まるで精密な機械を操っているかのような高揚感があります。乗って楽しく、見て楽しい。そんな唯一無二の体験を味わえるのです。

 リアショックもスムーズにストロークし、路面追従性も良好です。182kgという軽さもあって、見た目から想像する以上に軽快な走りを堪能できました。

クルーザーなのにセパハン!?

 そしてもうひとつ強烈な個性を放っているのが、ハンドルまわりです。クルーザーでありながら、セパレートハンドルを採用しています。この組み合わせは一般的なクルーザーの常識では考えにくく、初めて見たときは「なぜ、この組み合わせなのだろう?」と戸惑うほどでした。

 しかし、その大胆な発想こそがベンダらしさなのでしょう。一見ミスマッチとも思える組み合わせこそ、このブランドの面白さです。

 セパレートハンドルはやや遠めにセットされているものの、前傾姿勢はきつ過ぎず、見た目ほど構える必要はありません。クルーザーともスポーツバイクとも違う、独特のライディングポジションを生み出しています。

セパレートハンドルを採用した独特のライディングポジション。250ccクラスながらVツインらしい鼓動感とキレのある低音が楽しめる
セパレートハンドルを採用した独特のライディングポジション。250ccクラスながらVツインらしい鼓動感とキレのある低音が楽しめる

 搭載される排気量249ccの水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブエンジンは、EURO5+排出ガス規制に適合し、最高出力26.2ps/9000rpm、最大トルク25Nm/5000rpmを発生し、6速ミッションを組み合わせます。

 左右2本出しマフラーは集合部や連結管を持たない完全独立構造を採用しており、それぞれのシリンダーから排気を分けることで、Vツインらしい鼓動感と歯切れの良いエキゾーストノートを奏でます。

 クルーザーには珍しいショートサイレンサーも斬新。排気量こそ250ccクラスですが、アクセルを開けるたびにVツインらしい鼓動感とキレのある低音が響き渡ります。見た目だけでなく、耳でも楽しませてくれました。

「ナポレオン・ボブ250」は、性能やスペックだけでは語れない「所有する楽しさ」を教えてくれます。「人とは違うバイクに乗りたい」。そんなライダーの心に強く刺さるはずです。

【画像】思わず2度見!? 奇抜なメカニズムで250ccクラスのVツインエンジンを搭載するBENDA「NAPOLEON BOB 250」を画像で見る(12枚)

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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