モダンクラシックで熱い走り!! シーンを牽引するトライアンフの現代版「スピードツイン」は佇まいも上質!!

伝統的スタイルに現代のスポーティな走りを融合したトライアンフ「SPEED TWIN(スピードツイン)」は、1938年に登場した往年のモデルからその名を受け継ぎ、伝統のバーチカルツインエンジンを搭載しています。

好調なセールスも納得の、正統派フォルム

 英国の老舗メーカー、トライアンフがラインナップする「SPEED TWIN(スピードツイン)」は、丸目のヘッドライトに、少し丸みを帯びてくびれのある燃料タンク、シリンダーに冷却フィンが刻まれたエンジン、ベンチシートにツインショック、誰もが好む正統派ネイキッドスタイルと言えるのではないでしょうか。

トライアンフ「SPEED TWIN(スピードツイン)」に試乗する筆者(青木タカオ)

 排気量が1200ccもあるビッグバイクらしい堂々とした佇まいの中に、パラレルツイン(並列2気筒)エンジンや足まわり、サイレンサーカバーなどがブラックアウトされ、シャープで引き締まった印象も持ち合わせます。

 アルミ製7スポークホイールに、Brembo製4ピストンキャリパーと305mm径ダブルディスクのフロントブレーキ、トラベル量120mmのKYB製41mm径カートリッジ式フォークとツインショックという足まわりは強力そのもの。

 クリアアルマイトが施されたアルミ製スイングアームや、跳ね上がった2本出しマフラーが見るからにスポーティですが、その一方で、フォークブーツやモンツァスタイルの燃料キャップカバー、ベンチシートやスモールリアライトを備えたミニマルなテールエンドが、クラシックムードを強調しています。

 アルミ鍛造ヘッドライトブラケットや艶消しのアルミ製ショートフェンダー、“SPEED TWIN”のロゴが入ったハンドルバークランプなど、細部の質感がとても高いことも見逃せません。

 1902年に最初のモーターサイクルを製造した英国の名門「TRIUMPH(トライアンフ)」のエンブレムが誇らしげに貼られ、プレミアム感も漂います。

高出力の新型「Bonneville 1200」エンジンは、排気量1200ccの水冷並列2気筒SOHC4バルブ

 スピードツインという車名は、1937年7月にロンドンで発表された「5Tスピードツイン」に由来しています。単気筒エンジンが全盛期の中、排気量499ccのパラレルツインエンジンを搭載し、最高速は150km/hに達したとのこと。80年以上も前の名車がルーツにあることを考えると、実車を前に敬意を払いたくなるのでした。

スポーティな走りを予感させるライディングポジション

 バーエンドにミラーがマウントされたテーパーハンドルを握ると、上半身は若干の前傾姿勢に。欧州車らしい腰高な印象で、ステップもやや後退した位置にあり、スポーティな走りを予感させます。

 シート高は807mmとなっており、身長175cm、体重65kgの筆者(青木タカオ)が両足を地面へ伸ばすと、カカトが若干浮く感じです。

シート高807mmの車体に身長175cmの筆者(青木タカオ)がまたがった状態

 装備重量は215kgで、大排気量ネイキッドであることを考えると軽量な部類ではないでしょうか。足つきや取り回しで苦労することはなさそうです。参考のため、同クラスの車体重量とシート高を示しておきましょう。

■トライアンフ
「SPEED TWIN」シート高807mm/車体重量215kg
「STREET TWIN」シート高765mm/車体重量217kg
「BONNEVILLE T120」シート高790mm/車体重量237kg

■ホンダ
「CB1300SF」シート高780mm/車体重量266kg
「CB1000R」シート高830mm/車体重量213kg

■ヤマハ
「MT-10」シート高825mm/車体重量210kg
「XSR900」シート高830mm/車体重量195kg

■カワサキ
「Z1000」シート高815mm/車体重量220kg
「Z900RS」シート高800mm/車体重量215kg

■スズキ
「KATANA」シート高825mm/車体重量215kg
「GSX-S1000 ABS」シート高810mm/車体重量209kg

■ハーレーダビッドソン
「IRON1200」シート高735mm/車体重量256kg

■BMW Motorrad
「R nineT」シート高805mm/車体重量224kg

■ドゥカティ
「SCRAMBLER 1100 SPORT」シート高810mm/車体重量206kg

力強いパラレルツイン、味わい深さもある!

 心臓部は1938年に登場した初代スピードツインから脈々と受け継がれる伝統の並列2気筒エンジンです。水冷となった最新版では、ボア×ストロークが97.6×80mmで排気量を1200ccとし、ヘッドはSOHC4バルブとしています。

トライアンフ「SPEED TWIN(スピードツイン)」に試乗する筆者(青木タカオ)

 エンジンモードは「スポーツ」「ロード」「レイン」の3種があり、「スポーツ」での加速やピックアップはかなり鋭い印象です。最高出力97PS/6750rpmは、兄弟車のストリートツイン(65PS/7500rpm)より49%増しで、最大トルクも80Nm/3800rpmに対して112Nm/4950rpmと力強いもの。

 トラクションに優れる270度位相クランクが並列2気筒エンジンに採用され、不等間隔爆発による鼓動感は心地良いの一言。高回転まで回してキビキビ走るのも楽しいですが、高いギアでゆったり走るのもいいでしょう。

クイックでレスポンスに優れるハンドリング

 足まわりは前後17インチホイールを履き、キャスター角が22.8度に立てられ、応答性の良いハンドリングとなっています。フロント18インチの「ストリートツイン」や「ボンネビルT120」のような穏やかさはなく、乗り手の意思にダイレクトに応えます。

 アップハンドルによってフロントへ荷重がしっかりかけられ、硬めに味付けされた前後サスペンションも入力を要求してくる。気がつけば、ペースは上がっていく一方なのです。

 レトロモダンなスタイルと、現代的な走りを融合させたモダンクラシックシリーズの中で、ワンランク上のアグレッシブな走りを好む人向けのロードスターであることを、スピードツインはしっかり主張してくるのです。

※ ※ ※

 トライアンフ「SPEED TWIN(スピードツイン)」の価格(消費税10%込み)は164万5900円からとなります。

【了】

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Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。

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