大人のクラシック・バイクの大運動会 A.V.C.C.& LOCが筑波サーキットで開催
去る2021年4月4日、茨城県下妻市にある筑波サーキットにてMCFAJ主催の“クラブマンロードレース第一戦”と併催という形でハーレーダビッドソンを中心とした旧車レース“A.V.C.C.”(エー・ヴイ・シー・シー)と欧州車や日本車を対象とした“LOC”(エル・オーシー)が開催されました。どのようなレースなのでしょうか。
その模様はまさに「走る博物館」
去る2021年4月4日、茨城県下妻市にある筑波サーキットにてMCFAJ主催の“クラブマンロードレース第一戦”と併催という形でハーレーダビッドソンを中心とした旧車レース“A.V.C.C.”(エー・ヴイ・シー・シー)と欧州車や日本車を対象とした“LOC”(エル・オーシー)が開催され、熱戦が展開されました。
ちなみにこの“A.V.C.C.”と“LOC”とは、いわゆるクラシックバイクの愛好者が集うレース・イベントなのですが、どちらにも共通していえるのが、「勝つことのみ」が重要というワケではなく、あくまでも「同好のマニアが楽しむ場」であるべきということです。
実際、LOCのホームページの挨拶文でも「競技としてロードレースを捉えた場合、勝敗は最も重視されるべきであるものの、それよりも多くの人々が期待するのは“往年のマシンたちへの郷愁”であったり、“同好の士とのモータースポーツを通した交流”であること」が謳われています。無論、A.V.C.C.にしても然りです。
実際、レギュレーションを見ても、いずれのレースもそんな理念を感じさせるもので、その大まかな部分を説明すると「アメリカン・ビンテージ・コンペティション・クラブマンロードレース」の省略であるA.V.C.C.は基本、1948年まで生産されたハーレーダビッドソンやインディアンなどのアメリカ製バイクを対象としたもので、リアサスを持たないリジッドフレームにスプリンガーフォーク、そして手でシフトを操作し、アシでクラッチを切るハンドシフトであることがルール。また、ハーレーのパンヘッドに関しては1965年までのエンジンパーツが使用出来るものの、あくまでも旧車的なセットアップであることが求められています。
その中で1966年以降のハーレーのショベルヘッドや、1957以降のアイアンスポーツスターおよび1971年以降の純レーサーを対象とした“FSCR”というクラスもあるのですが、こちらはリアサスおよびテレスコピックフォーク、フットシフトの使用がOKとなっています。
また一方の「レジェンド・オブ・クラシック」ことLOCも「1972年以前の黄金期のモータースポーツシーンの再現」を狙ったもので排気量やレギュレーションなどを細かく設定。過去にクラシックレースの世界では、競技者が勝利を求めるあまり「速い車両」のワンメイクレース化や現在的なモダンパーツの使用が横行し、それを嫌った参加者が減少し、衰退に繋がったとのことですが、それよりも「ただ、“勝敗”にのみ執着することなく、クラシックモーターサイクルのクラシックたる所以も尊重」することを重視しています。
こうしたレギュレーションゆえ、A.V.C.C.にせよLOCにせよ、往年の名車が一堂に会する「走る博物館」のような様相を呈しているのですが、参加者の走り自体はかなりの「本気モード」。ハーレーのナックルやサイドバルブ、インディアンやXR750、トライアンフ・ボンネビルやマチレス、ノートン、ベベル・ドゥカティなどの往年の名車やホンダCB72やカワサキ・マッハなどがサーキットを疾走する光景は、かなりアツイです。
悪天候の中、熱戦を展開
この日の筑波は午前中は晴天だったものの、午後からポツポツと雨が降り出し、ウェット・コンディションとなってしまったのですが、それでも参加者は熱戦を展開。往年の名車がフルバンクでサーキットを疾走する姿は「観るレース」としてもオススメです。今回の優勝者、入賞者はそれぞれ写真でご紹介させて頂いております。
現在は皆様、ご存じのとおり「コロナ禍」の中にありますが、サーキットではマスクの着用が義務付けられ、各所に消毒液も用意されておりますので、感染拡大防止に留意しつつ、一度サーキットに訪れてみては如何でしょうか。次戦は4月24日、静岡県静岡県駿東郡小山町にある富士スピードウェイでの開催が予定されています。
昨年は「新型コロナウィルスの感染拡大防止」の影響から高校野球の春の甲子園が中止となり、プロ野球も開幕が大幅に遅れましたが、今年はいずれも開催されています。もちろん、まだまだ油断は出来ない状況ですが、「手指の消毒」と「キープ・ディスタンス」を徹底すれば「ウィズ・コロナ」の中、様々なことを楽しむ生活様式も送れるはずです。
東京や大阪の感染者の増加や「変異株」の存在などを考えると今は純粋に「楽しいからレースを観に行こう」とも声高に言えない状況ですが、そこは危険と隣り合わせのバイクと同じく自己責任。この先も様々なことを「注意しつつも楽しむ」のが基本となるのではないでしょうか。サーキットは「ソーシャルディスタンス」を徹底出来るほどの広さです。
ともかく一日でも早く「新型コロナ」が収束し、心置きなくレースや他のモータースポーツ観戦が楽しめる世の中になることを祈るばかりです。
【了】
Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)
ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。