2000kmを走破して感じたこととは? レーシングライダー石塚健のボルドール24時間耐久用BMW「M1000RR」慣らしツーリング

レーシングライダーの石塚健選手が、レーシングマシンの慣らし走行の為に、2000kmの公道ツーリングを実施。自身が経験から、ロングツーリングの注意ポイントを教えてくれました。

ボルドール24時間耐久用BMW「M1000RR」の慣らしツーリングへ出発

 こんにちは!レーシングライダーの石塚健です。 関東では早くも梅雨が明け、ムシムシとした暑さが続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

 僕は8耐本番に向けてのトレーニングや準備、イベントや仕事などをこなしつつ元気に過ごしています。

 そんななか、9月に行われるFIM EWC 世界耐久選手権のボルドール24時間耐久で使用する予定の、BMW「M1000RR」のエンジンの慣らしをしに、東京から下関までの往復2000kmツーリングに行ってきました!

東京から下関に向けて出発する石塚健選手
東京から下関に向けて出発する石塚健選手

 そもそも慣らしというのは、一定の走行距離に達するまでの間、エンジンをあまり酷使せず、低回転に制限して走るというもの。なぜ慣らしが必要かというと、新品の硬いエンジンを構成する部品たちを徐々に馴染ませていき、壊れづらく調子の良い状態に整える目的があります。

 ちなみに、今回のエンジン回転数の制限は6000回転までだったので、公道を走る上では特に支障がある速度という訳ではありませんでした。

 今回目的地を下関に設定したのは、往復でちょうど2000kmということに加え、日頃からレース活動をサポートしていただいている、株式会社三木鉄工の三木社長にお会いするため。

 ロングツーリングどころか、ツーリングもほとんどしたことが無い為、無事に辿り着けるのか少々不安ではありましたが、東京を朝の4時に出発しました。

サービスエリアに入り、こまめな休憩を取る石塚健選手
サービスエリアに入り、こまめな休憩を取る石塚健選手

 暑すぎず寒すぎず、Tシャツの上にパーカーを1枚羽織って丁度いいくらいの気候だったので、スタート直後は走っていてとても気持ち良かったです。しかし、2時間位走ったところで、アクセルのある右の手のひらに疲労感を感じるようになります。

 サーキットを走る際も、そのくらいの長時間を走ることは多々ありますが、今まで手のひらが疲れることはあまりありませんでした。やはり、サーキットでは右コーナー、左コーナー、ストレートとそれぞれハンドルの握り方が異なっていて、決まった部分に常に負担がかかることが無かったのだと思います。

 そのため、長距離ツーリングの際はハンドルの持ち方に工夫が必要だと感じました。そんな長距離ツーリングでオススメの握り方は、ハンドルをいつもより少し上から覆いかぶせる様にして握る持ち方。

 イメージしづらいかもしれませんが、そうすればハンドルに手を押し当てるのではなく、包むようにして握ることができるので、より力を入れずに、楽に操作することができると思います。

 とはいっても、今回乗ったM1000RRはライディングポジションが少々前傾姿勢な上に、ハンドルまでの距離もそれほど近くはない為、長時間のライディングで疲れを感じるのは当然です。慣れない持ち方をするのは少々危険もありますので、疲れたらSAなどに止まって、1度休憩するのがベストだと思います。

サーキットでのロングランとは全然違うロングツーリング

 その後、給油や休憩を細々と挟みつつ、約700km走ったあたりで大粒の雨が降ってきたので、福山SAでランチを取りながら雨宿りをすることに。次第に雨は小雨になったため、防寒具も兼ねて持ってきていたレインコートを着て、雨のなか、再び出発することに決めました。

 レインコートのお陰で雨の影響はさほど受けずに済み、気温は低かったものの寒さに対しても問題なく走れたため、やはりツーリングにレインコートは必需品なんだなと実感。

サービスエリアに入り、こまめな休憩を取る石塚健選手
サービスエリアに入り、こまめな休憩を取る石塚健選手

 そんな様々な天候や気候などの要因のなかでも、一番の天敵は突然吹く強い横風でした。突然強い横風が吹くと、バイクが左右に持っていかれ、かなりの恐怖を感じるレベル。

 そんな時は、しっかりと太ももでタンクをホールドし、身体をオフセットすれば、ある程度の振られには耐えられる上に安定感が出るということも、新たな発見でした。周りを走っているクルマのドライバーから見れば、ちょっと面白い光景だったかもしれません。

 下関までの最後の300kmほどは、そこまでの道のりとは違い、何故かとても長く感じましたが、17時30分頃に無事に下関に到着!

 急な雨風に対応するのに少し気を使いましたが、片道1000kmのツーリングは思っていたよりもあっという間で、思い返してみるととても楽しく、飽きることも無かったというのが、自分でも驚きでした。

 今回のツーリングの目的のひとつでもあった三木社長にも久し振りにお会いすることができ、楽しい時間を過ごさせていただきました。

 その日はそのまま下関に一泊し、翌日の復路に備え早めに就寝することに。翌朝、出発前に泊まっていた宿の近くにあった唐戸市場とその周辺を散歩してみると、関門海峡がすぐ側に見え、本州の端っこまで来たのかと改めて実感。

 翌日中に帰らなくてはいけなかったので、東京に向けて朝8時には出発し、下関をあとにしました。

関門海峡付近に到着した石塚健選手
関門海峡付近に到着した石塚健選手

 帰り路は流石に身体のあちらこちらが疲れてましたが、こまめに休憩を取りながらも無事に2000kmを走り切り、帰って来ることができました。

 2000kmという初のロングツーリングを終えて思ったことは、やはりこれだけの距離を走ると、どこかしら身体に違和感が現れ、最終的には痛みや疲労感との戦いになるという事実。そして、バイクはやはり突然の雨や強風に煽られることも多々あるという現実でした。

 そんな時は、一旦サービスエリアなどで休憩するのはもちろん、乗り方、走らせ方を工夫することで影響を受けづらく、より快適に走ることができるので、自身に合った楽な方法を見つけておくのもオススメです。

 是非、ロングツーリングをされるという方は安全に走るためにも、ちょっとした工夫を心がけてツーリングを楽しんでください。

 次回はBMW M1000を公道で走ってみたインプレッションを書きたいと思いますので、楽しみにしていてください。

【画像】ボルドール24時間耐久用BMW「M1000RR」の慣らし走行で2000kmを走る石塚健選手を画像で見る

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Writer: 石塚健

(レーシングライダー)埼玉県出身の26歳。3歳からポケットバイクに乗り始め、ロードレースというオートバイ競技に参戦。現在はその世界選手権である「MotoGP」を目指して日々、活動中。
2019年から、ヨーロッパでおこなわれる「FIM CEV REPSOL Moto2ヨーロピアンチャンピオンシップ」への挑戦を開始。2022年は、「全日本ロードレース選手権」のST1000クラスをメインに、「世界耐久選手権」、「FIM CEVREPSOL Moto2ヨーロピアンチャンピオンシップ」にも参戦します。スポンサー募集中!応援よろしくお願いします。

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