前輪でかっ!! 自転車の歴史に必ず登場する「ペニー・ファージング」 じつはいまでも愛好家多い 廃材からDIYしたマニアの動画に注目
自転車を追求すると、多くの人が19世紀後期に誕生した大きな前輪を持つ自転車「ペニー・ファージング」に至るのでしょうか? いま見ると異形そのものですが、乗り味も現代のハイテク自転車とは一線を画す独特のものがあり、それを廃材からDIYした動画に注目が集まっています。
条件さえ揃えば、現代のロードバイクよりも早い!?
自転車の起源はおよそ200年前だと言われています。1813年(1817年とも言われる)にドイツのカール・フォン・ドライス男爵が、木馬の前後に車輪を取り付けた、足で地面を蹴って進むおもちゃにハンドルを取り付け、走りながら曲がることができる足蹴り式の2輪車「ドライジーネ」を発明しました。

その後、自転車は進化を続けて1860年代にペダルの付いた2輪車が登場します。ただし、現代の自転車のようにペダルの回転をチェーンを使って後輪に伝える後輪駆動ではなく、現在の小児用3輪車のように、前輪にペダルを直接取り付けた前輪駆動でした。
前輪駆動はペダル1回転がそのまま車輪の1回転になるので、スピードを出すには「ペダル1回転で進む距離を大きくする」=「前輪の直径を大きくする」必要があります。
そこで1870年頃に登場したのが、アンバランスなまでに前輪が大きくなった、現代で「オーディナリー」と呼ばれる自転車です。
直径の大きく異なる前後輪を、当時はイギリスの1ペニー硬貨とファージング(1/4ペニー)硬貨に見立てて、「ペニー・ファージング」と呼ばれました。ちなみに、日本では「ダルマ自転車」と呼ばれていました。
そんな特異なカタチなので乗車と降車にはかなりのコツが必要で、ペダルを漕ぐのも一苦労ですが、実は世界中に愛好家がいてDIYカルチャーも盛んなのです。
あるバイク愛好家のYouTubeチャンネルでは、ほぼ廃材だけでフレームの大部分を作成してしまったようです。
紹介されているのは、直径150cmほどはありそうな前輪を持つペニー・ファージングです。フロントフォークにIKEAのベッドフレームを使っているほか、扇風機やトラクターの部品、金属の工具箱、さらに羊の餌箱などを使用し、制作費は2000ドル以下とのこと。
そもそもこんな巨大なリムが販売されているのかどうかは不明ですが、さすがにタイヤは市販品ではないとのこと。大規模なレースが行われているというのも納得の、まるでロードバイクのようなタイトなリムです。
乗車位置は転倒すれば負傷待ったなしの高さで、初めて乗るには勇気がいるでしょう。しかし通常のスポーツサイクリストのように、颯爽と乗って見せる彼らの姿には、クラシックで奇妙なイメージが一新されるはずです。