「世界最速のスーパーカブ」!? 伝統の地で最高記録に挑む日本人女性がついに『ボンネビル・ソルトフラッツ』を走った!! その結果は!?
映画『世界最速のインディアン』(2005年)の舞台となった、米国ユタ州の塩の平原で繰り広げられるスピードトライアルに、日本人女性2人がホンダ「スーパーカブC100」(1963年モデル)の最高速仕様で挑みました。
地平線に向かって真っすぐ走る!!
2025年8月に、アメリカ・ユタ州のボンネビル・ソルトフラッツで『ボンネビル・スピードウイーク』が開催されました。会場は260平方kmもある広大な塩類平原です。ここでは高低差が無く長い直線が取れるため、100年以上前から最高速を競うランドスピードレースや最高速チャレンジが開催されています。

その中でもボンネビル・スピードウイークは、77年の歴史を持つ伝統的なランドスピードレースです。
映画『世界最速のインディアン』の主人公で実在の人物であるバート・マンローは、ニュージーランドからこのレースに挑戦するために63歳で渡米し、世界最速の記録を残し70歳まで挑戦し続けました。
ランドスピードに挑戦するライダーに取って、ボンネビルは聖地と言っても過言ではありません。現在でも最速の称号を得るために世界中から挑戦者が訪れています。
この夏、ホンダ「スーパーカブ」の初期型である「スーパーカブC100」をベースにした最高速仕様のレーサーで、2人の日本人女性がチャレンジしました。ライダーは4人の孫を持つおばあちゃんでもある黒木伴井(くろきともえ)さんと、「アニマルボート」のメカニックである渡辺友香さんです。
レーサーを製作したのは、「スーパーカブC100」やビンテージバイクでロードレースにも出ているアニマルボート代表の武笠さんと、酒井ボーリングの高橋さん。1963年モデルの「スーパーカブC100」をアニマルボートのロードレース仕様とほぼ同じスタイルにカスタムしました。
標高が1300mあるボンネビルでもパワーが出せるようにスーパーチャージャーを装着しましたが、チューニングにかなりの苦労をして完成したのはアメリカにバイクを送る数日前でした。
日本でのテスト走行では、エントリーするクラスの最高速記録である75km/hを超える結果が出せました。ターゲットは90km/hです。

今年のスピードウイークは、例年に比べて塩の路面が乾燥していて走りやすい状況でした。レースの初日は全体ミーティングとルーキーミーティングで、レースのルールやコースのレクチャーを受けます。その後、ルーキーランでライダーとバイクが問題なく走れることを証明して初めて最高速への挑戦ができます。
ルーキーランは80km/hのスピード制限があり、黒木さんは80km/hに届かないスピードでクリアしました。じつはこの時点でレコードを更新していましたが、申請をせずに2本目の走行で約77.2km/hを出しレコードを上回りました。これによってリターンランを走ることができ、2本の走行の平均速度が正式な記録になります。
数時間後にリターンランです。気温や風など天候や塩の路面は自然の環境なので常に変化します。前回に出たスピードが様々な要因で出せないことも多いのがランドスピードレースです。とくに気温が上がる午後になると、地中の水分が表層に出たり、風が強くなることもあります。
黒木さんは、前回より落ちたもののレコードを上回る約75.6km/hを出し、最高速記録を無事に獲得しました。
ここでクラスチェンジして渡辺さんが走ります。バイクの仕様は全く変わりませんが、指定されたガソリンを使う「G」クラスから、燃料の制限の無い「F」クラスに挑戦します。
渡辺さんは「スーパーカブ」でロードレースに出ていることもあって、数回の走行でバイクの状況を判断してメカニックに伝え、その時点での最適なチューニングに変更して何度か走行しました。
その結果、過去の記録を上回る84.72km/hで最高速記録を樹立しました。
アニマルボートの武笠さんは、もっとバイクを作り込んで来年も挑戦したいと話します。日本人による日本を代表するバイクでのチャレンジに、今後も期待です。

Writer: 増井貴光
旅をライフワークにバイク専門誌などで活躍するカメラマンでコラムニスト。国内だけでなく、アメリカでランドスピードレースやドラッグレースの撮影を続けている。著書としてユタ州ボンネビルで最高速に挑戦するライダーを撮影した写真集『bonneville』と、ルート66を実際に走って撮影した『movin’on』がある。また撮影だけでなく、イベント等の企画・運営にも携わるなどその活動は幅広い。愛車はハーレーFLTRXS、ホンダXR250とCT110
























