海外ではクルマに装備が義務!? タイヤの空気圧を常にチェック バイクにも「TPMS」装備車が増えている!?
タイヤの空気圧はとても重要です。適正な空気圧でないと乗り味や燃費が悪化したり、ともすれば大きな事故の原因にもなります。そのため、走行中に常にタイヤの空気圧を監視する「TPMS」を装備するバイクが増えています。
海外のクルマではメジャーな装備
タイヤの空気圧が適正でないと、ハンドリングやグリップ力、ブレーキ性能が悪化し、スポーツ性能を発揮でききないのはもちろん、燃費やタイヤの寿命も低下します。そこで日常的な空気圧のチェックが大切だと言われています。面倒かもしれませんが、少なくともツーリングに出る前は必ずチェックするのが基本です。

とはいえ、出発前に空気圧が適正でも、走行中に釘などの異物が刺さってパンクすることもあります。オフロード車などに多いスポークホイール&チューブタイヤなら一気に空気が抜けるのですぐに気づきますが(走れなくなる)、オンロードモデルで主流のチューブレスタイヤは、構造的に一気に空気が抜けません。
そのため、安全ではありますが徐々に空気が抜けていく「スローパンクチャー」と呼ばれる状態になり、パンクしたことに気づかない場合もあります……コレはかなり危険な状態です。
そこで、走行中に常にタイヤの空気圧をモニターする「TPMS(Tire Pressure Monitoring System:タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)が登場しました。
ちなみにバイクでは正確な数字が出ていませんが、クルマの場合はタイヤの空気圧の低下に起因するパンクや、それに伴う事故件数が世界的にもかなり多いことが判明しています。
そのため米国では、2007年から新車のクルマへのTPMSの装備が義務化され、次いで欧州や韓国、台湾やロシア、中近東や中国などの国々でもTPMS装備が義務化されました。
じつは日本ではまだ義務化されていないため、比較的高額なクルマしか装備していませんが、徐々に装備車両は拡大しています。
バイクもTPMS装備車が増加中
TPMSの構造は何種類かありますが、近年はホイールの内部に空気圧センサーと、検出した値を電波で伝える送信機をセットした「直接式TPMS」が主流のようです。そして車体側では電波信号を受信してメーターディスプレイに空気圧を表示したり、規定値から逸脱した空気圧になると警告マークが点灯してライダーに異常を伝えてくれます。

日本車(クルマ)ではまだ馴染みの薄いTPMSですが、バイクでは装備車が徐々に増えています。ホンダは大型クルーザー「ゴールドウイング」が、2018年のフルモデルチェンジの際にタイヤ空気圧モニターを装備しました。
次いでカワサキがスーパーチャージドエンジン搭載の「Ninja H2 SX SE」(2022年)にTPMSを装備しました。
そしてヤマハは、2025年の「TRACER9 GT+ Y-AMT」にTPMSを標準装備しています。「TRACER9 GT」はオプション設定です。またスポーツスクーターの「TMAX560 TECH MAX ABS」(2025年)にもTPMSを標準装備しました。
海外メーカーでは、ハーレーダビッドソンは装備が充実したツーリング系をはじめ、クルーザー系などでもTPMS装備車が増えています。ドゥカティはアドベンチャーの「ムルティストラーダV4S Grand Tour」に標準装備するほか、多くの車種にTPMSをオプション設定しています。BMWは「RDC」という独自の名称ですが、TPMSを多くの車種に装備しています。
アフターパーツのTPMSもある
バイクのTPMSも日本製のクルマ同様に、現時点では標準装備している車両は大排気量のツアラーやアドベンチャー、クルーザー系など比較的高額なバイクに限られています。これは空気圧センサー類や表示部(液晶メーターの装備など)のコストなどが影響しているためと思われます(車両の価格に反映される)。
もちろんコストをかけずとも、従来からの空気圧ゲージを使って頻繁にチェックすれば大丈夫! という考え方もありますが、やはり走行中に常にモニターしているTPMSの安全性が羨ましい……というライダーもいるでしょう。
そんな場合には、アフターパーツのタイヤ空気圧センサーがオススメです。メーカー標準装備のTPMSはセンサー部をホイール内部に装備しますが、アフターパーツは空気バルブのキャップと交換するタイプが主流です。そして空気圧の表示や警告はハンドル等にセットできるコンパクトなデジタル表示だったり、専用アプリでスマートフォンに表示するタイプもあります。
先々にはTPMSも安全装備としてABSのようにバイクへの装備が義務付けられるかもしれませんが、その重要性と安全性をアフターパーツでいち早く取り入れるのもアリかもしれません。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。