不満!! 「バイク駐車場問題」 東京オートバイ組合が都議会3党にバイク駐車場問題を提起「コインパーキング1枠に複数台駐車を」!
駐車場法の改正からまもなく20年。バイク駐車場問題が依然として解消されません。東京オートバイ協同組合は来年度に向けた予算編成を前に、都議会に対して改善要望を提起。「バイク駐車場問題」1点に絞って、その深刻さを訴えました。
東京23区のバイクユーザーの6割以上がバイク駐車環境に「不満」
東京オートバイ協同組合(中澤吉浩理事長)は、2025年8月~9月にかけて断続的に、東京都議会の都民ファースト、自民党、公明党の主要3党に対して「バイク駐車場問題」について訴えました。2026年度予算編成を前に、各党が政策に盛り込むべき課題として認識してもらうための要望です。

バイクショップが組合員となるため、当初、バイク業界の発展に役立つ要望について盛り込む予定でしたが、一向に改善されない東京の駐車問題解決が先決、という姿勢を鮮明にするため、あえて「バイク駐車場問題」に要望を絞りました。
駐車場法改正から20年経過しようとする現在でも、東京都内のバイク駐車環境は改善されているとは言えません。要望書は、冒頭でこう訴えます。
「東京23区のバイクユーザーの6割以上が駐車場か所数に不満を持っている。首都圏の政令指定都市でも51%が不満を持っている」
その上で、駐車場不足が「バイク需要を押し下げ、(都内の新車登録台数は)大幅な減少となっている」と、内需への影響についても危機感を示します。
喫緊の課題とされているのが、この秋には排気量125ccエンジンを搭載した原付免許仕様の「新基準原付」の駐車問題です。
駐車場は駐車スペースを賃貸する事業ですが、バイク駐車場は、スペースとはまったく関連性のない排気量で利用を制限するルールが、いまだに残っています。排気量50cc以下と定められていると、原付バイクなのに駐車できない可能性があります。
こうした問題を国土交通省も把握し、同省都市局は、新基準原付を含む駐車環境の確保に取り組む必要性を都道府県担当部局長あてに通知しましたが、これまでの改善状況を考えると不安はぬぐえません。
「必要に応じて、受け入れのための改正を実施し、駐車場の標識や案内表示にも新基準原付が駐車可能であることを明確に示す」ことを要望書は求めています。
路上コインパーキングでクルマ1台分にバイク複数台を駐車可能に
東京オートバイ協同組合は、都市部の駐車場不足の実態を前提とした駐車場拡大案も提言しています。それが、車道に設置された時間制限駐車区間の駐車のあり方です。

バイク専用のパーキングチケットは、都内4カ所で合計59台分しかありません。一方、乗用車を想定したパーキングメーターとパーキングチケットをあわせて約9500台分が設置されています。
時間制限駐車区間は「専用」という標示がない限り、車種に関係なく駐車が可能であることを応用して、バイクの駐車スペースを増やしてほしいと、要望書では訴えます。
「バイクも含めて使用が認められていることを、ドライバーもライダーもほとんど知らないのではないか。『バイクも駐車してよい』という広い周知をお願いしたい」
また、1つの駐車枠に1台とされる駐車方法を見直して、駐車可能台数を増やすことも提言します。
「4輪車のサイズで枠組みがされているところでは、4輪車1台分のスペースにバイクを斜めに置くことで、2~3台分のスペースが確保できる。少しでもバイク駐車場不足を緩和できる検討をお願いしたい」
車両の駐車は、左側端に沿って平行に駐車することが道路交通法の原則です。東京都にも斜め駐車でバイク駐車枠を増やした中央区銀座8丁目の専用パーキングチケットがありますが、斜め駐車には広い道幅や一方通行で安全が確保されていることなどの制約があります。
複数台数を止めることは簡単ではないようにも思えますが、現状でもパーキングチケットのステッカーにはナンバープレートの番号が入力できるシステムになっているため、駐車手数料を支払っているか否かをチェックすることは可能です。柔軟な対応が期待されています。
東京都内のバイク保有台数は約79万4000台。バイク用の時間貸し駐車場は約2万台で、保有台数の約2.5%しか確保されていません。これに対して、4輪車用の同駐車場は約120万台、保有台数の約24.5%に相当する台数が確保されています。
「4輪車は4台に1台分、バイクは40台に1台しか整備されていない。こうした駐車環境は、利用者に大きな不便を強いている。増設を強く要望する」(要望書)
国土交通省都市局は、2025年に付置義務など乗用車の駐車に関する規制を緩和する政策の大転換を行いました。約60年間続けてきた駐車場政策の成果により、駐車場需要を上回る供給が行われていることを前提に、付置義務駐車場の規制緩和を実施したのです。
ただ、これと引き換えに、削減される駐車スペースをバイク駐車場や宅配などのトラック輸送の荷捌きに転用すべきとしましたが、駐車場のスペース不足が深刻な都市部では、ほとんど効果を上げていません。
バイク駐車場整備は、乗用車の駐車場整備から約40年間遅れて始まりました。東京都のバイク駐車場整備は、国の駐車場政策の遅れが、そのまま反映されています。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。