チューブがいらない!? 意外と知らない自転車用タイヤの種類
自転車の構成部品の中で唯一地面に接するタイヤは、走行性能や制動性能を左右する重要なパーツのひとつです。どのような種類があるのでしょうか。
特徴はそれぞれ、自転車タイヤの種類
構造がシンプルな自転車だからこそ、唯一地面に接するタイヤの種類や性能が走行に大きな影響を与えます。日頃の走りをサポートしてくれる大切なパーツについて、その種類を紹介します。

現代に続く自転車のタイヤは、1888年に世界的なタイヤメーカーの創設者として知られるジョン・ボイド・ダンロップが、空気入りタイヤを発明したことからはじまります。
それまでは木製や鉄製、中身のつまったゴムの塊などが使われていましたが、ダンロップのおかげで乗り心地と走行性能が段違いにアップしました。
それから100年以上の時をかけて進化した現代の自転車用タイヤには、大きく分けて「クリンチャータイヤ」、「チューブラータイヤ」、「チューブレスタイヤ」の3種類が存在します。
「クリンチャータイヤ」は、タイヤとチューブが分かれているタイプです。リムにはめ込んだタイヤの中でチューブを膨らませ、その空気圧でタイヤの両端にあるビードをリムに押し付けて形を維持しています。タイヤやチューブの取り外しが簡単で、パンクしてもチューブにあいた穴を塞ぐことで再利用可能なため経済的でもあり、最も普及している種類のタイヤです。
欠点としては、空気圧が足りていない状態だと中でチューブが動いて消しゴムのように摩耗したり、段差などタイヤを強く打ち付けたときに地面とリムでチューブを挟んで穴があいてしまう、いわゆる「リム打ちパンク」など、パンクしやすいという点があります。

「チューブラータイヤ」は、タイヤとチューブが一体化したタイプです。断面がU字型のタイヤとは異なり、チューブの周りをタイヤのゴムの層が覆っているので断面は丸くなっています。
装着にはリムセメントと呼ばれる接着剤や、専用の両面テープでリムに貼り付けます。ビードが存在せず、その分軽量化できるのでスピードを追求する競技用の自転車などで使われています。ただし、パンク修理がかなり困難なので基本的には使い捨てです。日常で使うにはお財布に厳しいタイヤと言えるでしょう。
「チューブレスタイヤ」はさらに一歩進み、タイヤ自体がチューブの役割を果たすタイプです。断面形状は「クリンチャー」と同じU字型ですが、タイヤの内側にチューブと同じブチルゴムの層があり、専用のリムにはめ込むだけで内部に空気圧をキープすることができます。チューブが無いのでその分軽量化になります。
構造として「リム打ちパンク」が発生せず、空気圧が低い状態でも走ることができるため、地面からの衝撃を吸収し、乗り心地がアップします。ただし、空気圧が低過ぎるとリムからタイヤが外れる、いわゆる「ビード落ち」が発生するので注意が必要です。
なにかと良さそうな「チューブレス」ですが、特殊な構造でタイヤも専用のリムも高額になります。パンク修理は可能なので使い捨てになるということはありませんが、タイヤの取り外しが困難になります。専用の工具が必要なのはもちろん、タイヤの形を維持するためにかなり高圧で空気を入れないといけないため、自宅で空気を入れるには専用の空気入れも必要になります。いずれも使いこなすにはそれ相応の知識が必要なので、日常で使うにはハードルが高いタイプと言えるでしょう。