北米輸出専用のホンダ「スーパーカブ」の兄弟車!! 当時の思い出が蘇るポリバケツ色の「パスポート」が太平洋を渡ってきた
1958年から現代に至る60数年間に渡って作り続けられているホンダ「スーパーカブシリーズ」は、国内仕様以上に、輸出仕様や現地生産モデルなどなどに、様々なバリエーションモデルがありました。1980年代当時、出張で何度も行った本田技研工業鈴鹿製作所では、国内で発売されない輸出専用モデルの生産も数多く行われていて、その中で、特に気になり「目立つ存在」だったのが、スーパーカブC70をベースに開発された「PASSPORT(パスポート)」でした。バイク仲間が、偶然にも買い付け出張中にパスポートを発見。メール連絡で画像を確認し購入しましたが……。
個人逆輸入で購入した「逆輸入」カブ
スーパーカブいじりを楽しんでいると、「ハンターカブ」や「ポートカブ」、比較的新しいモデルでは、通称「赤カブ」や「カブラ」などなどが、気になる存在になりませんか?
そもそも生産数が少なかったり、発売当時に不人気モデルだったりすると、なかなかコンディションが良い中古車とめぐり逢うことができません。サラリーマン当時、スーパーカブを生産していた本田技研に勤めていましたが、仕事でもプライベートでも、スーパーカブとの関りは一切無く(四輪生産技術開発のお仕事でした)、所有バイクに関しては、大型モデル一辺倒でした。

そんな1980年代の初頭、ホンダシティの量産立ち上げ時やワンダーシビックシリーズの立ち上げ時には、長期間の鈴鹿出張で、生産現場が止まっている真夜中に新機種導入のテストをすることが多々ありました。
休憩時間に所内通路でいっぷくしていると、目の前には目立つ青、赤、黄色のボディに、おしゃれなダブルシートをとツーリングキャリヤ、フロントバスケット(前カゴ)を装備したスーパーカブが数多く並んでいました。国内仕様のスーパーカブとは違った、華やかかつ鮮やかさがあり、とにかく新鮮な印象のモデルでした。
近づいて凝視すると、ウインカー形状が異なり、タンデムステップには安全性を考慮したプロテクターの装備もありました。エンブレムも専用設計で、車名は「PASSPORT(パスポート)」。メーターはマイル表示+キロ表示の整列表記(北米でもイギリス色が強いカナダにはキロ表示圏がある)で、メーター下の目立つ部分には「MADE IN JAPAN」の刻印が入るなどなど、細部の仕様はかなり異なっていました。
ポリバケツ色のパスポートと国内で遭遇
国内での出逢いは、転職後に二輪誌編集の同僚が乗っていた、まさに画像のモデルと同じ青ボディ、通称ポリバケツ色のパスポートでした。初めての出逢いから数えて15年後の1990年代中頃でした。当時、スーパーカブには特別な興味はありませんでしたが、やっぱりパスポートには華やかさがあると再認識しました。

様々なバイクを乗り継ぎ「自分の誕生年と同じ生産年のスーパーカブ」と出逢った頃には、すっかりスーパーカブファンで、メンテナンス=バイクいじりの対象として、不動車の復活を楽しむようになりました。
そんな頃になって思い出したのがパスポートでした。逆輸入中古車が注目されるようになった1980年代当時から、外車の中古車や補修部品(メインは1960年代のBMW)を輸入するために、アメリカやドイツ本国へ買い付けに行く機会が多いバイク仲間がいました。ある日「以前にお話ししていたパスポートがありましたよ……」とアメリカからメール。添付画像もあって、お値段もお手頃だったので、購入を申し出ました。
数か月後、太平洋を渡ってやって来たパスポートが東京税関に到着。通関も済んだと連絡がありましたので、トランポで引き取りへ行きました。そのパスポートが、画像のポリバケツ色=1981年モデルです。

ガレージへ持ち帰り、早速メンテナンスしました。里帰り直前まで走っていた様子で、フレッシュなガソリンを入れると簡単に始動。きわめてあっけない結末でした。細部を見回すと、アレ!? といったディテールが多く、正直、ガッカリしたのも本音です。
実は、同じタイミングで、日本国内では発売されなかったミニトレールモデル「SL70」を里帰りさせていて、こちらの方が興味津々です。キックシャフトが折れていたり、欠品部品が多いなど、かなりのボロバイクでしたが、こちらの方が面白そう……。
パスポートのお話しをしたら、スーパーカブ好きのバイク仲間が引き取ってくださいました。そんな経緯で、SL70のフルレストア兼カスタムマシン作りを始めることになりました。パスポートに関しては、お気に入りの個体を見つけた時に、再び購入出来たらいいですね~。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。























