関東戦国山城の最高傑作「杉山城」に感動!! バイクで往く城跡巡り
これほどまでに保存状態の良い山城はなかなかないのでは!? 埼玉県嵐山町の「杉山城跡」は、鎌倉街道を見下ろす丘陵上に作られた、高度な築城技術の多くを残した「戦国期最高傑作」と高い評価を受ける山城です。
往時の姿を想像しやすい、教科書のような城跡
戦国時代の始め頃に関東では、山内上杉(やまのうちうえすぎ)氏と扇谷上杉(おうぎがやつうえすぎ)氏による抗争がありました。現在の埼玉県比企郡嵐山町杉山に残る「杉山城跡」は、かつて山内上杉氏が扇谷上杉氏に対抗して築城したものと考えれられているようです。スーパーカブで訪れました。

この辺り一帯は「比企城館跡群」として知られ、多数の城跡や遺跡が見つかっているエリアです。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも悲しい最後を迎えた一族として「比企」の名を知った人も多いのではないでしょうか。
アクセスは少しユニークです。広い駐車場にバイクを置き、そこから徒歩で入口の大手口跡に向かうのですが、真向かいが嵐山町立玉ノ岡中学校です。現代人の感覚では「学校の裏が山城」ですが、むしろ「山城のエリア内に学校がある」と言った方が正しいでしょう。それくらい「杉山城」の規模は大きいものでした。

「大手口(おおてぐち)」から城内に入ると、見事な城の姿が見えてきました。本郭(ほんぐるわ)に辿り着くまでに、馬出郭(うまだしぐるわ)や2の郭、3の郭などが梯子段に構成されているので、ひとつずつクリアしていく感覚です。
敵の侵入を防ぐ鉄壁の防御力に圧倒されますが、全体の構造を知らない敵からしたら、迷路に迷い込んだ錯覚に陥ることでしょう。「杉山城跡」は保存状態も良く、整備も行き届き、全体図などの解説も見ることができるようになっています。

自分の現在地は把握できますが、それでも難攻不落としか言いようがありません。「杉山城」の公式ホームページでは、山城解説サイトとして丁寧な作りになっています。興味がある方はそちらもご覧ください。
すぐに切り落とせる木橋が架かっていたとされる馬出郭や、L字形に折れ曲がる空堀で、あらゆる角度から弓矢で攻撃できる大手口、また現在でも水が滲み出ている井戸跡など、ほぼ往時のままに残されていて、すべてをくまなく歩いて見学することができます。

訪れた際も、地元の杉山城跡保存会の方が整備をしていました。総面積約8ヘクタールの「杉山城」は、解説板によると全て私有地であり、地権者の理解と協力によって公開されているそうです。文化財の保護の大切さを感じながら、丁寧に見学して永く後世に残されて欲しいものです。