【MotoGP第5戦フランスGP】Moto3佐々木歩夢選手、冷静なレース運びで2位。今季初表彰台を獲得

MotoGP第5戦フランスGPが2023年5月12日から14日にかけてル・マン-ブガッティ・サーキットで行なわれました。このフランスGPのMoto3クラス決勝レースで佐々木歩夢選手(ハスクバーナ)が2位でゴールし、今季初の表彰台を獲得しました。

MotoGP第5戦フランスGPでMoto3クラス2位表彰台を獲得

 2023年シーズンもMotoGPのMoto3クラスに参戦する佐々木歩夢選手(#71/ハスクバーナ)は、第5戦フランスGPの予選Q2で、ポールポジション(予選1番手)を獲得しました。ポールポジションの回数は、今季3回目。2022年のポールポジション獲得回数2回を、シーズン序盤にして早くも上回っています。

2023年シーズン初表彰台を獲得した佐々木歩夢選手(#71/Liqui Moly Husqvarna Intact GP)
2023年シーズン初表彰台を獲得した佐々木歩夢選手(#71/Liqui Moly Husqvarna Intact GP)

 迎えた決勝レースはよく晴れて暖かい陽光がサーキットを照らし、ル・マンの観客席をぎゅうぎゅうと埋めるたくさんの観衆が、Moto3クラスのレースを見守っていました。

 スタート直後、佐々木選手はダニエル・オルガド選手(KTM)にかわされて2番手に後退するも、トップに立ったオルガド選手の背中にぴたりとつきます。オルガド選手よりもわずかにペースのいい佐々木選手は何度か前に出ることも考えましたが、オルガド選手に前を走らせて様子をうかがっていました。

 トップ集団は7、8人のライダーによって形成され、その差はわずかである一方、比較的落ち着いた展開のレースが続きました。レースが動いたのは残り5周でした。3番手につけていたジャウメ・マシア選手(ホンダ)が佐々木選手をパスし、先頭を走るオルガド選手がペースを上げたのです。佐々木選手もここが勝負どころと見て、マシア選手をパス。オルガド選手にはわずかに届かなかったものの、2位でゴールしました。佐々木選手にとって、今季、初の表彰台となりました。

序盤から2番手を走り続けた佐々木選手。最終ラップはリスクを避け、2位を獲得することを重要視した
序盤から2番手を走り続けた佐々木選手。最終ラップはリスクを避け、2位を獲得することを重要視した

「最後、オルガドに勝負を仕掛けられなくはなかったんですけど、最近の2戦で転んでいたので、今回はリスクを冒す日ではなかったのかなと。今年初表彰台を獲得できたので、ここからしっかり表彰台を続けられるように集中していきます。そして、優勝できるように頑張っていきたいと思います」

 レース後の会見で、佐々木選手はそうレースを振り返りました。

 第2戦アルゼンチンGPと第3戦アメリカズGPは、上位を走りながら転倒を喫してリタイアに終わっており、今は、完走することが最も重要なこと。佐々木選手はそう考えていたのだと言います。チェッカーを受けることができれば、表彰台を獲得できる速さがあるということはわかっていたからです。そして実際、その通りの結果となりました。

今季初めて手にしたトロフィーは、ル・マンのコースレイアウトの形
今季初めて手にしたトロフィーは、ル・マンのコースレイアウトの形

 佐々木選手は2022年シーズン序盤も、怪我などによって厳しい戦いを強いられています。昨年の経験は、2023年シーズンのこれまでの戦い方にどう生かされているのでしょうか?

「昨年(シーズン序盤)は怪我をしてしまったというのもあります。怪我は一番してはいけないことなので、例えば今大会のプラクティス3でも、最初は雨のなかで走っていましたけど、乾いてきたら走るのをやめました。自分のなかでリスクを冒さないように集中して、でもアタックしなきゃいけないところではアタックする、といったふうに、今は走っています」

MotoGP第5戦フランスGPのMoto3クラスで2位ゴールした佐々木歩夢選手。自身としても待望の表彰台だったに違いない
MotoGP第5戦フランスGPのMoto3クラスで2位ゴールした佐々木歩夢選手。自身としても待望の表彰台だったに違いない

「ただ、リスクを冒さないと世界チャンピオンにはなれないので、どこかで必ずリスクを承知で走らないといけません。シーズン中、最低でも(チャンピオン獲得のためには)4勝くらいしないといけないので、どこでアタックするかは自分で考えて、頑張っていければなと思います」

 佐々木選手は「次の3連戦は、自分なりに攻めて、優勝争いができればと思います」とも語っていました。今大会で、すでに持っていた速さに対する手応えにふさわしい結果を得て、もうひとつ上のポジションへと挑んでいくことでしょう。

 MotoGP第6戦イタリアGPは、6月9日~11日、ムジェロ・サーキットで行なわれます。

■Moto3クラスとは……

 Moto3クラスは、4ストローク250cc単気筒エンジンのレーシングマシンで争われる。タイヤはダンロップのワンメイク。MotoGPクラス、Moto2クラス、Moto3クラスの中で最も年齢層が低く、Moto2クラス、MotoGPクラスへの昇格を目指す若いライダーたちがしのぎを削る。

【画像】2023年シーズンのMoto3クラスに参戦する佐々木選手を見る(7枚)

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Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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