正解はどっちだと思う? 昨今話題の「新車バイク慣らし運転不要論」の真相とは
新車でバイクを購入した際に、「慣らし運転が必要だ」と言われた事はありませんか? しかし最近のバイクはエンジンの制御や走行性能がデジタル化されているものも多いためか、SNSなどで「慣らし運転は必要ない」といった声もみられます。実際、慣らし運転は必要なのでしょうか。
慣らし運転は、バイクのパフォーマンスを保つためのもの
新車でバイクを購入した際に、「慣らし運転が必要だ」と言われた事がある人もいるでしょう。慣らし運転とは新車を購入した際に、一定の走行距離に達するまでエンジンの回転数の制限を設けて走行することです。
一般的に、新車はエンジンや足回りなどの各パーツが完全に馴染んでいません。そのため、しばらくは無理な加速や高回転を避けて、エンジンに負担をかけないようにすることが大切とされています。
慣らし運転をおこなうことでエンジン内部の金属パーツの摩擦が減少し、エンジンの性能を最大限に引き出すことが可能なります。
そうする事でパーツ同士がしっかりと馴染んで作動するようになり、長期的に見て車両の寿命を延ばす効果が期待できるとされています。
逆に慣らし運転をせず、いきなり高回転で走行を続けると、エンジン内部の部品が不均等に摩耗し、性能が低下する恐れがあり、最悪の場合エンジンの故障にも繋がりかねません。
そのため、慣らし運転はバイクの性能を引き出すための重要な作業で、良好なパフォーマンスを保つために不可欠とされています。

一方で、最近のバイクは様々な機能を電子的に管理する高機能なものが増えています。エンジンの制御や走行性能がデジタル化されているモデルも多いことから、SNSなどでは「最近のバイクは、慣らし運転は必要ない」といった声も少なくありません。
しかし、国内4メーカーは口を揃えて慣らし運転を推奨。たとえばホンダは、「適切な慣らし運転をおこなうと、その後のお車の性能をより良い状態に保つことができます。〇〇kmを走行するまでは急発進、急加速、急ブレーキ、急なシフトダウンを避け、控えめな運転をしてください」と説明しています。
ホンダによると50cc以下のモデルは100km、それ以外のほとんどの車種は走行距離500kmの慣らし運転を推奨。さらにオフロードバイクの場合は「乗りはじめてから25kmまで、または最初の1日は急発進、急加速、急ブレーキ、急なシフトダウンを避け、控えめな運転をしてください」としています。
続いてヤマハも、「新車の使い始めには、ならし運転をおこなってください。ならし運転の方法は、車種により異なります。詳しくは取扱説明書をご確認ください」と慣らし運転を推奨。カワサキも新車から最初の1000kmまでは、ならし運転を行うことを推奨しています。
そして、スズキは、「エンジンというよりも、タイヤの皮むきをするという目的で慣らし運転が必要」だと、販売店担当者は説明。走行距離は各車種によって異なるものの、現在ラインナップされているバイクは基本的に慣らし運転を行うと良いとの事でした。
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慣らし運転は、各メーカーが推奨するほど重要性が高い事が分かりました。
より安全にバイクを運転するためにも、「慣らし運転は不要だ」と自己判断するのではなく、取り扱い説明書を読んで、慣らし運転を行うようにしましょう。