知ってる?? 日本のモーターサイクルスポーツに欠かせない「MFJ」の2027年問題とは?
自身もサーキット走行を行うライターの後藤武さんが、バイク用のエアバッグについて解説します。
2017年から行われている新規格へのアップデート
2輪のレースに参加している方であれば日本で開催されている大きなレースの多くがMFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)の公認であることをご存知かと思います。これらのレースに出場するためにはMFJ公認の装備(ヘルメット、レーシングスーツ、プロテクターなど)を使用する必要があります。
装備に関する規定については、安全性を高めるためにアップデートが加えられてきましたが、2027年からとても大きな変更があります。古いタイプのMFJ公認マークのついていたヘルメットとスーツが使用できなくなるのです。ちなみにこの記事で該当するのはMFJ公認の競技のみ。他の団体が主催する競技やイベントは関係ありませんのでお間違いの無いよう。

まずは今回の変更の経緯を説明しておきましょう。MFJには様々な専門委員会があり、ヘルメットやレーシングスーツなどの装備に関してはメーカーの人達も加わった装備部会があります。ここで決定された事項がロードレース、モトクロス、トライアル、スノーモービルなどの種目で適用されることになっています。
1989年からはレースで使用されるヘルメットとレザースーツについては安全性を審査し、パスしたものにMFJ公認マークをつけるようになりました。MFJのレースに出場するためには、これら公認マークをつけた製品を使うことになったのです。
大きな変更があったのは2017年でした。実はそれまでのMFJ公認マークは有効期限がありませんでした。そのためルール上はヘルメットやレザースーツを長く使い続けることができてしまう状況だったのです。もちろん競技では車検が行われて装備の確認を行いますが、明確な基準が定められていなければトラブルにもつながりかねません。
ヘルメットやスーツは経年劣化もあり、長い期間使い続けていれば安全性は低下してしまいます。また、一方で製品の安全性に関しては年々進化していてプロテクション効果が高くなっています。
こういった状況を踏まえ、ヘルメットや装備品を最新規格へアップデートした新規格が2017からスタートすることになりました。
旧規格の猶予期間は2026年まで
ただし、突然の切り替えは混乱が生じます。そこで切り替えまでの猶予期間を設け、2027年から新しい認定品の仕様が義務付けられることになりました。その後は5年毎に見直しが行われることになっています。
この件についてはMFJの規則書やホームページで告知されていて、各メーカーからもリリースが出されています。ただ、見落としていた方も少なくないはず。そしてレースに出場している方が気になるのは、自分の使っている装備が継続して使えるかどうか、ということだと思います。

ヘルメットに関しては旧公認マークのついているものは使えなくなります。ただ、仮に古いマークがついていたとしたら、その製品は製造から10年以上が経過しているということなので、そもそも新しいものへの交換が必要だと考えてください。
レザースーツに関しても2017年以降の製品に関しては新規格のマークが貼られています。ただしヘルメットとちょっと違っていて、古い公認マークがついているレザースーツでも、新しいマークへアップデート可能な製品があります。これはMFJのホームページで確認ができますし、メーカーに問い合わせても良いでしょう。
旧MFJ公認を取得した時から既に現行の規格が通る仕様で発売されているモデルに関しては、製品の状態が継続使用しても問題ないとメーカーが判断した場合にのみ新規格の公認マークに付け替えることが認められています。ただしレザースーツの改造、仕様変更を行わず、メーカーが新規格に継続申請していることが前提となります。気になる方はメーカーに問い合わせてみてください。
上記の変更とは別になりますが、チェストプロテクターや脊椎プロテクターがCE規格品であることが求められるようになり、2025年からは55歳以上と22歳以下のライダーはエアバックを使用することが義務付けられています。装備が変わると費用はかかりますが、レースでの安全性が高くなると考えれば納得できるのではないでしょうか?
今後も競技に参戦するのであればMFJやメーカーの発信する情報にも注意しておきたいものです。
Writer: 後藤武
クラブマン誌や航空雑誌の編集長を経て現在はバイク、食、飛行機などのライターと
して活動中。飛行機とヘリの免許を所持しエアレースのTV解説も担当していたことも。2スト、旧車、V8のアメ車など多数所有。









